第9話 ※これでまだ初日です
もし回顧録作ったら祐筆さん死亡確定ー。
長い廊下を小走りで戻りながら色々質問攻めしていく。
「アイザック殿、王様に謁見するにはどれくらい待ちますか?」
「通常手続きですと1か月はザラですが、『ライケン』や『ライユウ』なら一足飛びですな」
「それは、下手したら恨まれませんか。緊急時ならいざ知らず、平時までそんな扱いされたら」
おまけにつけあがりそうだし、とは言わないでおいた。あの高校生達がもしつけあがらなかったらいい先生がいるんだろうと御の字、つけあがったら相応の対処は必要だろうけど、ここらへんは王様達の腕次第だ。
「思慮深いあなたが心配するのも分かります。数代前の王はそれが原因で処刑されたと記録が残っております」
そりゃ戒めの為に誰が何と言おうと残すわ。同じ事考えてた人はいたんだね、よかった。
「謁見するには事細かな仕来りがあると聞いてますが、恐らく控えの間で侍従長から指示を受けるでしょう。ぶっつけ本番ではありませんから、そこは安心なさってください」
「ありがとうございます。そう聞いて気が楽になりました」
緊張していたのが顔に出ていただろうか。
「私も頑張って観察してみました。お役に立ったなら何よりです」
気遣いも出来るとか最高か。組む相手はあまり選ばないけど、彼となら楽しくやれる。
控えの間に行くと、気難しそうな顔をした灰色の髪の年嵩の男性がいた。
「侍従長殿、こちらのマルハシ殿が謁見を希望しているが、可能だろうか?」
「可能といえば可能ですが、今から晩餐まで増やせるかというと疑問ですな」
「いえ、謁見させて頂くだけで光栄です」
勘弁してくれ。こっちも遠慮したいけど向こうだって遠慮したいだろう。知らない人達と一緒にご飯とか精神的に大変だしね。
「それに人数増えると肉の量減ってスープは薄くなるし」と小さな声で言ったら隣が「んぐっ」と吹き出した。侍従長は一瞬ニヤッと笑ったように見えたが、一瞬すぎてわからなかった。
時間もないので慌ただしく風呂で磨き上げられ、灰色の地に銀糸で控えめに刺繍された上着と黒のズボン、膝下丈のブーツを身につけた。
次の間には高校生達が制服姿で待っていたが、俺を見て「おや?」という顔をした。
「謁見は僕達だけだと思ってたんですが、お急ぎの方ですか?」
「いえ、こちらの方もです。ではご案内致します」
学生達からは「誰だあの人」とヒソヒソ囁かれまくっていたが、まあ仕方ない。召喚の儀式を途中退席したもんな。むしろ顔覚えられてたらちょっと困る。…というか君ら、少し声が大きいからほぼ聞こえてるよ。
「今代の『来勇』殿、並びに『来賢』殿が参られました!」
入口で口上が述べられ、殿上人達がいる謁見の間に足を踏み入れる。
王様は、脇に控えた宰相がこちらと問答している間、垂れ気味の瞼の下から用心深く観察していた。
国内に滞在している間は支度金として一定額が毎月支払われるそうだ。
学生達はしばらく体を鍛えてから各地の戦線を回るそうだ。
対人戦でPTSD起こさないといいけど。アメリカじゃベトナム戦時代から社会問題になってるし、最近だとイランイラク派兵。戦争に限らないとなるともっと多くなるけど、最近の高校生って新聞読むんだろうか?




