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【⭐️5,000ブックマーク】愛用のクッションがどうもなにか変【累計350万PV】  作者: 一級フラグ建築士
第2章 なんかついに集団探索なんですけど

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なんかこのダンジョンすごく人が多いんですけど

 自己紹介も済んで、いよいよダンジョンを進んでいく。といっても、FPダンジョンは初心者向けのかなり安全なダンジョンだ。水と緑が多くて、大勢の探索者が入るダンジョンなので、道もある。ダンジョン内はある程度自己修復が働くらしいが、24時間営業かつ、人の出入りが激しいダンジョンなので人工物もかなりある。1・2Fは観光までやってるぐらいだし、ダンジョン内に出される露店も多い。


 それでも、主要ルートを外れると話は変わってくる。例えば、ダンジョン内に流れる川には水深の深いところがあったり、森林の奥には崖があったりするし、スライムの群生地があったりと、決して気を抜いて探索していい訳ではない。過去には不慮の事故で死亡者が出ている。…ただし、スライムによる死者は今のところ報告はない。


 そもそも、このダンジョンのスライムドロップ扱いの、スライムの肉片…肉片?…スライムジェルやスライムの核はFPダンジョンの特産品だし、外に出ればお土産どころにスライムジェルを材料にした、水菓子やらなんやらが、ズラーっとならんでいる。そもそも、ここのスライムの構成はほぼ水そのものなので、そのまま食べられるという有り様だ。


 故にここを出入りする探索者には、3F以降に行く前に、1F~2Fで適当にスライムを何匹か潰して、水筒などの入れ物に詰めて、水分補給の手段にするものもいるぐらいだ。無論、スライムジェルやダンジョンの水質に関しては、定期的にダンジョン協会が検査をおこなっている。


********************


 今回、引率担当である佐藤も、このFPダンジョンには定期的に潜っている。低層の方は大した稼ぎにはならないが、FPダンジョンの依頼には、恒常的にスライムジェルの購入依頼が出されている。無論、日々大量のジェルの納入があるが、現在、それでも追いついていないのが現状である。無論、スライムジェルは、簡単に大量に取れるので単価は安い。


 だが、もはや名産となっている水菓子の原料の他に、化粧品、保冷剤、飲料水、農耕用、畜産用、はては化学工業用途と、「ほぼ水」だからこそ使用用途は山ほどある。最近では、砂漠地帯の緑地化用途や、火災時の緊急消化材への応用と、その使い道は日夜新しいものが見つかっている始末である。ゆえに、『FP産スライムジェル』は、安価で大量に供給もあるけど、大量に需要もあるという、もはやなくてはならない存在となっている。


 そのため、本来はダンジョン中層あたりが実力を持つ佐藤も、FPダンジョンの低層には度々潜ることがある。…つまり、何が言いたいかと言うと、佐藤クラスの探索者も頻繁に、FPダンジョン低層で活動しているということは、ここの探索者協会がそれだけ『スライムジェル』を集めたいということだ。


 つまり、この『集団探索』は学校側の思惑(探索者の経験を積むことでINT値を上げる)とは別に、探索者教会側の思惑として『学生に経験を積んでもらう代わりに、スライムジェルをたくさん持って帰ってきてもらう』という思惑が実はある。これは、他のダンジョンにも言えることであるが、とくにFPダンジョンは先述の理由と、安全性の高さから、積極的にこの取り組みをおこなっている。


 その結果、集団探索の時期に起こるのは、複数校の『集団探索』の日程バッティングである。とは言っても、FPダンジョンはそれなりに広いダンジョンであるので、多少であれば問題はない。ただし、多少であればだ。なんと本日は、近隣の県からの遠征組を含めて、実に12校の集団探索がおこなわれている。


 そのため、今回、呉西商業高等学校に割り振られた集団探索スポットは、2Fの最も奥地となってしまった。なおこれは、探索者協会の意向である。たまたま2Fの最奥が割り振られたのではなく、やはりK号案件の対処のためだ。つまりは、『K号(黒川理恵)を最も奥にしてしまえば、近隣に人が少なく、何かあっても被害が軽微だろう。』という、探索者協会側の思惑である。


 ―この結果、一部の()()がやらかすことになるのは、誰も予想できなかったが。

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