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正しき魔王の旅記  作者: テケ
2章 あんじぇピュアラブ
34/175

004

「すまんな、少々挑発が過ぎたようだ」


「い、いえ・・・」


 謝るブレンに戸惑うも僕は、再度ブレンの前に立つ。


「それより、僕に話しって・・・」


「ああ――」


「ちょっとまってください」


 話を始める前に、僕はあることを提案する。提案っていうより要求だけども・・・アンジェの為に・・・。


 お願いしないといけないことがある。


「そこにあるアンジェの荷物。すべて返してください」


 そうだ、返してもらわなければいけない。あの子があそこまで感情的に荒々しくなって怒鳴るぐらいだ。相当大切なものなんだろうか返してもらわなければいけない。じゃないと起きた時またあの子が壊れてしまう。


 まあ、正直アンジェの何を知っているかと言われたそりゃ知らないけれど・・・。あの子は悲しませちゃいけない、そう思う。


「フッ・・・。自分の所持品はどうでもいいか・・・。いいだろう。だが、小娘にはまだ聞きたいことは山ほどあるソレをお前が代わりに聞き出せ」


 そう言って、ブレンは出していた物すべて袋に終い、それを丸ごと僕に投げつけ、僕はそれをキャッチする。すごい重さで倒れそうになりながら、僕は受け取った。


 中身を確認すると、どうやら荷物の中身は僕とアンジェ二人分すべての荷物が入っているようだ。残っていたことが軌跡的なのに、まさか素直に貸せしてもらえるとは、思わなかった。


 ただ、僕に聞き出して欲しいこととはなんなんだろうか・・・。


「それについては説明する。その前に、さっきのはウンディーネ様だな。まさか本当にお前についてるとは・・・」


 考えるそぶりを見せ、ブレンが言う。やはり、女神がついているなんて話は鼻から信じてなかったのか信じていないようだった。ただ、実際に現れたミレアを見てどうやら信じたようだ。というより、実際に目の前に現れたのだから信じるしかないみたいだが。


「女神に守護をしてもらっているという点でお前を信じる。その上でノ信用としてお前たちの所持品を返す。オレが連中をひっとらえた時に取り合上げた物だ、お前たちの荷物はそれ以上のものは何も残っていなかった」


 ん?ひっ捕らえた?


「待ってください、ひっ捕らえたってどいうことですか?僕たち以外にも誰か捕まっていたっていうんですか?」


「そうじゃない。ここでお前たちを捕まえた連中だ。お前たちにおこなっていたことは軍規違反だからな。元々オレはこの砦と木の国の問題を解決しようとしてここに来た。そうしたら、捕まっているのは木の国の者ではなく、正真正銘の不審者であるお前たちだったという訳だ」


「じゃあ、ここにいた、僕たちを捕まえた奴らは?」


「全て処罰の為に本国に送り返した。ここに今いる者は全てオレの信頼における者を本国から連れてきた者たちだ。まあ捕虜の保護のために探索に出したものがお前たちに返り討ちに合うとは思わなかったが」


 ははっ・・・。


 言われえて、僕もアンジェが壊れたように何か意図がほつれ腰が抜けその場に腰を落とした。


 牢から逃げる際に、殆ど誰にも会わなかったのはそのせいか――あの時、ここにいた者を全てブレンが招集して追い出した後だった、だから、誰もいなかった・・・。しかもいらない警戒をした上に、保護してくれる相手を殺したとは・・・。


 なんていうか笑えないジョークだ・・・。


 結局――僕があの時、必死にならなくても助かったんじゃないか。そう思うと拍子抜けというかなんというか・・・すごく形見が落ちる話だ。


「言っただろう、ゲストとこれば安全は保障すると」


 ゲスト――つまり敵としてではなく大人しくしろと意味だったのか・・・。


「そう、気を落とすなお前が必死に小娘を救おうとしたのは事実だろう?」


 事実、確かに事実だが・・・。


 それでも、僕はむしろあの子にひどい辛い思いをさせてしまった。


 僕が助けようとしたから、僕の呪いはあの子を傷つけた。結局――僕は僕がしでかしたミスを帳消しにしたにしか過ぎない。いや、消すことすらできてない。僕はあの子に酷い心の傷を負わせたのだから・・・。


「何を自分を責めているか知らないが本題だ。もともとあの小娘、もとい教団の者を助けたのにはこの話を聞きたかったからだが・・・、見ての通りあの状態になってしまった以上オレからは聞き出すことは難しい。なので、お前に聞き出してもらう」


 落ち込み俯く僕を無視してブレンは話を切り出す。


「あの小娘から、火の国の首都ベルクホルンに存在する教団のアジトを吐かせろ」


「あじと?」


「ああ、教団の者なら知っているはずだ。それを聞き出せれば晴れてお前たちの今後の身の安全も保障する」


 保障・・・。どこまで信じていいのか分からないけれど・・・。もう、僕たちにはこの男に従うしかない。アンジェがああなってしまった以上。逃げ出す訳にもいかないし、僕だってなにもすることもできない。


 そう言った意味では捕虜となんの変わりもないかもしれないけれど・・・。


 ただ、


「分かりました。ただし、直ぐには無理です。アンジェがあの様子ですからしばらくのんびりさせてほしいです」


 あの子を傷つけたのが僕でもあるのなら、僕はあの子を守る。あの子の安全が最優先事項だ。だからこんなところで落ち込んでいる訳にはいかない。


 とは言え、直ぐに聞き出す訳にはいかない。過去のことに触れてしまえばまたアンジェがおかしくなってしまうからもしれない、だからまずは休息が必要だ、僕もアンジェもしばらくのんびりとしたい。


 僕だって、色んな事が色々起きてすぎて一度整理したいこともある。そのための今はまず時間も欲しい。


「いいだろ。すぐにとは言わん。だが、聞き出せ尋問はまだ続いてるのだからな」


「はい」


 尋問は続いている。お前たちの身の保証はする、だがまずは尋問だと・・・。


 そんなことを言われ、僕は生名と返事して渡された荷物を持ち部屋を後にした。

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