橙の雷 Ⅱ
エンディの黒い髪がカッと赤くなりラジェンと戦いだす。
赤い炎と橙の雷が物凄い音をしながらぶつかり合う。
炎の玉と雷の玉がぶつかると爆発がおきた。
「ちっ。」
エンディは爆風でヘルオーラが怪我をしないか心配になり振り返る。
がその心配は杞憂のようだ。
ヨリョカが然り気無くヘルオーラの隣にいて木での結界を張っていた。
結界を張っているヨリョカは緑の髪に緑の目になっている。
ヨリョカがヘルオーラを守るのに不満を感じるがラジェンの相手をするなら仕方ないとも思いエンディは戦いに専念する。
相性は互角だからなのか時間が経つとエンディもラジェンも傷が増えてきた。
「なんでママを裏切ったのよ!」
「裏切ってない!もう仕事をしたくないんだ!」
「ママがあの人達の言う事聞いて良い子にしててねって言ったじゃない!」
エンディとラジェンは力の押し比べから口論を始めた。
ヨリョカは二人を見守りヘルオーラは怪我をしたエンディを心配そうに見ている。
「パーム母さんがあんな事しろって言うわけないだろ!」
「そんなの当たり前じゃない!でも良い子にしてないとママと会えないって言われたら仕方ないわ。」
言いながら涙ぐむラジェンはパームがただただ好きで研究所の言いなりになっているのがわかる。
「ラジェン。」
ヨリョカはとても悲しい響きで呟く。
ラジェンとヨリョカは自我が芽生えた時から、すでにこの研究所にいた。
あまり力がないラジェンは酷い仕打ちを受けていた。
それをパームが自分の研究を手伝って欲しいと救い出してくれた。
故にラジェンはパームへの思いは強い。
「ママとの記憶が大事だから。あたしはここを裏切るわけにはいかないのよ!」
ラジェンが強力な雷をエンディに落とす。
防いだが防ぎきれずエンディは倒れる。
「エンディー!」
ヘルオーラは叫んだ。
エンディはよろよろと立ち上がるが口から血が出ている。
肩で呼吸をしているから、相当のダメージなのだろう。
「過去の幸せを守るお前にこれからの幸せを望む私が負けるわけにはいかないんだよ!」
エンディは最大級の力をラジェンにぶつけた。