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【⭐️5,000ブックマーク】愛用のクッションがどうもなにか変【累計350万PV】  作者: 一級フラグ建築士
第10章 unknown(仮)

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黒猫は部屋から出られない

 『暇…。』


 黒猫扱い故に仕方がないのだが、クロはホテルの一室からでられないでいた。今回、雨岩温泉では、特別扱いでペット同伴での宿泊となっているが、本来はペットの同伴はできない。当然ながら、温泉にはいることもできない。そのため、理恵と一緒に行動することもできず、一人?部屋に取り残されることになったのクロは、暇を持て余していた。


 だからといって、理恵の私物の警備を怠ることはない。クロが丸まって寝たふりをしているその下には、ウエストパックがある。理恵からも、『誰にも手をふれられないように』と、念押しされているものだ。当然、そう言いつけられている事も秘密とされている。


 ご主人である理恵、いろいろと人に言えない秘密を抱えていることを、クロは既に把握している。また、いままでの経緯も、少しずつ聞いているので、とてもじゃないが人の目については困るような、アイテムがあることも理恵からは聞き及んでいる。…まだ例のクッションのことは流石に聞いてはいないが。


 現状において、クロが理恵から任されている役割の認識は、「このウエストパックに仕込んである、マジックバッグと、その中に隠してある。『■■■■■の鱗』や『白濁した宝玉』の警備」である。当然ながら、これだけで、この理恵の私物であるウエストパックは、厳重に警戒して守らなければならない私物である。


 ホテルの現在の警備体制は、ホテル外の見回りをしている一般の探索者と、ホテル内部から周辺を探知でみている中川が中心である。当然中川が24時間警備しているわけではないので、中川が休憩している間は、別の探索者が警戒を引き継いていでる。…致命的なというほどでもないが、中川の探知に比べれば、穴があると言わざるをえない。


 時折、その隙間を狙って侵入する蜘蛛型モンスターだが、やはり大勢での侵入ではなく、まるでスニーキングミッションを請け負ったかのように、単独で潜入してくる。ただ、所詮普通の探索者でも圧倒できる程度のモンスターであり、未だに、警備陣としてはモンスターの襲撃の意図を図りかねている。


 黒川理恵本人を狙うのならばまだしも、脱衣所に侵入しようとしたり、部屋に侵入したはいいものの、黒川理恵の私物を狙うわけでもなく、これもまた風呂場に侵入したりと、全くもって相手が何を意図しているのかを把握できない。


 『襲ってくるわけでもないし、ご主人を直接狙って訳でもない…。意味が分からない…。』


 クロも当然ながら、中川が探知する程ではないが、蜘蛛型モンスターの侵入を認識している。…それでも動かないのは、陽動の可能性も考えているからだ。どうせすぐに警備をしている探索者に見つかって、叩き潰されて終わりになる。それならば、クロが自身に任せられたウエストパックの警備を放棄して、侵入してきた蜘蛛を迎撃することはない。…そして不思議なことに、この蜘蛛達は、ウエストパックには一切見向きもしない。


 『…分からない。』


 つまり、蜘蛛の狙いはウエストパックでは無い。…ところまではクロも認識しているが、これが陽動の可能性も十分ある。だからこそ、クロは一分の隙も晒さない。暇を持て余しはしているが、主人の命令に反して、クロが警戒を怠ることは無い。だが、逆に言えば、それ以外…つまり『ウエストパックと、理恵の部屋の周辺』以外は、クロの警戒の認識の外にある。


 故に、侵入してきた一匹の蜘蛛が、たまたま警備の探索者の目をかいくぐって、ひっそりと息を潜めていることに、まだ誰も気がついていない。

別作あり〼

触手 in クーラーボックス(仮)

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