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フッ軽男

掲載日:2026/03/05

短編です

 夜、仕事から帰ってきたら急に「今からきて」なんて送ってこられたから、慌てて車に飛び乗って、彼の家まで来てしまった。

 付き合って5年、そんな風に声をかけてくることなんてほとんどなかった彼から急にこんな甘えたような内容が送られてきたら、どんなに忙しくても来てしまう。惚れた弱みってやつかな・・・。

 アパートの駐車場に車を停めて、彼の部屋の前でチャイムを押して待つ。でも誰も出てこない。うんともすんとも言わない。

 メッセージを送ってみたけど、返事もない。もう、しょうがないなぁ。カバンを探って合鍵を取り出した。差し込んで鍵を回したのに、鍵が開かない。え、開いてたの?じゃぁそう言ってよ。

 もう一度差し込んで鍵を回すと開いた。まったくもう。

「あのぉ」

 後ろから声をかけられた。

「彼に何か用ですか?」

 なんだか可愛い感じの女性が立っていた。有名キャラクターのキーホルダーをつけた鍵を持ってる。

「彼って・・・この家の彼の事ですか?」

「え、はい・・・え、待ってどちら様ですか?」

「え、いや、あなたこそ・・・私は、彼の彼女ですけど」

「私が・・・彼女ですけど・・・」

 時が止まった。こんな偶然ってあるの?って言うか、浮気相手とよろしくやってた時に私呼ぶとかどういう神経してるわけ!?

「え、っと、今いらしたんですか?」

「え、はい」

「私も今来たんです。珍しく“会いたい”ってメッセージがきたから」

「私も・・・“今からきて”って・・・」

 以前から少し抜けているところがあると思っていたけど、まさか彼女を呼んでおきながら浮気相手も呼ぶなんて、なんてバカなの!?

「ちなみに、私・・・6年付き合ってます」

 負けた。って言うか、そうなると私が浮気相手じゃん・・・。どういうことなの?

「わ、・・・私も6年くらい経ちますけど?」

「あぁ・・・そうなんですね・・・はぁ、そんな人だと思わなかったなぁ・・・」

 お?これはもしかして、私の方が可愛くて身を引くってことかしら?それならまぁ、許してあげなくもないけど?

「とりあえず、話聞きましょうか。彼から」

「・・・・そうね、どういうことなのかはっきりさせましょう」

 鍵が開いていたということは、家にいるはず。あいつ、今日はどっちを呼んだつもりなのかしら。

 ドアを開けて声をかけたけど、返事がない。でもテレビの音はする。いるのかいないのかよくわからない。って言うか呼びつけておいて家にいないとかどういう了見なわけ?

 だんだん彼に対する怒りが湧いてくる。

 靴を揃えて置いて、彼女より先に家に入った。

 廊下と部屋を分けているドアを開けると、テレビの前に置かれたベッドの上で、彼が血を流して倒れていた。

「え・・・」

「どうしました・・・っひぇっ」

 後ろから来た彼女も、息を飲んだように固まってしまった。こういう時どうすれば・・・・。

 彼女が素早くスマホで警察を呼んだ。

 事情聴取で根掘り葉掘り話を聞かれたけど、いったい何が何だか。

「彼が亡くなってからすでに5時間は経過していますね」

 5時間?彼から連絡が来てまだ2時間程度しか経っていないはずだ。ということは、私に連絡が来たのは彼が死んだあと、ということになる・・・。

 警察が何やらざわめきだした。

「お二人は、彼が既婚者だったことはご存じですか?」

 耳を疑った・・・。既婚者!?聞いてないんだけど!?

 彼女を見ると、彼女も困惑の表情を浮かべていた。

「あぁ、こりゃまだいるな」

 彼のスマホを調べていた警察がそう呟いた。



——まだ・・・いる?——

フッ軽って・・・そういうこと?www

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