025
その緊迫感に僕は調子よく一歩踏み出たものの、体は逃げろ、そう危険だと告げ。
圧倒的な神威は容赦なく僕の心を折りかけていた。
クラリアさんはエリザベートへと火縄銃を向ける。
「分かっているわよね?クラリア。ワタシの木の国をあんな教団とか言うゴミ風情に明け渡したコト……」
「はんっ、いつからカフェセトはお主の国になったんじゃ?あれはワシの国じゃよ。なら、どうしようとワシの勝手じゃろ?」
余裕ぶって返しているように見えるが、そうではない。明らかに冷や汗と緊張感は迸っている。
それは、クラリアですれら怒り狂う目の前の彼女が圧倒的な存在と言うことを物語っていた。
それでも――引かないのは王としての威厳だろうか、負けじと意地を放つ。
「ゴミ風情が……」
怒りをあらわにし、罵倒を放つエリザベート、その彼女が黒炎を纏う太太刀を振り構えると、クラリアへ飛びつくように襲い掛かった。
横振りに大きく、振り払われるその太太刀は、空気を両断し空間へと重心をかける神威となってクラリアへ襲い掛かる。
「させませんっ!」
太太刀がクラリアへ振り払われる瞬間、
銃を構えて動かないクラリアとエリザベートとの間、どっからか宙から降り立ち、ティアラとユーリが各々の剣で受け止めた。
凄まじい衝撃破が巻き起きる。
っ……。
それだけで、折れかけた心が折れてしまいそうだ。
その重圧跳ね除け、エリザベートは弾かれ下がった。
目の前にしているだけで、圧倒されてしまう。
けれども――なによりも、二人でなおその威力は殺しきれていない、圧倒的な力を持つエリザベートはもはや、脅威を超えた何かだというのは理解ができた。
この尋常は力は僕たち一人ではどうしようもないというのはただ、頭のなかで理解できる。
遥かに次元が違い過ぎる。
これほどまでなのか――勇者の守護者というのは。
フィーはこれほどの神威を放っていなかった。
あの子は目の前にしても普通の人間と変わらない、ぐらいの威圧程度だった。
けれども――このエリザベートという少女は異なる。
存在が逸脱している。
女神の力を纏うクラリア達を明らかに凌駕して、その威厳さえも覆している。
この世のモノとは思えない。
それを――どうにかティアラとユーリ二人ががかりで弾き返した。
ティアラは騎士のような銀の長剣に金の光を纏わせて、ユーリは赤く宝石でできたような大剣に炎纏わせて、ようやく互角。
いや――それにも、みたっていない。
不意打ちで今のはどうにか弾けたにしか過ぎない。