033
けれども――その怒りにティアラは動じない。
確固たる意志で、ここに来た目的を遂げる。
「ええ……そうですわ……」
その答えに勇者は静かに目を瞑り、何か噛み締め確かめるようにして……。
心配するクリアに、大丈夫だよ、そう言って。
開けた瞳は真剣な眼で――、
「なら――お前たち早々に立ち去れ!ここはお前たちのようなモノが土足で踏み荒らしていいような場所ではない!」
勇者は、拒んだ。
ティアラや王達を。
きっと――彼はティアラたちが何故この場に居るかなんて分かっているんだろう。
分かった上で、訊いた。
それが――ティアラの意思であるか確かめるために。
自信を思ってティアラたちが進んでしている事だと、明確にするためにして。
だからこそ――彼は拒んだ。
自分は、お前たちが思っているほど柔くない。お前たちの力をかりなくてもどうにかできる。
それは自身でも、不可能だと理解しつつも――変えれない意地があるからこそ。
この世界は自分が守るべきものだと。ここそは自分と大切なモノの居場所であるから。
だれにもソレは頼むこなんてできなくて――みんな守りたくて、たとえ自分がどうにでもなろうと。大好きな花たちを守る為に。
それを――邪魔をするなら、主お前は俺の敵だと。
本当は戦いたくない、敵対したくなんていない。
けれども――それが、彼女のティアラの意思ならば止められてない。
自信がそうしているように……。
勇者の意思は確固たるもので、それと同じようにティアラ意思も確固たる決意から来ているもの。
ここに道は完全に分かたれた。
大切な者を思うからこそ、平行線決して相まみえることはない。
それを僕は分かってしまう。
愛しているから――自分の意思と意地は消えない――と。
そんな勇者にティアラは少し悲しい表情を浮かべて、
「これだけ――いたぶってくれて、よく言ってくれますわ……」
「安心しろ、もう手は出さない。立ち去れ――」
「陛下!?」
その言葉にエリザベーが下げていた、首を上げ驚きの声を上げる。
「信じてよいのでしょうね……?」
「ああ――そんなに決着をつけたいならこの場ではない、ロゼラリアに来い。あそこの住民は既に退避済みだ。そこでなら好きに暴れられるだろう?それまでは、こちらからは手は出さない」
「承知、しましたわ……」
「陛下!」
それを止めるよに言うエリザベート、けれども勇者はそれを無視して――
「ああ――信じてくれて構わない。だから――」
勇者はティアラに背を向けて……
「立ち去れ!」
強く言った。
それにティアラも答えて――。
「……全員!撤退ですわ!」
「ただまあ――この場から逃げおうせたらの話だが……」
ただでは返さない――勇者の一意思とは全く別に……、エリザベートから黒い影が蛇のようにいくたも影が伸びて、
この――クリアの異能は決して存在を許さないという法則のなかでも、それはうねり怒りを上げて。
「ティアラ!」
「なんじゃもう――急ぐぞ!」
「ならば――引くぞ!」
各王がその言葉に反応し、慌てて早々に戻りだす。
勇者の意思とはそぐわない――けれども、勇者の言葉にも、ティアラにもその全てをこの現状を許さない。
そう――怒りからにじみ出る力が――エリザベートを中心に広がって暴れ出して――。




