017
剣の刃を模った羽が向けるように羽ばたき、蒼の刃を姿を現した。
サクラはそれを左手に、黄金の宝剣を右手に構える。
その姿は神々しく聖なる輝きをはなっているようで、サクラ自身からも羽が生えているかのような。まるで彼女自身が天使であるかのような幻覚すら見せられる。
黄金と蒼の粒子が彼女の周りを漂い、纏っているかのように美しい輝きがオレへと敵対している。
間違いない。
女神の剣だ。その神々しさと清楚さからおそらくあれは光の女神のもの。
それをどうしてサクラが?
いいや――持っていておかしくはない。
オレの前にいるサクラは記憶だ。
生前の記憶が薔薇に宿った記憶。ならその記憶が光の国の王の時の記憶だったとしたらなにもおかしくはない。
ここは現実ではない。夢の中だから。本来は現実ではティアラが所有しているだろうその剣は、ここではサクラが所持している事になっている。
なら使うのも必然。
そんなことよりも、オレが気づき驚いたのは……。
「その構え……」
勇者と同じ構えだ。二刀の長剣。それを持つ彼女の構えは勇者とうり二つのもの。
その、オレの呟きにサクラは誇らしくも笑みを浮かべた。
「あの人に剣を教えたのは実は私だったりするんだよね。だから――本家本元の八剣無冠流を見せてあげるッ!!」
「――っ!?」
飛び出すサクラ。
その動きは早く、ほぼ一瞬で目の前へと彼女が迫った。
そして、オレとすれ違うぐらいに近づいていた彼女は――
「一ノ太刀――疾風ッ!!」
自身の左側に二本とも合わせるように構え、オレとすれ違う瞬間抜刀した。
ヤバッ!?
気づいた時にはそれはもう起きていた。
その剣の動きは捕えることができず、感で運よく先に出ていた左の剣を受けきったものの、物凄い勢いにオレの剣は腕ごと大きく弾かれ持っていかれ、続いてきた二撃目にオレの胴は切り裂かれていた。
「かッ――ッ!?」
痛みとは違う、斬られた位置から衝撃が響き、突然体がずっしりとまるで数十キロの思いバッグでも突然背負ったように、重くなる。