表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正しき魔王の旅記  作者: テケ
五章 勇者エンド
172/175

018

 なんだこれ……。

 

 体が思いたい……。

 

 今までに感じた事のない感覚がオレを襲う。

 傷はない。けれど、切り裂かれた体は重たく、ずっしりとした感覚がオレを襲い、つい膝を着いてしまう。

 

 そこに背後から追い打ちが……。

 

 

「二ノ太刀――獅子(しし)ッ!!」



 首を振り向けた瞬間、オレの体は微塵に切り裂かれた。そして同時にふっとんで――

 


 ぐッ――!!

 

 

 正直なところ、何が起こったのか分からない。

 ただ、感じる体の重みは大きくなり――オレは地面に倒れた。

 

 吹きとばされ、仰向けに転がる。

 ……なにも理解できない。何が起きたんだ。

 

 さっき間違いなく、サクラの剣は弾いて防いだはずなのに、突然体が重くなって……。

 気づけばこうして仰向けに天を見上げていた。

 

 なんだこれは……。

 

 

 どうしてオレは真っ白な霧の空を見ている。

 訳が分からない。


 それに……。

 

 

(少年……ッ!!)



 声に気づいて起き上がろうとすれば――。

 

 

「っ……」



 上がらない……。

 それを無理起こそうとして……。

 


「―――ッ!!」



 重い。体が思うように言うことを聞かない。

 どうして……、

 それでも――オレは負けられない。

 

 オレはアンジェ……アンジェを……。

 


「うあああああああああああああああああああああ」



 腕を立て、肘で膝を立て、足を立てて重い地面に押しつぶすような感覚に叩く。

 雄たけびと共に体を上げて、

 

 

「うそっ――どうしてそれで……」



 響く、響く、体の奥底に。

 重苦しい体に、その雄たけびは。

 ただ、オレが望むのはアンジェ……。

 

 そのための鍵が薔薇の髪飾りなんだ……。

 

 だから……負ける訳に分けにはいかないいんだああああああああああああああああああっ!!

 

 

 立ち上がる。

 

 

 サクラは打倒しなければいけない、そうしなければ髪飾りの本来の力を出せない。そう思うから……。

 ここで、負けるなんてできない……。

 

 大好きな、大好きなアンジェの為に。

 オレはまたアンジェのあの笑った笑顔が見たいから……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