043
無理やり尋問をされるように僕は促される。
けれども……。
だってそれは……。
「きゃはは――少年が、殺したからよ」
「ミレア!?」
答えない僕に変わって、ミレアが答えたのだった。
「なるほど。てっきりフィーがヤって、叱られるのを恐れて失踪をかましたと思ったけれど、そうじゃないのか。なんだ盗人か?」
「違う!」
「なら何故」
「それは……」
「この世界に来たばかりのお前に殺されるなんて、あの子も相当運がなかったのか?
いや、そもそも話から推測するにだましたのか。色々と知っているようだからな――随分と悪党なのか、それとも単にあの子が純粋なだけだったのか……」
「違う!」
違う!違う!そうじゃない!
だましてなんていない!
そんなんじゃない!
それに、アンジェを、アンジェを――
「アンジェをバカにするな!
僕をバカにするのはいい!何も知らないし、何もできない!けど――アンジェをバカにすることは許さない。
アンジェは僕を好きと言ってくれし、僕もアンジェが好きだった!
全部お前のせいだ!お前が、この世界をしっかり管理しなかったから!」
あるいはアンジェ最初に保護さえしていれば。
そう怒鳴り散らすと、勇者の周りに居た彼女たちは勇者に抱き着き縋るのをやめ僕を強く睨んでいた。
主を侮辱されて相当怒っているのが分かる。
けれども、そんな圧じゃ引かない。
引けない。
アンジェを悪く言う事だけは許さない。
だから――、
「永遠に思っていたいから……」
僕はアンジェへの思いを解き放つ。
そうして、僕を中心にその想いはゆっくりと、このクリアの異能をユルサナイという渇望の中でさえでも、それすら押し返し、ゆっくりと自分の周りの時が止まっていく。
けれども――その領域は極小。
せいぜい僕とミレアを包む程度。勇者たちまでは広がらない。
「っ――」
それに少し苦い顔をすると、勇者は口元を吊り上げ、
「フッ――ハハッ、こりゃあ傑作だな。ああそうか――そいつはおめでたい。活動領域でありながら、無理やりそれを流出させてクリアの覇道支配を押し返すなんてな。それだけ強い念なのは分かるが。フハハハッ――それでいて殺したのか?好きなのに?お前――素質あるぞ」
楽し気に、清々しく高らかに笑ってこの状況を語った。