なんかただの集団探索だったはずなんですけど
活動報告もさせていただきましたが、2万PVを達成しました。本当にありがとうございます。
「黒川さん」「本当のレベルいくつ?」
どうやら佐藤さんは、私のレベルがレベル5じゃないと知っている?いや、はったりかもしれない、それに、高橋と山田が消えただけなのに、私のレベルの話になる理由がわからない。―なぜ?なぜ私のレベルの話になる?セキュリティ機能も働いてるはず。実際、仮免許発行時のステータス鑑定でも、問題はなかった。どうして。
どうして佐藤さんは、私のレベルを。
「…本当のレベルって…どういう意味ですか?私はまだ、そう、高校1年生ですよ?ダンジョンに潜ったのも今日がはじめてです。初めてなんです。それに、なんで私のレベルの話になるんですか?高橋と山田が3Fに無断侵入したって思われるだけじゃないですか。ひどい言い方にはなりますが、私には関係ないですよね?ダンジョンで行方不明になったのが危険なのは分かりますが、ここまでの話から判断するに、おそらくはあの二人の自業自得のハズですよね。意味が分からないです。」
そう言うしかない。それに、これは本当のことだろう。事実、あの二人は素行が悪いという話だったし、かいつまんで聴いた感じでも、ありありとこの集団探索をバカにしている様子だった。『スライムなんて敵にならない。』『自分たちは強い。』『探索者よりも上位のJOBもある。』だから3Fでも十分だ。そんな短絡的な考えが読み取れる。軽薄だ。
「全部伝える暇が惜しいんだけど…まず結論から言うね。狙われてるのはほぼほぼ黒川さんだよ。」
―えっ、何言ってるの?私のレベルとか、なんで狙われてるとか、えっ狙われている?なんでその話になるの?前後が繋がらない。高橋と山田が消えたから、なんで私が狙われるの?高橋と山田に?あの二人は3Fに向かったんじゃないの?
「簡単に、順番に説明するね。まずあの二人は、何かしらの手段を用いて、現役冒険者2名の目を欺いている。そもそもいくら剣士や冒険者のJOBを持っていても、所詮は仮免許。中堅どころの探索者2名を独力で欺く力なんてないんだよ。」
「…それは同意します。」
それはそうだ。そうであれば、先輩探索者からの指導なんていらない。
「山田君と高橋君の二人は、普段の指導態度を見ていてもかなりの熟練度不足だ。まぁそもそも皆スタートが一緒なんだから、当たり前の話ではあるんだけど。今回合流する時も、当然、戦闘やダンジョンへの慣れは感じられなかった。うまく偽装してた可能性はあるけど、普段の短絡的な行動を見る限り、その可能性はまず無いと見ていいだろう。」
「…」
「さて、一方で指導・引率という名目でつけた鈴木と中川の二人だが、両名とも中堅の探索者だ。鈴木は言動こそ軽薄な感じがあるが、当地区の探索者の中で最速でCランクに昇格した将来有望な実力派だ。当然FPダンジョンの2Fの地理も把握している。そして、中川は次期Bランクが確実視されている、中堅の中でも筆頭の探索者だ。探知・探索のスキルに優れていて、普段の探索では斥候の役割も担う。インビジブル(透明化)程度であれば、まず間違いなく気付ける。そもそもが3F入口の監視を任される程に信頼されている保安要員でもある。」
「…そんなに…すごい方たちなんですね。」
「では、その二人を欺いた、高橋君と山田君は、どうやって姿を消したと思う?」
「…」
そう言われると変だ。
「事実、今までFPダンジョンの集団探索で、ロスト者は出ていない。出すほうが難しいんだよ。事故があったとしても、不注意による崖からの転落や、川や水たまりで溺れたっていうぐらいの可愛いものさ。中堅探索者がついておいて、仮免許の生徒二人を見失うことなどこの1・2階層では決して無い。しかも今回は現役の中堅探索者、しかも探知に優れた探索者の監視付きだ。ただの仮免許保有者如きが欺ける訳がないんだよ。最初から勝負になんてならない。」
「…」
「そしてその中堅探索者二人が、揃いも揃って『消えた』と言ったんだ。」
『「!」』
「―第三者の介入がある。それも中堅探索者の目を欺けるやつが介入したと考えるのが妥当だよね?」
「…そう…かも…ですね。」
『…佐藤、続きを。』
「じゃぁ次、なんでそれほどの実力を持つヤツが、『なぜ素行の悪い仮免許二人組に手を貸す?』あぁいや、この可能性もあるか、『あるいはなぜ仮免許の者を拉致する?』のか。しかもこんな集団探索で、大勢の生徒がごったがえしてる中で。」
「…分かりません。」
「そうだね、分からない。普通に考えれば。」
「…」
「そもそも、今日が変なんだよ。明らかに、『FPダンジョン支部』では管理しきれない数の集団探索の受け入れをしていて、本来厳重になるはずだった2Fの警備は、ぎりぎりまで人数が削られた。結果として、今も応援人員を呼ぶことができていない。この12校もの集団探索を受け入れる事が可能なほどに、広大なダンジョンでかき集められた人員がたった10名だ。」
『…!』
「FPダンジョン支部内に協力者がいる。」
『…ッ集団探索の受入履歴を調べて!受付した者と承認した者を!』
―私は、いや、
―私達は一体何に巻き込まれようとしているの?
昼間は室温31℃とかあって、夜中にちょっとずつ書き進めてます。よしなに。
岬『T県探索者協会西部支部へ応援要請』
T県西部支部『了解。十文字支部長の指示を仰ぐ。』
探索者協会組織図
日本探索者協会
↓
各都道府県探索者協会(ただし東京は日本本部が兼任)
↓
(場合によって地区支部)→ T県西部支部はココ!
↓
各ダンジョン支部 → FPダンジョン支部はココ! FPは大型ダンジョンのため支部設置対象。
各ダンジョン出張所
※ダンジョンの規模によっては支部や出張所がなく、出入り口に監視員がいるだけの場合がある




