もんだい編
ある高校の図書室の談話スペース。
高校2年生の僕、深水静海はイスに座って本を読んでいる。
対面には幼馴染の鹿屋夏乃が座っていて本を読んでいる。
夏乃は読んでいた本『悪童日記』を閉じて丸テーブルの上に置く。
「私、この前変な女に会ったの」
声をかけられた僕は本を開いたまま答える。
「僕は今『じごくのそうべえ』を読んでいる。みんなで力を合わせている熱い場面だ。後でその話してくれるか、夏乃」
「うんわかった。ほんと変な女だったのよ。学校の前の通りを歩いていたの」
「……」
夏乃は人の話を聞かない。
夏乃は僕に話し始めた。
~鹿屋夏乃の証言~
あれは7月の暑い日曜日だったわ。
昼に私は高校の前の歩道を歩いていた。
ガードレールがあってすごく長い道ね。
歩いていると、40メートルぐらい先の曲がり角から、白い日傘をさした女が現れた。
花柄の白のワンピースを着た小柄な女。
でも、なんか女は不気味だったわ。
私がそう思った理由は単純。
女の顔が見えないの。
そりゃあ日傘だから顔は見えない。
でも普通、鼻や口は見えるでしょ。
首から下しか見えないのよ、その女。
あんなに深く日傘をさしている人は初めて見た、すごく不気味。
あれで、前がきちんと見えているのかしら。
ちょっと変な人かな、と思ってたら気づいたの。
私は歩道の左側を歩いている、そして女も私から見て左側を歩いている。
このままではいずれぶつかってしまう、どちらかが道をゆずらなければいけない。
あなたは知ってると思うけど、私ってすごく親切なの。
だから道をゆずることにした。
私は後ろを見て自転車などが来ていないことを確認した。
誰もいなかったわ。
私は歩いて右側に移動した。
しばらく歩いて私はビックリしたわ。
30メートルくらい先、左側にあった日傘が突然飛んで右側に移動した。つまり女がジャンプをして右側に移動したの。
ジャンプよ、ジャンプ。
意味わからないわ、普通は歩いて移動するでしょ。
なんなのよ、この女。
私はムカついたし困惑したわ。
右側を歩きたいならはじめからそうしなさいよ。
まあ私は優しいからもう1度道をゆずることにしたの。
後ろを確認して左側に移動したの。
そして互いに数歩歩いたあと、まさかの左側にジャンプしたのよその女。
左側にジャンプよ。
意味わからないでしょ。
私は2回も進路をふさがれた。
ひょっとして私はからまれているの?
ケンカ売られてるの?
初対面の女に?
私はすれ違いざまにジャンプアタックされるのかしら。
ぶつかりおじさんじゃなくて、ジャンプアタック姉さん?
ねえ、こんな時あなたならどうする?
~証言終了~




