018
なんだこれ……。
体が思いたい……。
今までに感じた事のない感覚がオレを襲う。
傷はない。けれど、切り裂かれた体は重たく、ずっしりとした感覚がオレを襲い、つい膝を着いてしまう。
そこに背後から追い打ちが……。
「二ノ太刀――獅子ッ!!」
首を振り向けた瞬間、オレの体は微塵に切り裂かれた。そして同時にふっとんで――
ぐッ――!!
正直なところ、何が起こったのか分からない。
ただ、感じる体の重みは大きくなり――オレは地面に倒れた。
吹きとばされ、仰向けに転がる。
……なにも理解できない。何が起きたんだ。
さっき間違いなく、サクラの剣は弾いて防いだはずなのに、突然体が重くなって……。
気づけばこうして仰向けに天を見上げていた。
なんだこれは……。
どうしてオレは真っ白な霧の空を見ている。
訳が分からない。
それに……。
(少年……ッ!!)
声に気づいて起き上がろうとすれば――。
「っ……」
上がらない……。
それを無理起こそうとして……。
「―――ッ!!」
重い。体が思うように言うことを聞かない。
どうして……、
それでも――オレは負けられない。
オレはアンジェ……アンジェを……。
「うあああああああああああああああああああああ」
腕を立て、肘で膝を立て、足を立てて重い地面に押しつぶすような感覚に叩く。
雄たけびと共に体を上げて、
「うそっ――どうしてそれで……」
響く、響く、体の奥底に。
重苦しい体に、その雄たけびは。
ただ、オレが望むのはアンジェ……。
そのための鍵が薔薇の髪飾りなんだ……。
だから……負ける訳に分けにはいかないいんだああああああああああああああああああっ!!
立ち上がる。
サクラは打倒しなければいけない、そうしなければ髪飾りの本来の力を出せない。そう思うから……。
ここで、負けるなんてできない……。
大好きな、大好きなアンジェの為に。
オレはまたアンジェのあの笑った笑顔が見たいから……。