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「どうした?」
両腕を広げ挑発する勇者に、食いつきそうになるオレは置いて半透明のミレアが前へ出る。
「きゃはは――あまり少年を挑発しないでくれる?」
「なんだ?せっかく熱くなるようになって良い傾向だったのに」
「きゃはは。冗談、表向きはそうでも本心は冷静な少年の方がワタシは好きなのよ、きゃはは――。そうでなきゃ、愚かにしてくれない、きゃははは」
「そうかい。それで?どうする?続けるか?」
「ええ――そうね。きゃはは――」
突然、オレとミレアの背後に渦のような蒼い魔力が満ちる。
その魔力は濃く、肉眼で見える程のグルグルと渦を巻いている。
「ミレア、これは!?」
振り返り驚くオレを尻目に、
「その二人、預けるわよ。きゃはは――」
「ちょっ――ミレア!?」
笑い飛ばすと、尋常じゃない力でオレの襟元を掴み、穴の中へミレアは飛び込んだのだった。




