013
強い彼女は決して自分の道を後悔などしない。
それすらも、自分を救ってくれた勇者への愛だと信じているから。
オレなんかでは思いもよらない愛の形で、否定するのはおこがましい。
けれども――こうは言わせてほしいんだ。
これはただの負け犬の遠吠え見たいなことなのかもしれないけど、言わずには居られないから。
「オレはあなたの言うことに共感はできない。もちろん、そんなことを求めて言っている訳でもないことも分かる。けど――サクラ、あなたは強すぎるんだ」
「私が強い?」
振り返り際にオレの言葉に首を傾げるサクラ。
そうだろう、分からないだろう。オレ達みたいな"弱い"奴のことなんて。
「サクラの言うことは間違いじゃない。できればオレだってしてみたかった。オレはなにも諦めてアンジェにはしてあげる事なんてできなかったから。
無理かどうかなんか関係なしにそれをしようとするサクラ、あなたはすごいと思う。……正直言ってうらやましいよ。オレには出来なかったから……」
けど――サクラが間違いとか、悪いとかそいう事でもないことはない。
ようは気持ちの持ちようなのだ。
「オレは多分、サクラのように他の守護者のそれを愛じゃないって否定はできない。確かに、勇者は気に入らないけど、アイツが勇者を思ってる気持ちは好きっていう気持ちに間違いはないと思うよ」
それもさながら、狂っているぐらいに。
「それは何故?」
オレがまさか他の守護者の肩を持つとは思っていなかったのか、いやそもそも――本当に分かっていないようで、その顔は困惑している。
じゃあ教えないと。
オレが、アンジェをどう愛していたのかを……。
それは――、
「だって、一緒に居たいって思ってるだけでもそれはきっと好きってことだから。確かに、サクラあなたの言う通りそれは甘えなのかもしれない。一緒に居たい。居なければ怖いから。自分を守る為、そういう見方もできるかもしれない。
でも――それだって好きって事なんだとオレは思う。別になにか貰うために居る訳じゃない。一緒に居たいから一緒に居る。
むしろ、オレはそっちの方が好きだよ。一緒にいないとどうにかなっちゃうなんて、素敵だとは思うけどなあ」
自分て言って照れくさくなって、つい笑みがぼれてしまう。
けれども――そうなんだ。
相手の為に何かに尽くす。サクラの言うそれも素敵なことだ。むしろそれが良いなんてオレって思う。そんなカッコイイことができるならしてみたいと。
でもみんながみんなそうじゃない。ただ近くに居ればいい――それがたとえ、ひと時の想いだとしてもそれは間違いなく愛だとオレは思う。
まあ――そいう点を強く否定して、かたくなに貫いてきたというのは、確かにある意味狂っているともいえる。
そういう点で言えば、サクラも薔薇の守護者たる人物なんだろう。
青は強い意思と思いで、目的を達成することができる者に送られる称号とティアラは言っていた、ならサクラのその考えは当たり前で何もなにも間違っちゃいない。
それすらも、純粋な愛と言っても違いではないのだから。




