なんかまだ終わらないんですけど
誤字脱字報告感謝です!…いや、またひといミスしてましたね(‘、3_ヽ)_。
ガシャァアアアン
氷柱と氷柱が交差して、派手にぶつかりあう。ナイアが金田に意識が向いた瞬間の、不可避の一撃である。
「ゴフッ」
派手に飛び散る氷片と、飛び散る青色の血液。そして、氷柱に吹っ飛ばされて、派手な音とともに壁に叩きつけられるナイア。佐藤・霧島・金田が、この特大の隙を見逃すわけがない。真っ先に動いたのが金田だ。
「スピードブースト!エンチャント・ダイアモンド!」
「死ねやァ!!」
残りのMPを全投入。最速で移動するための『スピードブースト』と、今度は耐えるためでなく、勝負を決めるために、防具ではなく欠けた剣を硬化させるための『エンチャント・ダイヤモンド』を唱える。そのまま、音速の一刀を繰り出す。まるで雷が落ちたかのような、音と衝撃とともに、ナイアに一撃が入る。
「ガフッ!」
次に動いたのが佐藤だ。黒川が魔力を高めた時点で、意識を取り戻したことに気がついた佐藤は、黒川の体を支えながら、自らも魔力を集めていた。金田の一刀に続けて、間髪入れずに『ウインド・ストライク』を叩きつける。
「少し、止まってもらおうか。」
「ガァ!?」
これは、風の魔力で面の衝撃を与える魔法だ。本来は敵との距離を取る時に探索者がよく使う魔法だが、佐藤はこれを、壁に叩きつけられたナイアを、更に壁に叩きつけるために使った。少しでも長く、ナイアの行動を阻害して、霧島に繋ぐために。
「人間ごときが舐めた真似を!」
ナイアは体勢を立て直そうとする。だが、もう遅い。
「死になさい。」
黒川が初撃を撃ってから、この時まで、霧島は魔力を練り続けた。金田と佐藤が必ず、間を繋ぐと確信していたから。後輩が見せた気概、新人が真似てみせた自分の魔法、同期がくれたチャンス。それら全てに応えるために。自分が今出せる最大を。
「アブソリュート・コフィン」
氷魔術III。霧島の最後の切り札。閉じ込めたものは生きて出られない、絶対零度の棺が、これまでの戦闘が嘘かのように、静かにナイアを氷漬けにした。
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氷漬けになったナイアを前に、4人が真っ先にやったことは、黒川の光魔法で加藤の恐慌を解除することであった。ナイアの生死を確認したいけれども、まずはこのままでは加藤に障害が残りかねないと、佐藤が判断した。無論、佐藤・霧島・金田はナイアへの警戒を微塵も解いていない。
「…うっ…佐藤さん…私は?」
「気がついたか、加藤、無理をするな。」
「うっ…頭が…」
「恐慌状態だったの。無理もないわ。」
「そうか…私は負けたんですね。」
「無理もねぇよ。初見殺しだ。恥じる必要はまったく無ぇよ。」
「…足を引っ張りました。」
「気にすんな。生きてるだけ儲けもんだ。」
「金田の言う通りだ、それにちゃんと見ていたぞ、全体を守るためにウィンドウォールを展開しようとしていたのを。お前は最善を尽くしていたんだ。それをフォローするのが私…いや、私達の仕事だ。」
「佐藤の言う通り。私がいる。私達がいる。今は寝てなさい。」
「金田…佐藤さん、霧島さん…。黒川さんは?」
「無事だ。」
「そう…ですか。では…お言葉に甘えさせて…いただきます。」
加藤はそのまま気を失った。あとは、ナイアを片付けるだけだ。
パチパチパチパチパチパチ
聞こえるはずの無い拍手の音が聞こえる。パーティーに緊張が走る。音がする方向を見ると、氷漬けの状態で、ナイアが動いていた。
「素晴らしい、素晴らしいです。探索者のコンビネーションとやらは。」
「てめぇ…まだ動けんのか。化け物め。」
「いやぁ、流石にもう無理ですね。今のは効きましたので。今回は大人しく、諦めますよ。黒川さんのことは。えぇ。このまま無理しても、黒川さんに抵抗されたら、厳しい。時間的にもリミットですしね。本当に、残念です。」
…なんてやつだ。
「黒川さん、私の後ろへ。」
「私達が、逃がすと思うか?指導探索者を舐めるなよ?」
「えぇ、特に黒川さん。ウツワの才能があるくせに、光魔法を使ってくるとは。末恐ろしいぐらいです。あの魔法は、本当に痛かったですよ。」
…ウツワ?
「私の氷魔法、もう一度食らってみる?今度は、その体、バキバキに叩き割ってあげるけど?」
「えぇ、確かに『氷魔術III』は想定外。お陰で、全身氷漬けです。はぁー、せっかくユニーク討伐の称号をモルモットに持たせて実験したかったのも、黒川理恵を手に入れる計画も、全部全部おじゃんですねぇ。」
―お前は、一体、何?…なんで死なないの。
「あぁ、黒川さん。あなたには自己紹介していませんでしたね。私、『ナイア』と名乗っております。今回は引きますけど、次は、よろしくお願いしますね!」
「ごめん被るんですけど。」
「ハハハ、じゃぁ、いずれまた会いましょう。…あっそうそう。」
「流石に癪なので、嫌がらせだけさせてもらいますね。どうせ実験結果の回収ができないので、そこのモルモットと遊んでってください。では、さようなら。」
金田さんが斬りかかるが、ナイアはまるで、最初からそこにいなかったかのように、消えていなくなった。あとにはもう、なにも無い。
「…モルモット?」
「…いかん!高橋と山田!」
「ッ!」
もうちょっとだけ続くんじゃ
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