019
たった一つの手がかり手に入れた。
それをここでみすみす逃したりなんてできない。
オレは重たい体を足を踏ん張り受け止め、剣を構え目の前のサクラに対じする。
なんてことはない、アンジェの為ならば痛みも苦しみも、総てアンジェの為ならばと覚えばたいしたことはない。
それに、あんただって分かるだろ?オレはこんなことじゃ倒れない。
なにせ、サクラ――いいや、守護者全員か……あんた達とオレは言わば同類なんだから。
愛に狂うからこそ、感情を燃やして力は強い。
愛に狂うからこそ、真っすぐ自分を信じていける。
愛に狂うからこそ、狂者となれる。
薔薇の守護者達はそれ故に強い。
ただ一人に酔いしれて、その一人を思うからこそ強いのだ。
であればこそ、オレも変わらない。
オレもアンジェを思っているし、あの子の為ならば諦めることはできない。
ああ――一度は諦めた。諦めたさ。
でも――それでも、今のオレは違う。
後悔したんだ。後悔して、こうしてその償いをしようとしてる。
第三者から言わせれば、こんなことただの自己満足としか思われないかもしれない。けれど――それでいいんだ。
だって、それはあんただって同じだろ?
ただ好きだから。
愛しているから負けられない。
それだけだ。細かい通りなんてどうだっていい。
ただ自分の愛を貫くために……。
故に倒れない。
地を押し付けるように踏みつけ、ミレアの剣を構える。
驚愕していたサクラの表情が、オレの意思が伝わったのかその顔が引き締まり、再び鋭い瞳がオレを睨む。
「――そう。ならあいまみえない……。もう何も言わないよ、言ったところで私たちが和解することなんてありえないから……」
宝剣と女神の剣二刀を広げ走り出すサクラ。
そんなこと、言われるまでもない。
サクラもオレも、結局は絶対に引けない愛を課てしているのだから……。
とはいえ――。
目の前に迫るサクラ。
剣を振り、対処しようとするもその姿は幻影の如くすり抜け姿をサクラは消す。
「ぐっ――!?」
そこから一刀二刀、無数に斬られ、運よく斬撃の一部を弾き返してもオレの体は本来であれば粉みじんになっているほどに切り裂かれた。
無論そのたびに体はには重いずっしりとした感覚は伝わり、足がそれが耐えれないという悲鳴を上げそうになる。
「ぐおおおおおっ――!!」
それでも踏ん張り、膝は決してつかない。
いまいちどついてしまえば、もう立ち上がれないことはしりえていたから。
前へ前へ前へと進むように、斬られながらも、剣戟をかわそうと剣を振るった。
そこに、剣術なんてありはしない。そう思った。
ただ目の前のサクラをとらえるために、いくどとなく振るわれるソレを返さんとしてしていた行為……。
けれどもそれは。
二人の間に金属がぶつかり合う轟音が響く。
「――っ!?」
「くっ――」
最初と同じく、ただ目の前の相手を排除しようとするだけの大振り。戦略もくそもないただの力任せの大振りだ、それがサクラの宝剣を弾いた。
その衝撃にサクラはのけぞって、隙をついたと思い再び振り入れた二撃目すら――、
ガキンッ!!




