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第10話 いざ、異世界でのホームステイ

謁見の間から出て外を見るととっぷりと日が暮れている。

王城には泊まりたくない。何だか猛烈に嫌な予感がする。

「どこか宿を教えて頂けますか?少し高くても大丈夫ですよ」

手元には1万セラトニア金貨の入った革袋がある。控えの間で「支度金の一部です」と渡されたものだが、こっちにセキュリティがしっかりした宿ってあるかなあ。

「今から宿を探すのは時間がかかりますよ。でしたら、当座しのぎにどうぞ我が家にお出でください」

「いや、そこまで甘えるのも」と言いかけたけど、さすがに騎士の家に押し込み強盗とか入らないと思いたいし、ここまで言うならお世話になろう。そういえば忘れかけてたけど貨幣の話とか色々聞きたい事はある。

「解りました。お世話になります」


「タツキ殿は馬に乗った事はおありか?」

「いえ、全くないです」

厩舎で対面したアイザックさんの愛馬はデカかった。地面から肩までがアイザックさんの身長くらいあり、長い睫毛の下から大人しそうな目がこちらをじっと見ている。

「この子は何て名前ですか?」

「こいつはジョージです。家同士で付き合いのあった家から若駒をもらいましてね。頭がいいので助かってます。ジョージ、この人はタツキ殿。仲良くな。鞍は詰めれば2人は乗れますよ。お先にどうぞ」

頬を撫でさせてもらい、鐙を使って何とか鞍によじ登った。次いで素早い身のこなしでアイザックさんが後ろに乗り、手綱を取った。

「着くまでは少し時間がかかりますので、どうぞ楽になさってください」

馬上でどうやって寛げと言うのか。ツッコミ入れたかったけど少し背中を凭れさせるようにした。


王城から正面の跳ね橋を通り、城下町へと向かう。小高い山の上から緩やかに傾斜した道で下りていく。

街並みから想像するに、王城から近場の住宅は貴族や騎士、真ん中辺りが中流階級、裾の方は農民などだろうか。

そして街中の大通りをゆっくり進んでいる訳だが、あちこちからものすごく視線を浴びているし指も差されている。ついでに噂でもされているのか、大通りに入った頃より人が増えた気がする。ジョージ、進みづらくてごめんよ。

「外を出歩くだけでこんなに大ごとになるなら、顔は隠した方がいいでしょうか」

「かもしれませんな」

「でも今の手荷物では顔を隠せる物がないので、上着をお借りしてもいいですか?」

昔見た時代劇で、外を出歩いている女の人が頭から着物を被っていたのは可愛かったのを覚えている。一瞬ギョッとしたけど。

俺には可愛さは微塵もないけど、軽く顔を隠せるならいいかなと思って言ったが、アイザックさんは若干渋っていた。まあ人から「上着貸して」とか言われたら汗臭いかもとか気になるよな。

「こういう事なら一張羅を着てくるべきでした」

苦虫を噛み潰した顔でそう言われたが、何故一張羅なんだろう?儀式に備えてか?そんなに気張られても。



どうにか人混みを抜けて、住宅街の一軒の家の正門に辿り着いた。

先に降りたアイザックさんの手を借りて地面に降りる。

さて、どんなご家族なんだろう。緊張する。

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