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ある日死んだら女神様  作者: 肝太
ホーンラビット
6/11

初めてのクラスチェンジ

【名前】ヘルガ

【種族】ホーンラビット

【レベル】5

【称号】幼生

【クラス】ノーマル

【ジョブ】なし

【スキル】<真の右眼><打撃耐性・小><敏捷UP・小>

【装備】祝福された革の胸当て

【仲間】なし




ウサギになってからというもの、俺はねぐらの木の根元に正の字を書いて日数を数えていた。

その日も朝日が昇ると共に俺は起きだすと、ちょうど4つ目となる正の字をその額の角で木にゴリゴリと書いていた。


ここに来てそろそろ3週間か・・・。けっこう大変だったな。


順応性が高いのか、ウサギの体のせいなのか、ゴツゴツしたねぐらで寝起きしても問題はなさそうだった。

主食は芋虫グリーンキャタピラ。来る日も来る日もそればっかり食べており、いいかげん飽きてきていた。幸い奴らはその辺にいくらでもいるため、エサにはあまり困らなかったが。


この胸当てと<真なる右眼>の能力がなければ、俺は危うく当初の目的を忘れ、ウサギとしての生をまっとうせんばかりの勢いであった。

いかんいかん。

このまま独りで生きていくなんてさびしすぎる。

そう、これはあくまで仮の姿のはずだ。

じきにもっと知性のある種族に転生し、信頼できる仲間を、ゆくゆくはエルフの妻を、果ては女神様を手に入れなければならない。

<女神従属>が使えるようになる日が楽しみだ。

どんなふうに従ってくれるのかな~♪


と、いくら邪悪な考えを弄んでも、誰も叱ったりしてくれる人は周りにいない。

さ、さびしい・・・。




この20日間のほとんどの時間は、周辺の地理探索に当てていた。

しかし、行けども行けども森。

ここから片道半日程度の距離は、すべての方位ともあらかた調べつくしてしまっていた。

朝日とともにひたすら同じ方角にいき、喉の渇きを覚えれば取って返す。夜にはダーククロウに見つからないように、ねぐらでじっとする、ということを繰り返していた。


この世界でも東から太陽が昇るのだとすれば、ねぐら近くの川はちょうど南北に走っていた。

その川沿いを歩けば水の心配をしなくてよい。

ねぐらから南北の方位に関しては、片道2日間の距離はすでに踏破していた。それでも、ついぞ森の切れ目が見えることはなかったわけである。


そして、はるか北には高い山が連なって見える。

この小川は北の山から流れる川の、か細い支流か何かであろうか。

この川を下流にくだれば、いずれは海岸に当たるのかもしれない。

また、その海岸沿いを根気よくあるけば、人里にあたるのかもしれない。

しかし、モンスターの姿で人里におりてなんとする。

人と出会った際には全力で逃げる。

人里には近づかない。

そんな方針をおぼろげに立てていた。


地理の他に、モンスター分布にも一定の傾向があることがわかった。


ここから南へ行けば行くほどオークに出会う確率が高い。


そして、北に行けば行くほどゴブリンに会う可能性が高い。北には更に真っ白な二つ首の大蛇であるダブルスネークが生息していた。さらには、人より巨大なサイズを誇る大蜘蛛のジャイアントスパイダーを1回だけ見たことがあった。北は危険なところだというのがわかる。


芋虫グリーンキャタピラダーククロウは神出鬼没で、どこにでも出てきた。

ダーククロウは高いところにいることが多く、いつも見つかるのではないかと怯えて移動していたものである。ダーククロウを前方に見つけるたびに、大きく奴を避けて迂回しなければならないため、すぐ迷子になりそうになった。ある意味、こいつは本当に厄介なやつだ(泣)。

