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正しき魔王の旅記  作者: テケ
2章 あんじぇピュアラブ
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008

 練習を始めて気づいたころには数時間が立っており、集中力の低下と体のけだるさが重なった僕はついには音を上げ練習を中断した。アンジェ曰く、いくつか氷で形作られるものを魔法で召喚している間に知らず知らず僕も自分の魔力を使い始めていたとのことで、僕のこの集中力の低下と体のけだるさはその影響であるらしい。なんでも、魔力を使い過ぎると死んでしまうこともあるとか。まあ、あくまでも極端な話なので氷小さなものを召喚する分にはそんなこと怒りあえないので大丈夫らしいのだが・・・。


 ちなみに、僕自身の魔力量はハッキリ言って殆ど無いに等しいようで、アンジェが最初に魔法を使った時の半分も氷で物を作れていとのこと。


 とは言え、それなりの数は魔法で作ったとはとは思う。


 水筒、弁当箱、筆箱、ノート、ペン、ナイフ、ランタン、枕――。その他もろもろ、部屋にあるものいくつか。数十個の物をイメージして氷で出し、ソレをアンジェが見ては消すの繰り返しをし続けた。


 長時間それを繰り返したこともあり、感覚やイメージはなんとなく掴めた気もする。すぐホイホイと出せるかは別だが・・・なんとなくだができそうな気はすると同時に、僕をバカにしてくれたミレアにしてやった感もあり疲れがあるものの、その疲れも嫌なものではなかった。


 そんなこんなで、僕が魔法で氷を召喚するのに音を上げたころにメイドさんが部屋を訪ねてきて、夕食の準備が整ったと言われた。ただ、アンジェが昼間あんな様子だったため食堂に移動するのはやめて、部屋で取ることにしてメイドさんに部屋まで食事を運んできてもらい、僕たちその食事を部屋で取った。


 そして、そこから少し一服して休憩あと、浴場があるということなのでメイド参加に用意できる時間がくるまで待ってくれと言われ待ち、数時間してからそれから呼ばれた僕とアンジェはそこに向かった。


 正直、この世界に風呂の文化が浸透しているとは思っていなかった。どう見ても中世のヨーロッパな感じがあったので香水とかそういったモノが支流だと思っていが、意外とローマとかそちらよりな文化も入っているのかもしれない。


 この世界の歴史とか文明はよくわからないが、取り合えず風呂に入れるのはありがたい。別に風呂好きとかではないが牢にとらえられてから数日間風呂に入っていないので、やはり気持ち悪いものは気持ち悪い。日本人はやはり温暖育ちな故に野宿とかそう言うのには向いてないのだろう。文化の違いで、この世界で生きていくことへの不安をここで抱くとは思っていなかった。


 そういうことで僕たちは浴場へ招かれ中へ入る。ちなみに――移動しながら聞いた話では、浴場は男性の兵士が先に使用しその後メイドさんなどの女性陣という順番で使用しているらしい。僕たちが使用するのはその後、一番最後だと言う。


 なので、残りの時間自由に使っても大丈夫だと言われた。


 まあ、ゆっくりしてくれと言われてもそこまで長風呂をする気はないのだが、言葉に甘えて今まで入れなかった分、のんびりさせてもらおう。


 と、メイドさんに見送られ脱衣所に入り僕はようやく気付く。


 入れ替わりで使用しているということは男湯もなければ女湯もない、もちろんそれがないのなら脱衣所が二つに分かれている訳もなく・・・。


 まあ、いいか。


 アンジェが嫌がると思ったが、気にすることもなく脱ぎ始めてるみたいだし。


 僕もアンジェ相手に恥ずかしいと思う事もない。相手は女の子とはいえまだ11歳なので別にやましい気持ちになることもない。


 スタスタと僕も着ている脱ぎ始め――一応、置いてあるタオルを腰に巻き大事な部分だけ隠す。


 脱ぎ終わり、横目でアンジェを確認する。


 二つの大きな三つ編みのおさげをほどき、長い金髪を垂れ流して細いタオルを前にして体を隠すアンジェ立っていた。ちょうど、用意をし終わったようだ。


「いくよ。アンジェ」


「はい」


 声をかけ、先に浴場へと進む僕にアンジェが早足で並ぶ。


 さて――どんな浴場だろうか。


 そんな、期待を胸に扉をガラガラと開けた。

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