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正しき魔王の旅記  作者: テケ
1章 偽善ジャスティス
13/175

013

 牢を出た先の道は分からない。外に出るにはどう進めばいいのか分からないが、僕は少女と手を左手でつなぎ右手に鉄パイプを持って長く続く、石ででき壁に松明が並ぶ廊下を走った。


 途中ミレアが僕の右目に戻るのを感じたが、まあ出番があるまで黙っててもらおう。僕を助けるために、なにかあった時に利用させてもらう。


 ただ、幸いなことに、夜で、元より僕たちしか捕虜はいないのか、それともサボってるのか、見張りは居なかった。というより、人がいる気配がしない。


 どういうことだ?


 逃げ出すにはちょうどいいけれども、妙に静かだった。外でなにかあったのか、それとも元々なのか、気になるところではあるけれども、よけない邪魔は入らないならいい、早く外にでて逃げないと。


 僕の頭は今それだけで一杯だ、早くこんなところ出たい。


 かと言って、焦る気持ちはあるがダッシュはできない。仮に全力疾走してしまえば少女が僕に追いつけないのだから、僕の現時点での最優先はこの子だ、あくまでもこの子をここから出すことが先決、最優先事項。僕が脱出できなくても、この子逃がさないいけない。


 だから、急ぐ気持ちはあっても、慌てる訳にはいかない。せっかくミレアがくれたチャンスだ。また衝動的に動いて僕の呪いでも働いたら目も当てられない。それで、できる限り急がなければならない。


 今のところ見張りなど見当たらないが、下手に見つかって騒ぎにでもなったら、それこそ脱出のしようがなくなる。


 穏便に、かつ迅速に、逃げなければいけない。


 かと言っても、明らかに妙すぎる、誰一人いない。どうなってるだ?


 ――っと。


 そう思っていると、僕たちが進む通路の曲がり角を兵士が二人曲がってくる。


「ん?お前ら!」


 ばったり会ってしまった。槍を持つ兵士が二人、出くわしてしまう。


 クッソッ――。


「うおおおおおっ!」


 僕は少女の手を放し鉄パイプを両手に握り、兵士へ全力で走り迫って片方の兵士へと鉄パイプを振り上げ振り下ろした。


 ッ――!


 走っていたこともあって、槍を構えようとした兵士よりも僕の方が少し早かった。兵士が構え斬る前に、僕は鉄パイプをを容赦なく頭に振り下ろすことができた。


 また、鈍い感覚と、震動が両手へ響く。


 でも、そんなことに動揺やためらいをしている場合じゃない。――もう一人いる。


 鉄パイプを受けた兵士はその場に倒れるが、もう一人真横に居た兵士は槍を構え僕に向かって刺そうとしていた。


 やばっ――刺される!?


 そう思って、刺されることを覚悟したその時だった。


「――ぐあっ!?」


 目の前で兵士は物凄い速度で飛んできた何かが当たり、まるで弓に射抜かれたように何かが数本刺さったまま倒れた。


 なんだいまの――!?


 何かが飛んできた方をとっさに僕が向くと、そこには立ち止まって、左手で体を覆う布を抑え右手を前に出す少女がそこに立っていた。その少女の手の前に少女の顔と同じ大きさ程の、青い円の図形が青白い光の線で浮かび上がっている。


 星型や三角、小さく文字が書かれた円形の図形。その図形は少女の前でくるくるとゆっくり回転している。


「キミがやったのか・・・」


 射貫かれ倒れた兵士を見ると、氷の塊がいくつも刺さり、血を流して倒れた。刺さった量と氷の太さからただ倒れているだけではなく、死んだのが分かる。


「・・・・・・」


 少女がうなずき、出していた右手を下ろすと、回っている図形は消える。


 魔法が使えたのか・・・。


 と、言っても実際いまのが魔法なのか分からないけど、命拾いした。いやまあ、命拾いもなにも死なない体なんだけど。少女のおかげで刺されずに済んだ。あのまま刺されながら殴り倒してやろうとは思っていたけど、痛いのは正直嫌なので助かったと言える。


 まさか、僕が助けられることになるとは・・・。


 少女に僕は駆け寄り、また手を握って走り始める。


 階段を見つけ、上り、木の扉を開け、さらに広いくなった廊下を走る。


 牢が地下なんとなくまあ、ベターな展開といえばベターなのだが、そのベターな展開を予想して階段を上った。


 うんでもって、僕の予想は見事に的中する。廊下は木の窓があり、いくつか少し空いているものがあり外が見える。見えた先もすぐさきは石壁になっているけれども、出口に近づいているのは確かだった。


 どこだ出口、どこだ?


 少女の手を引き走りながら、あたりを見渡す。木の扉で部屋がいくつかあるが、どう見ても出口じゃない。


 まるで迷路だな・・・、あれか・・・。


 廊下を曲がったところで、目の前に大きな両開き式の大きな扉が見える。あれが出口か?


 扉は明らかに今まで見てきたものと違う。


 それにしても、ここまで建物の中を堂々と走っているが、さっきの兵士二人以外、やはり誰とも会わない。僕たちをなぶっていたときは何人か入れ替わりで居たのでそれなりに人数は居るはずだと思ったのだけども、やぱっりおかしい。


 むしろ、これだけ兵が居ないのに、最初に入ってきた一人と途中で二人の兵士に出くわしたことが気になる。僕たちをどこかに移動させようとでもしてたのか?


 分からないが、ようやくこの建物ともおさらばできる。


 僕たちは両開きの大きな扉にたどり着き、僕はその扉を押し開けた。



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