そう、俺はやや方向音痴なのだ。

やや、だぞ。やや。

ちょーっとだけ、道を迷っちゃうことがあるわけだ。

同じような景色が続く森の中なら仕方あるまい。

誰にでもあることだ、ウン。


南東あたりでは、ほとんど芋虫グリーンキャタピラにしか出会わない。

同族やスライムには終ぞ出会うことはなかったし、いわゆるハイゴブリンなどの上位種にはまだ出会ったことはなかった。


暫定的な強さ順でいうとこんな感じだ。

オーク(南) >ゴブリン(北) > 巨大蜘蛛ジャイアントスパイダー(北?) > ダーククロウ大蛇ダブルスネーク(北) > ホーンラビット(いない) > 芋虫グリーンキャタピラ > スライム(いない)


オークやゴブリンは群れを成すことが多く、種としての個人の強さは正確にはよく分からなかった。

拠点から北をゴブリンランド、南をオークランド、更に南は海だと俺は勝手に呼んでいた。



そんなこんなで探索をしながら芋虫グリーンキャタピラばかり狩っていた俺だが、かなり強くなっていた。



【名前】ヘルガ

【種族】ホーンラビット

【レベル】19

【称号】駆け出し

【クラス】ノーマル

【ジョブ】なし

【スキル】<真の右眼><打撃耐性・小><敏捷UP・小>

【装備】祝福された革の胸当て

【仲間】なし



初日には既にレベル5になっており、<敏捷UP・小>を取得していた。

そこからまた徐々にレベルは上がり、20日も経つころにはレベル19まで上がっていた。

角もこころなしか成長して伸びてきている気がする。


次なる目標は・・そう。

レベル20になったら、川沿いに北を目指そう。

水を蓄える術のない俺にとって、川から離れるのは怖い。

もっと北のどこか川から近いところを第2の拠点として、そこで大蛇ダブルスネーク狩りを試してみよう。

ダーククロウには下手に手をださないつもりだ。空への攻撃手段がないから、ダーククロウと俺の相性は悪い。途中、ダーククロウに見つかったら、いままでどおり即撤退の方針でいこう。

夜は見つからないようにガクブルだ。


なーに、もし危なそうな時は、川沿いに戻れば迷子になることなく最初の拠点に戻れる。

この先死ぬことはあるかもしれないが、干からびて死ぬような苦しい死に方だけはごめんだ。


・・・そういった意味では迷子が一番怖い。




次の日にはレベルが上がらなかった。

そして更に次の日。生まれて22日目の昼。


その日何匹目になるか分からない芋虫グリーンキャタピラを狩り終わった俺は、体が急に熱っぽくなるのを感じていた。

体の内から力が湧き上がってくるのを感じ、破壊衝動が体を支配する感覚に襲われる。その欲望のままに近くの木に体当たりを何度も繰り返す。


突然バリバリバリっと電流が全身を流れているような感覚に思わずうずくまり、それを払いのけるように頭を上げ、咆哮をあげる。


「ガァアアアアアアアア!!!」


気がつくと、破壊衝動や電流の感覚は消えていた。

落ち着いて自分を見る。

今まで灰色だった毛並みは、燃えるような赤色に染まっていた。

体もひとまわり大きくなったようだ。

さっそく<真の右眼>にてステータスを確認する。


【名前】ヘルガ

【種族】ホーンラビット

【レベル】20

【称号】駆け出し

【クラス】レア

【ジョブ】なし

【スキル】<真の右眼><打撃耐性・小><敏捷UP・小><疾風突き>

【装備】祝福された革の胸当て

【仲間】なし


いまの変身はクラスチェンジによるものだろうか。

今までのレベルアップとは比べものにならないほどの大きな力が湧いてきたような気がする。


よし、北へ移住だ!

待ってろ強敵ども!!




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

グリーンキャタピラを倒したことによりレベルが上がります。


ヘルガ:Lv5→20

称号が幼生から駆け出しに変わります。

クラスがノーマルからレアに変わります。

スキル<疾風突き>を覚えます。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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