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ある日死んだら女神様  作者: 肝太
スライム
3/11

初めての限界

お越しいただきありがとうございます。

【種族】スライム

【レベル】2

【称号】幼生

【クラス】ノーマル

【スキル】なし

【装備】なし

【仲間】スラ吉




芋虫グリーンキャタピラとの死闘の後、俺とスラ吉は最初に出てきた洞窟で一晩を過ごした。

あの戦いの後、スラ吉は俺についてくるようになった。

俺が芋虫の半分を餌として与えたのが気に入ったのだろうか。


昨日の夜はスライムとなってしまった自分をみて、神を恨み世界を恨んでいた。

その後たっぷり悲壮感を味わっていたため、狩りどころではなかった。

今でもどこかでこれは夢じゃないかと考えている自分がいる。

なんにせよ分からないことだらけだ。


じっと落ち込んでいると、スラ吉がバッタを目の前に置いてくれた。

慰めてくれているのだろうか。

それともたまたまか。下等生物にすぎないスライムが感情を持っているとは考えにくい。俺はもともと人間だから特別頭が働いているのだろうが、目の前のコイツはきっと何も考えていない。

そう、たまたまさ。たまたま気まぐれでこいつと一緒にいるだけ・・。

それでも、せっかく目の前のコイツにもらった命。

とにかく生きて生きて生きることにした。


よーし、やるぞ!スラ吉!


当面の目標は、体のサイズを上げるため食べまくることとなった。

もちろん、目の前のスラ吉とは会話ができないため俺が勝手に決めたことだが。

もしスラ吉の他にもスライムの同族がいるのなら、餌付けして仲間にするのもいい。

スライムが群れを作るのかどうかは知らないが、もし作るのなら群れに入れてもらうことも考えなくてはならない。

なんといっても俺たちは最弱のスライムなのだから。


俺たちは体がひとまわり大きくなったためか、全身運動による移動が少しだけ速くなっていた。

かといって、昨日の芋虫は危険だ。

まずは決して無理をしないことだ。いやいやながらもバッタを食べて体を大きくすることとした。

食べてみると、美味くはないものの決して食べられない味ではない。


俺は生きる!

俺は負けない!

俺は強くならなければならない!

草原中のバッタを食べてやるぞー。



その日も次の日も、一日中草原のバッタをスラ吉と食べ続けた。



もともと小さかった俺たちの体はみるみる大きくなり、なんと2倍程度にまで大きくなっていった。

動くスピードはもっと速くなり、視界ももっと高いものとなっていった。


これはすごい!


バッタを食べただけなのに、どこまでも強くなっていくような感覚を覚えた。

今のサイズなら。2匹でなら。

あの芋虫1匹なら簡単に倒せるのではないか。いや、2匹でもいけるぞ!


俺はうれしくなって、さっそく力試しに森へ入っていった。

思えば、だんだんスライムの姿が板についてきて、思考力が鈍っていたのかもしれない。

もっと慎重になるべきか、とも思ったが、人間のときのような臆病さや狡猾さはどこかへ四散してしまっていたようだった。


何の策もなく、またしても森に入る俺とスラ吉。

なるべく1匹のみの芋虫を狙おう、などと考えていた。


しばらく進むと。


いた!!

あの忌々しい芋虫だ。

バッタなんかよりも数倍大きく、俺にモンスターの恐ろしさとスライムの弱さを教えてくれた芋虫だ。

今は俺たち2匹のスライムのサイズが圧倒している。

以前はあんなに大きく見えた芋虫も、今ではなんだかそんなに大したことがないように思える。


こちらに気づきローリングを仕掛ける芋虫。

俺がそのローリングをかわし、もたもたしているところをスラ吉が襲う。

スラ吉の攻撃をなんとか避ける芋虫。

そこを俺がさらに追撃する。


つかまえた!

なんとか芋虫を捕食した俺は難なく芋虫を窒息死させる。

そうしてゆっくりスラ吉と芋虫を分け与え捕食していく。



そんな感じで、その日俺とスラ吉は芋虫狩りに精を出していた。

バッタのそれとは比較にならないスピードで、俺たちはそのサイズを増していった。


やった!

とりあえず序盤の一番マゾいところは脱したかな。

あとは自分の実力に合った敵を捕食しながら実力をつけていけばいい。


何匹目かを狩りおえ、ほくほく顔で食事中の俺たちの前にそいつらは現れた。



ウサギだ!

ポメラニアンなんかの小型犬より全然大きいぞ。芋虫のサイズの比ではない。

しかも1匹じゃない!3匹もいる!!

それらのウサギはみな一様に、額からするどく長い角を一本生やしていた。


これは勝てない。

俺たちは先手必勝逃げ出すことにした。


走れスラ吉!!


俺たちはズズズズぷるんっと、精一杯のスピードで逃げ出す。

それこそ脱兎のごとく逃げ出したつもりであったが、あっという間に角兎たちに囲まれる。


ピーーーンチ!!


だれか助けて!

神様仏様スラ吉様!

へるぷみーーー!!


俺の願いもむなしく、角兎たちの動きは速かった。

あっという間に俺たちに角をぶつけ、振り回し、俺たちの体の粘液をふきとばす。


ああ、もうダメかもしれない・・・。


そう思って横をみると、すでにスラ吉の姿はなく、バラバラとなった緑色の粘液だけが残るのみであった。


スラ吉・・・・。


そこで俺の意識はとぎれる。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ゲームオーバー。

主人公(Lv6)はホーンラビットに倒されました。

スラ吉(Lv6)はホーンラビットに倒されました。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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