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飛び出した先は外でした、それは間違いありません。はい、念願の外です・・・。
でも・・・。
飛び出した、確かに外でした。ですが、そこでアンジェ達は兵士に囲まれてしまったのです。
ここは砦です、入ってくるときに一度見ているので分かります。
そして、アンジェ達が捕まっていたのはその建物ないの一角です。
でもただ、こんな夜の時間にどうして兵士が外に集まっていて、建物から飛び出したアンジェ達を囲んでいるのでしょうか・・・。
――明らかに不自然です。
アンジェとお兄さんは、兵士たちに囲まれて、突きつけられた槍に後ろへとじりじりと下がります。
それでも、お兄さんはアンジェを守るよにしてくれます。
でも・・・それでも・・・突きつけられる槍は迫ってきます。
お兄さん・・・。
すごく苦い顔をするお兄さん・・・。やっぱり、アンジェ達は逃げられないのでしょうか・・・。
――ミレア!
お兄さんが突然叫びました。
――ウンディーネ様の名前?
瞬間、アンジェ達を囲む兵士の槍が全てこま切れに斬れます。
これは――ウンディーネ様の水の刃・・・。
お兄さんの合図で、ウンディーネ様がアンジェ達を助けてくれたのでしょうか・・・?
分かりません。けれど、アンジェ達を囲む槍はなくなりました。今ならさっき砦の中で出した魔法で・・・。
回りの兵士が剣を抜き出していますが、さっきのアンジェの氷のナイフなら、反撃を受けることなく全員を殺すことができる。
そう思い、手を出そうとした瞬間。
――何をしている!
その声で、兵士もアンジェの注意もそれました。
ずっしりとした大きい兵士が出てきました。
この人は――多分、この部隊の隊長ですかね・・・。
でも、なんで他の兵士たちを撤退させるのでしょうか・・・。
兵士と出てきた大きい兵士は、他のアンジェ達を囲んでいた兵士たちを返してしまいました。
なんで・・・。
でも、今なら――。
アンジェは手を前を出します。
――飛んで――消えて!
氷のナイフを何本も飛ばします。
――っ。
その瞬間、お兄さんに手を引かれ横に走りました。
少し痛いですが、確かに絶好のチャンスです。今なら、
――えっ!?
走りだした、アンジェとお兄さんの目の前で風が道を裂き、地面を削って土を蹴散らし、アンジェとお兄さんの道を塞ぎます。
とっさにお兄さんとアンジェは止まりました。
今のアンジェの氷のナイフごと吹き飛ばしたのでしょうか、走って見ていなかったので分かりません。でも、いくら大きいからって剣を振っただけでこれは反則でしょう。
どう魔力を飛ばせばそうなるんですか・・・!?
ミレア――!
お兄さんが叫びました。
ウンディーネ様に頼んだのでしょう。よくわかりません
でも、ウンディーネ様ならさすがに、
・・・えっ!?
ウンディーネ様の水の刃を斬るように出たのに、逆に振り切られてしまいました。
アンジェの手を握るお兄さんの手に、力が入ります。
お兄さんも、これは予想がいのようです。それもそうですよ、なにせ、女神様の力が壊されたのですから・・・。
お兄さん・・・。
お兄さんが慌ててアンジェの手を離し、檻の棒を両手で握りました。
・・・。
アンジェはどうすれば・・・。
分かりません、この状況でどうすれば。きっと、氷のナイフを飛ばしてもまた壊されてしまいます。
だから・・・せめて、おかあさんのナイフがあれば・・・。
大きい兵士の人が腕を組み偉そうにこちらを見ています。
そして、こう言いました――教団の娘。
やっぱり・・・アンジェが教団に入ってることはばれているんですね・・・。
だったら・・・やっぱりアンジェは殺される・・・。
お兄さん・・・アンジェは死にたくないです・・・。
大きい兵士の人が笑ています。
そして、まるでお兄さんをからかうようにいうのです、そんな震えて大丈夫かって・・・。
見ると、お兄さんの膝と、牢の棒を握る手は小刻みに震えていました。
アンジェも怖いかった・・・でも、やっぱりお兄さんも怖かった・・・。
アンジェは勘違いをしていました。
あのひどい数日のなかで、お兄さんはアンジェをずっと助けようとくれました。結果がどうあれ、だから――強く、かっこよくも見えました。なにも、怖くない、恐れないそんな人・・・そう思っていました。
けど・・・。
お兄さんがアンジェのことを見ます。
すごく、引きつった顔。それでも、お兄さんはその顔を、アンジェを見ると顔を引き締め、震えを止めて大きい兵士に向きなおします。
ずっと、我慢していたんですね・・・。
お兄さんが・・・こんな怖いことを頑張って立ち向かっているのに、アンジェはどうでしょうか・・・。
女神様に助けを求めて、お兄さんに助けを求めて・・・。
ずっと待ってばっかり・・・。
おかあさんを見つけたい・・・。
だから・・・アンジェは・・・。
アンジェも大きい兵を見ます。睨みつけるようにして。
いつ攻撃してもいい、されてもいい。アンジェは生きたい・・・!
どんな行動にも対応できるようにしました。
けれど、途端大きい兵士は鼻で笑い、よくわからないことを言ったのです。
ゲストとしてこないか――意味が分かりません。
アンジェ達を捕まえて殺すんじゃ・・・。
大きい兵士は去っていきます。
アンジェとお兄さんは顔を見合わせました。
二人とも、状況がよく呑み込めていません。でも、お兄さんが、いこうと言うのです。
だから、アンジェはお兄さんについていきました。




