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やっぱりなんか授業の量が変なんですけど

 さて、というわけで4月の私の予定はびっちりと埋まったわけである。しかし「商業科」と「普通科」のバランスだけはどうにもならないのだ。なぜならば、学校教育には文部科学省が定める、指導要領が存在し、最低限履修しなければならない科目と単元数というのが、定められている。成人年齢引き下げとともに、「何年生までに、何々を◯単元の履修を完了」あるいは「履修を推奨」とされている科目すらある。たとえば公共は2年次までの履修が必要で、家庭科は2年次までの履修を推奨されている。前者であれば必須で、後者であれば「3年次でもよいがそれだと不都合が出るので、2年次までに履修するほうが望ましい」という事になる。その結果、1年次の間に履修が望ましい範囲が次のとおりだ。


■普通課程(五教科)

現代の国語(2)

言語文化(2)

歴史総合(2)

地理総合(2)

公共(2)

数学I(3)

科学と人間生活(2)

英語コミュニケーションI(4)

論理・表現I(2)


■普通課程(その他)

体育(2)

保険(1)

音楽I/工芸I/美術I(選択/2)

家庭基礎(2)


■商業課程

ビジネス基礎(2)

簿記(3)

ビジネス・コミュニーケーション(3)

情報処理(2)

プログラミング(2)


 この結果、1年次の必修単位だけでも「40単位」である。一部科目は、3年次までに履修すればよいものもあるし、体育なんかは3年間通じて7~8単位が必要だ。なお、現代の国語は普通科であれば本来は4単位の履修が必要だ。(ただし2単位までの圧縮が認められており、商業課程を履修するにあたりその圧縮措置がとられている。)厳密には必修でない科目や、選択必修科目も含まれているが、大学への進学や検定取得を考えると、避けては通れない科目である。


 が、ここで悲報である。日6限の週5日だと、なんと30単位しか履修ができないのだ。その上でこれらは必修科目であり、ここに商業課程の専門科と商業課程ならではの普通科の応用科目が加わる。


商業課程ビジネスマネジメント

マーケティング(2)

商品開発と流通(2)


■普通課程

政治・経済(2)


 非情の追加6単位、合わせて46単位である。実際としては、このような単位の取得は不可能に近いため、一部を2年次にまわして履修するのが()()()()()である。


 ―だが、今は違う。そう、探索者課程が存在するのだ。


■探索者課程

探索者基礎(2)


 LV上昇に各種ステータスへの恩恵(概ね頭脳の強化)は、リスクと引き換えに高等学校の教育課程を圧縮した。また、「各種スキル」と「検定」の取得による単位の代替措置という新制度。CBTによる柔軟な試験制度や、上位資格による免除制度。ネット環境の充実による、オンライン学習の広まり。そう、高等学校教育は大幅に改革されたのだ。


 そのため、実際の時間割は従来通り30時間ではあるが、単位認定による圧縮の結果が次のとおりである。


■普通課程(五教科)

現代の国語(2)

言語文化(2)

歴史総合(2)

地理総合(2)

公共(2)

数学I(2)

科学と人間生活(2)

英語コミュニケーションI(2)

論理・表現I(2)


■普通課程(その他)

体育(1)

保険(1)

音楽I/工芸I/美術I(選択/2)

家庭基礎(1)


■商業課程

ビジネス基礎(1)

簿記(1)

ビジネス・コミュニーケーション(2)

情報処理(2)

プログラミング(1)


商業課程ビジネスマネジメント

マーケティング(2)

商品開発と流通(2)


■普通課程

政治・経済(1)


■探索者課程

探索者基礎(2)


 大まかな変更点のほとんどは、探索者基礎履修前提による体育の圧縮である。また数学I・英語コミュニケーションI・簿記が圧縮された。これは探索者になることで取得できるスキルや、各種検定の取得による単位の代替を前提をしている。その結果なにが起きるのかというと、いくつかの検定スケジュールにあわせて、授業時間が変化するのである。例えば簿記だが、4月と5月は多めになる。これは6月の「日商簿記検定3級」試験にあわせるためだ。かわりに試験に合格すれば、以降は簿記の授業は免除になる。


 なお、概ね全商検定は9月や11月の実施であり間に合わない。そのためいつでも(あるいは毎週)受験できる、CBT方式の「ITパスポート試験」や、「英検S-CBT」、「日商PC検定」なども対象となる。これら資格取得を前提とした履修スケジュールをこなすためには、やはり「集団探索」が前提なのだ。


 すなわち、スキルや検定を取得すれば、その分別の授業に割り当てを増やせる事を見込んだ上での措置だ。それができなかった場合は、補習や留年、あるいは夏休みなどの長期休暇での、追加授業といった形で補填されることになる。


 故に入学して最初の3ヶ月というのは、簿記検定への間に合わせ、普通課程の基礎の詰め込み、集団探索に向けての探索者課程の徹底、そして、ビジネスマネジメント科は1年後の「リテールマーケティング3級」受験に向けて、商業課程の履修ロードマップの策定と、とにかく「やる事が…やる事が多い…!」時期になる。その結果起きるのが、「まぁ明日できる事は明日やればいいや」と「あ、これ思ったより面白いじゃん」と商業課程への逃避行動である。


 簿記という科目は実は沼だ。合う人にとってはとにかく合うが、合わない者にとってはとにかく合わない。幸か不幸か、理恵にとって簿記はとても面白かった。そして、検定にあわせるためという大義名分の元、現実逃避の自主学習が進んでいく。そう、ステータスの問題を棚上げして…だ。

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― 新着の感想 ―
似た感じで通ってた高校がスーパーサイエンスハイスクール指定校で、普通の高校の授業に加え科学技術系(基礎・電気・情報・工学・化学・倫理)に更にクラスごとの専門分野も追加して、てんやわんやだったのを思い出…
複式簿記がいくら本を読んでも理解出来ないw (貸方借り方の意味がわからん) だけど電気や通信の資格は持ってる。自分の適性のある仕事に就けるのが幸せの一歩ですね~。
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