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第19話 属性の(思考的)改革

いつから俺に注目ついでに勘違いしていたかと聞いたら、カムデンはにやりと笑って「昨日、君らが執務室でいちゃついてたところから」と爆弾発言してくれた。

「いちゃついてた」と言われて、可哀想に固まってしまったアイザック。復活するまでの時間稼ぎをしよう。

「カムデンさんはアイリスにご執心で?」

「僕とアイリスは、あー、お互いちょっとした問題があって」


ちょっと?大体、人が言う時の内容がちょっとで済んだ試しがない。

じろりと睨むと、復活したアイザックが顔を顰めた。

「おい、あの痴話喧嘩で兵舎の半分が吹き飛んで、巻き添え食ったのが30人はいたんだが?」

「あれは痴話喧嘩じゃない、むしろ一方的な暴力だぞザック!彼女の魔法を避けなかったらこっちが壁のシミになってたさ!それに巻き添え被害者は18人だ。打ち身も負傷に入れたら、まあそれくらいか」

へー、こっちには魔法があるんだ。便利であれば何でもいいけど。

「あれ、驚いてない。もしかして来賢殿の来た世界には魔法があるのかな?」

「『魔法に近い』と称されるモノはありますが、魔法そのものはないですね。あの高校生達は大はしゃぎしていましたか?」

「ああ確かに。その場で試そうとしたから陛下や大臣達は真っ青になってた。ええと、どういう事だ?魔法に近いけど魔法はない?んんん?」

首を傾げてもカムデンは可愛くないから却下。

科学はとことん突き詰めると別世界から見たら魔法みたいになるし、魔法は現実的に解明して細切れにして再構成したら科学的になっていくとかだろう。だがそこまで教える義理はない。

「魔法の事を詳しく教えてください」


こちらでの魔法は4属性の火、水、風、土とどこかで聞き慣れた話だ。

そして聖魔法や闇魔法の適合者はごく僅か、見つかったが最後、争奪戦は間違いなし。これもよくある話。

だが無属性という属性もあるという。妙なものだ。5属性だと表現する者もいれば、4属性だと伝統に固執する者もいる。

魔法には反発する属性も、相乗効果を表す属性もある。重ねがけすれば単一よりも操作は複雑になるが、殆どの場合は威力が増す。

だが、闇雲に重ねがけした属性と一つに絞って突き詰めた属性とがカチ合って、単一属性の方が勝ったという話もある。

相性もあるし、使う側の力量もあるんだろう。

「アイザックは何の属性ですか?」

聞いた途端、滅多に泳がないアイザックの目がはっきりと泳いだ。

「来賢殿、あまり意地悪はしないでください。属性については言いたくない人もいるんで」

「ガス、私は大丈夫だ。ありがとう。…タツキ殿、私の属性は土です。一等地味だと評判なね」

少し険しい顔をしたカムデンにやんわりたしなめられたが、アイザックははっきりと自嘲の響きで声に出した。


だがここで、悪い事を良い事へ置き換えてみよう。医療系の必須スキル、表現の転換だ。


「土属性、悪くないと思いますよ。むしろいいと思います!こちらの常識はどうだか知りませんが、土属性って多方面に応用できますからね。農業に工業、鉱業、勿論建築もあります。使い方と発想によっては今までにない方向へ開花できるかもしれません。

例えば騎士の剣や鎧。殆どは一点ものと聞いてます。自分で多少は補修できるなら、職人さんが全部やるよりも少しはお金の負担は軽くなるでしょう?勿論、専門の手は借りないといけないでしょうね。…よっぽどの下手くそだったら素直に専門家にお任せするべきですが」

戦争的利用法はカット。どうせ誰か、あの高校生達か誰かが思いつくだろう。


「はっはっは!そうか、そう来たか!確かにザックは鎧や剣の簡単な修理なら誰より早いからね。なるほどなるほど、これが来賢殿のもたらす革新か。素晴らしい」

カムデン。そんな興奮してると怖いぞ。

「カムデンさんは武器フェチですか?」

「ちっがーう!!」

「まあまあそう仰らず。趣味嗜好を打ち明けるのは度胸がいりますものね」

あらあらうふふと生ぬるい笑顔で優しく撫でてやっていたら、遂には泣いた。チッ。

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