015
「ミレアスフィール。あまり彼女を責めないであげて」
笑うミレアに対して、ティアラに付き添って立つ女神は言った。
「きゃはは――」
それでも、笑うミレアに怒り一歩踏み出した彼女だが、それをティアラは片手軽く上げ、マリアと彼女の名前?を言って合図をして止めた。
「構わないですわ。事実――ワタクシのしようとしていることはどんな立場であろうと変わらない。ですが、そうだとしてもワタクシはやらなくれはならない」
真剣な瞳で、僕とミレアを見つめながら、ティアラは言った。その眼は力強く。何か覚悟を決めているかのなものを感じる。
でも……。
「どうして、そこまで戦争をしたいんですか?なんでそんなことをあなた達女神は望むんですか?正直、勇者とか戦争とか僕にはどうだっていい。僕は悪い事できてアンジェのとこに行けるならそんなことどうだって……。でも、分からない。ミレアも、他の女神もその王様も、この世界も。どうして自分たちで問題を起こそうとするんですか」
そんなことしなくても、平和に暮らせるだろうに。この人たちはこの世界で自由に安全に暮らせられる。その力を持っているはずだ。
僕とは違う。僕みたいに抗わなくてもいい筈だ。簡単に幸せを掴めるはずなんだ。
なのになんで、その幸せを自分で捨てるようなことをする。
今のままでいいんじゃないのか?
わざわざ自分で不幸になりかねいことをしなくてもいいじゃないか。
「誤解があるようだ」
抱き着いたままのミレアと椅子の逆側に立っているネベリアが言った。
「アタシたちは戦争をしたいわけではない」
ネベリアにユーリが続ける。
「恩返しだよ恩返し。僕たちは勇者に恩返しがしたいのさ」
「恩返し?」
でも、戦争をするって……。
「アルたちはあの子に感謝してる」
「だからって言ってももうお役目ごめんなのよねー」
「ラナ、言い方。それじゃあボク達があの子を邪魔ものだと思っているみたいじゃないか」
「まあまあ――私たちは、なにも戦争がしたいんじゃないんだよ」
次々と女神が僕の疑問を否定して最後に光の女神がその場を収める。
ならどうして……。