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第2話 初日


戦争という厄介な熱病に罹患者大量発生中パンデミックの青少年を尻目に、儀式を取り仕切っていた責任者、王宮魔術師の某(覚えづらかったので割愛)に事情を説明し、室外に出ると溜め息が出た。


……どうしてこうなった。


物心ついた頃から「俺は運が悪い」と自覚していた。特にくじ運は最悪だ。

商店街の福引でもほぼティッシュくらいしか当たった覚えがない。

商店街が櫛の歯を欠いたように活気を失い、シャッター通りとなった後はショッピングモールでだが、場所が変わっても運の悪さは変わらなかった。

事故や事件に巻き込まれたり、難病にもなる事無く30代まで生きられた点、そこだけは幸いだ。ノロや炭疽菌とかテロにも巻き込まれなくてよかったわマジで。


「災難でしたな」

部屋の外まで付き添ってくれた騎士が優しい言葉をかけてくれたので一瞬不覚にも泣きそうになった。

実務重視なのか、全体的に短い髪は濃い茶色、瞳は緑色。

歳は20代から高く見積もって40代頃、外国人モデル並みの高身長に逞しい身体。

渋さと甘さが絶妙なバランスで配合された整った顔立ち。

「困ったことに昔から運がなくて。でもお気遣いありがとうございます。ええと」

「おお、これは失礼。私はアイザック・バラン。騎士隊の中隊長です」

「丸橋樹です。どうぞタツキとお呼びください。それと重ねてありがとうございます、アイザック様」



「タツキ殿、あなたはどんなご職業なので?」

中隊長室でアイザックさんから紅茶を振る舞われながらそう聞かれた。

「私は介護士と看護師です。介護士はお年寄りや障がいのある方が日常生活を送れるように手助けする仕事ですね。看護師は医師の補佐や、患者の療養中の世話をする仕事です。私の国では、どちらも専門の学校や授業を受けた上で国家資格、つまり国が定めた試験を合格しないと取得できない資格です」

「はあ」

介護士、看護師と名乗った時点でアイザックさんの顔から説明する必要性を感じた。腐るほど毎日毎晩人間観察してきた経験から言うと、あれは絶対分かってない顔だ。


「ではアイザック殿、騎士になるにはまずどうすればいいんでしょうか?」

説明を噛み砕く前にこちらから逆に質問する。そこから分かった情報を基に、分解再構成しよう。

「騎士になるには、幼少期からの訓練から始まり、従騎士を経て、叙勲されることです。叙勲されると晴れて一人前ですな。

求められるのは主君への奉仕、教会への奉仕、そして貴婦人への奉仕。これが騎士の精神です」

「なるほど、ありがとうございます」

ではこちら風に言い換えると、専門学校での授業や実習が幼少期からの訓練と従騎士期間、国家試験に合格は叙勲という事でいいのだろう。

大雑把すぎる説明だが、「とても理解しやすいですな」と言ってもらえたのでまあいいとしよう。

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