緑の木
エンディとヘルオーラが訪れたのはエルメリーの端の森。
ヘルオーラとフルエーラが住んでいた場所も人が住むのにギリギリの森なのだが、その更に奥に来ていた。
「私がいた場所は魔法錬金術使いパームの研究所だ。」
パームはエルメリーでも有名な魔法使いであり錬金術使いだ。
色々な功績を出すが研究に没頭しており、その後の使用方法等の管理を怠ったりする専らの研究者だ。
パームにより自分は生み出されたと言ってもエンディには過言ではない。
自分を生み出し良いように使う研究所に嫌気がさしエンディは研究所を逃げ出した。
そして、もう2度と戻らないと決めていた場所にエンディは戻ってきた。
城の様な建物。
その門に近づく。
門の前には背が少し高めの少女がいた。
年齢はフルエーラより若くエンディより年上に見える。
長い赤茶の髪を左側に一部飾りを付け結んでおり、灰茶の目をしている。
少女はエンディを見て
「あー!髪切っちゃったの~?勿体無い。」
緊張感なく話かけてきた。
二人共、気持ち的には転けたくなっただろうがお構い無しに少女は喋り続ける。
「あたしはヨリョカ。少年くん可愛いね~。」
ヨリョカはヘルオーラに握手を求めて手を出すがエンディに叩かれた。
「いた~い。ノヴァルさんの言う通り帰って来るから待ってたんだヨ?」
頬を膨らまし怒ったかと思えば、呑気な感じに笑いエンディの帰りを嬉しそうにしている。
どうやらヨリョカはかなりマイペースな性格のようだ。
ヘルオーラは緊張していたが少し安心してしまう。
「私を見付けたら倒さなくて良いのか?」
嫌味たっぷりでエンディは言うがヨリョカには伝わらないみたいだ。
「なんで~?相性悪いからパ~ス。ねぇねぇ少年くんのお名前は?」
ニコニコしながら害もなく問われてしまえばヘルオーラは素直に名乗ってしまう。
「ヘルオーラだよ。」
「ヘルオーラくんね!案内するから来て~。」
奇妙だが打ち解けながら先に進むヘルオーラとヨリョカにエンディは溜め息をつくしかなかった。