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【⭐️5,000ブックマーク】愛用のクッションがどうもなにか変【累計350万PV】  作者: 一級フラグ建築士
第3章 なんかクイーン・ビーを討伐したいんですけど

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なんかまだ終わらないんですけど

誤字脱字報告感謝です!…いや、またひといミスしてましたね(‘、3_ヽ)_。

 ガシャァアアアン


 氷柱と氷柱が交差して、派手にぶつかりあう。ナイアが金田に意識が向いた瞬間の、不可避の一撃である。


 「ゴフッ」


 派手に飛び散る氷片と、飛び散る青色の血液。そして、氷柱に吹っ飛ばされて、派手な音とともに壁に叩きつけられるナイア。佐藤・霧島・金田が、この特大の隙を見逃すわけがない。真っ先に動いたのが金田だ。


 「スピードブースト!エンチャント・ダイアモンド!」

 「死ねやァ!!」


 残りのMPを全投入。最速で移動するための『スピードブースト』と、今度は耐えるためでなく、勝負を決めるために、防具ではなく欠けた剣を硬化させるための『エンチャント・ダイヤモンド』を唱える。そのまま、音速の一刀を繰り出す。まるで雷が落ちたかのような、音と衝撃とともに、ナイアに一撃が入る。


 「ガフッ!」


 次に動いたのが佐藤だ。黒川が魔力を高めた時点で、意識を取り戻したことに気がついた佐藤は、黒川の体を支えながら、自らも魔力を集めていた。金田の一刀に続けて、間髪入れずに『ウインド・ストライク』を叩きつける。


 「少し、止まってもらおうか。」

 「ガァ!?」


 これは、風の魔力で面の衝撃を与える魔法だ。本来は敵との距離を取る時に探索者がよく使う魔法だが、佐藤はこれを、壁に叩きつけられたナイアを、更に壁に叩きつけるために使った。少しでも長く、ナイアの行動を阻害して、霧島に繋ぐために。


 「人間ごときが舐めた真似を!」


 ナイアは体勢を立て直そうとする。だが、もう遅い。


 「死になさい。」


 黒川が初撃を撃ってから、この時まで、霧島は魔力を練り続けた。金田と佐藤が必ず、間を繋ぐと確信していたから。後輩(金田)が見せた気概、新人(黒川)が真似てみせた自分の魔法、同期(佐藤)がくれたチャンス。それら全てに応えるために。自分が今出せる最大を。


 「アブソリュート・コフィン」


 氷魔()III。霧島の最後の切り札。閉じ込めたものは生きて出られない、絶対零度の棺が、これまでの戦闘が嘘かのように、静かにナイアを氷漬けにした。


********************


 氷漬けになったナイアを前に、4人が真っ先にやったことは、黒川の光魔法で加藤の恐慌を解除することであった。ナイアの生死を確認したいけれども、まずはこのままでは加藤に障害が残りかねないと、佐藤が判断した。無論、佐藤・霧島・金田はナイアへの警戒を微塵も解いていない。


 「…うっ…佐藤さん…私は?」

 「気がついたか、加藤、無理をするな。」

 「うっ…頭が…」

 「恐慌状態だったの。無理もないわ。」

 「そうか…私は負けたんですね。」

 「無理もねぇよ。初見殺しだ。恥じる必要はまったく無ぇよ。」

 「…足を引っ張りました。」

 「気にすんな。生きてるだけ儲けもんだ。」

 「金田の言う通りだ、それにちゃんと見ていたぞ、全体を守るためにウィンドウォールを展開しようとしていたのを。お前は最善を尽くしていたんだ。それをフォローするのが私…いや、私達の仕事だ。」

 「佐藤の言う通り。私がいる。私達がいる。今は寝てなさい。」

 「金田…佐藤さん、霧島さん…。黒川さんは?」

 「無事だ。」

 「そう…ですか。では…お言葉に甘えさせて…いただきます。」


 加藤はそのまま気を失った。あとは、ナイアを片付けるだけだ。


 パチパチパチパチパチパチ


 聞こえるはずの無い拍手の音が聞こえる。パーティーに緊張が走る。音がする方向を見ると、氷漬けの状態で、ナイアが動いていた。


 「素晴らしい、素晴らしいです。探索者のコンビネーションとやらは。」

 「てめぇ…まだ動けんのか。化け物め。」

 「いやぁ、流石にもう無理ですね。今のは効きましたので。今回は大人しく、諦めますよ。黒川さんのことは。えぇ。このまま無理しても、黒川さんに抵抗されたら、厳しい。時間的にもリミットですしね。本当に、残念です。」


 …なんてやつだ。 


 「黒川さん、私の後ろへ。」

 「私達が、逃がすと思うか?指導探索者を舐めるなよ?」

 「えぇ、特に黒川さん。ウツワの才能があるくせに、光魔法を使ってくるとは。末恐ろしいぐらいです。あの魔法は、本当に痛かったですよ。」


 …ウツワ?


 「私の氷魔法、もう一度食らってみる?今度は、その体、バキバキに叩き割ってあげるけど?」

 「えぇ、確かに『氷魔術III』は想定外。お陰で、全身氷漬けです。はぁー、せっかくユニーク討伐の称号をモルモットに持たせて実験したかったのも、黒川理恵を手に入れる計画も、全部全部おじゃんですねぇ。」


 ―お前は、一体、何?…なんで死なないの。


 「あぁ、黒川さん。あなたには自己紹介していませんでしたね。私、『ナイア』と名乗っております。今回は引きますけど、次は、よろしくお願いしますね!」

 「ごめん被るんですけど。」

 「ハハハ、じゃぁ、いずれまた会いましょう。…あっそうそう。」

 「流石に癪なので、嫌がらせだけさせてもらいますね。どうせ実験結果の回収ができないので、そこのモルモットと遊んでってください。では、さようなら。」


 金田さんが斬りかかるが、ナイアはまるで、最初からそこにいなかったかのように、消えていなくなった。あとにはもう、なにも無い。


 「…モルモット?」

 「…いかん!高橋と山田!」

 「ッ!」

もうちょっとだけ続くんじゃ


新作あり〼

触手 in クーラーボックス(仮)

https://ncode.syosetu.com/n1200kj/

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