京都冬物語上
今夜も雪が降ってはりますね。」今夜の雪はいつもの雪とは違った。朝子はいつものように言う。これが夜の寝床に着いた時の口癖である。かといってすぐには目を閉じるわけがない。自分にも口癖があった。「皆は寝てはりますかな」自分はひどく心配症のためにいつもしゃべってしまうのでありながら、他の人間は寝てしまっているのである。他の人間が寝ていることが分かり自分も深く恥ずかしがっていた。それがいつもの最後の会話なのだ。いつものことだからもう慣れているのがこの今野家の日課なのである。次の日には朝子は起きいつものように朝食を作っていたのである。それから一日が始まるのだ。他の人間というのは子供二人、叔父、叔母のことだ。子供は決まっていつも泣くのが一人、一六歳の礼儀正しい者がいる。叔父は骨折をし、叔母は外に出ないのがいつもである。朝子と自分は結婚して四年。まだまだ新婚と言ってもおかしくないだろう。今日は良い一日になると思ったが昨日の夜の鳴く声で起き一溜りもなかった。そんな自分は馬車の運転士であり、会社の社長でもある。それゆえに16の息子は、結婚とはいかないが付き合っている男がいるという。反対に叔父は病床では喚きもがき苦しむ痛さがあると言っている。が、その行動は顔に出、段々と合併症を起こしてきたと思われる。さすがに駄目だと思ったものもいたが、叔父は無理をし、とうとう倒れ緊急で病院へ搬送されたが狭心症であっけなく最後の会話もせず命を絶ったのだった。それから3年。後追うようににし、叔母も自ら命を絶ったのである。なぜだか分からないが、色々なことがあったのかどうかもう一度3年前に戻し編集をしてみる。ただただ、叔父・叔母の笑顔が頭の中を廻っているだけだった。自然と涙がこぼれる。いわば、泣いている瞬間と叔父・叔母の笑顔が混じり変な世界へ引きずり込まれていった。何もかもが馬鹿馬鹿しくなり自分が生きる気力さえもなくなっていったのである。ボーっと路地を歩いていると雪がしんしんと降りだしてきた。それが段々と積り、もう一度自分の過去を振り返ってみた。第一声が「こんな日にいつものように口癖がこぼれてはりますがな。」周囲の人には独り言だと思われつつも過去の世界へ入り込んでしまい、朝子のことを考えながら路地の少し濡れたじめじめしたど真ん中の地面へ倒れ、大声で泣く、自分の画は大体予想がつく。数分経ち、自分は再び歩こうとするが、擦り傷が出来、あたり一面には広大な雪国としか思わなくもない。路地は18cm位の雪の覆われており、自分の皮の温度で傷口がきりきり痛むと同時に雪が傷口に浸み込み益々痛む。しかも、藁草履をはいていた自分は酷く足が麻痺し、感覚がなくなってくる。こんなことを考えながらしばらく歩いていると、家に着いた。朝子とよく泣く子が酷く心配をしていたが故に寒い格好で帰ってきたために、大変叱られた自分であった。数時間後慣れた空気に久しぶりの会話が始まるのである。「そういえば一六の者がおらんこと築いてはりましたか。」朝子が言う言葉に吃驚し戸惑う自分がなぜか、情けない人だなと思った。見当たらないとは思ったが、なぜだか逆に聞いてみた。彼氏に振られ「でかける。」と言いそのまま帰ってこないため今考えていたという矢先に自分が帰っ
て来たのであり、朝子は」無我夢中になっていたのだという。その話を聞きまた自分は情けないなと思う。すると玄関から戸をたたく音が聞こえた。そこには朝子が行き、自分は寛ぎながらラジオを聞いていた。一方、朝子の方では、「ガタン、ガタン」と乱暴な手付きでドアをたたく音が聞こえ、慌ててドアを開けると・・・
初めての連載小説です。
どうぞ皆様お気軽に見て下されば幸いであります。
次回もご期待下さい。