やっぱりなんかクラス女子全員集合なんですけど
「転校生の成宮千鳥と申します。よろしくおねがいします。」
『同じく、転校生の比良坂菜家です。よしなに。』
やはり、二人共転校生であっているようだ。ふたりともちょっとだけ、お嬢様って感じがする。成宮さんは耳にピアスをしてるし指輪も…おそらくピアスも指輪も装備品だね。私の『アイスサファイア・シリウス』と同類じゃないかな。もう一人の比良坂さんは、長いストレートの黒髪に白い肌が特徴的だ。
「1泊2日で、探索者同好会と魔法研究会の合同合宿という事で、学校に許可をとりました。…ので、ちゃんと私達の話も聴いてもらいますよ!」
「そうですよ。突貫で学校から許可をとるの大変だったんですからね。成宮さんも手伝ってくれましたけど。」
そうまでして、雨岩温泉に遊びに来たのか…。
「当然ですわ。皆様の宿泊費は私が出してますし。」
「…えっ、京ちゃん、それ本当?本当に、転校生の成宮さんが、全額出してくれてるの?」
「そうだねりえち。ちーちゃんが、…あぁ、成宮さんね。成宮さんが、全額出してくれるって。」
…そうまでして、雨岩温泉に遊びに来たの?本当に?…あ、ごめん、京ちゃん、そろそろ腕はなして、首がしまってきてる。私は京ちゃんの腕をタップする。
「あ、りえち。ごめんごめん。」
「ごっほごほ。ちょっと苦しかった。やり過ぎだよ。」
その様子を見つつ、成宮さんが説明をつづける。というか、さっそく成宮さんは、ちーちゃん呼びか。相変わらず京ちゃんと奏は、コミュ力が高いな。さすがに私はまだ、ちーちゃんと呼ぶのは難しい。しばらくは、成宮さんと呼ぼう。
「えぇ、そもそも私が、言い出しっぺですしね。全額を出すのは当然です。」
「まぁお陰で、皆で遊びに来れたんだけどね。ありがとうちーちゃん。」
「どういたしまして。」
『えぇ、おかげで、皆で黒川さんに会いに来れました。ありがとうございます。』
…なんか背中に寒気がする。これは、やっぱりLUK先生の第六感かな?でも、ナイアや双子みたいに、なんというか、危険はまだ感じてないんだよな。すっごい違和感はあるんだけど、なんだろう。まぁ、もっと話を進めてみようか。あ、そうだ、クーちゃん。紹介しなきゃ。
「あー、皆、ちょっといいかな。紹介しなきゃいけない人がいるんだけど。」
皆の注目が私に集まる。
「おいでー、クーちゃん。」
『はーい、ですわー!』
みんなが来る、しかも1泊するとなると、クーちゃんを隠すのは厳しいと判断。いっそのこと、親戚が遊びにきている事にして、霧島さんと一緒に皆に会ってもらうことにした。
『こんにちは、はじめまして。親戚の黒川久瑠美です。よろしくですわ!』
そこで考えた偽名が久瑠美だ。偽名のセレクトは、「クーちゃん」と呼んでも違和感のないことと、ターコイズの名前から、青をイメージする名前を入れたいということで、(本当はラピスラズリなんだけど)瑠璃の「瑠」の文字をとった。まぁ時間のない中で思いついたにしては、良い偽名だと思う。というか、そもそも、この偽名、もっと早く考えておくべきだったね。
『…よろしくお願いします。久瑠美さん。』
『ですわー?』
「めっちゃりえちに似てない?」
「うん、親戚だからね。よく言われる。」
「私も知らなかったよ!教えてくれたっていいじゃん!」
「あー、ごめんね。実は久瑠美は、最近こっちに来たんだよ。私の家に泊まる予定だったんだけどさ。」
まぁ、嘘は言ってない。最近知り合ったし、私の家に住む予定なのも、間違ってない。
「霧島さんがいるなんて聞いてませんが?」
「説明する暇もなかったんですよ。『いまからそっちに行くから!』としか聞いてないですし…。」
白鳥先輩と赤池先輩からすれば、そうか、抜け駆けに見えるか。二人共、大分霧島さんのことを尊敬してるみたいし。特に白鳥さんは、霧島さんからいろいろ教えてもらいたがってるしね。
「はいはい、皆、とりあえず受付をすませちゃいなさい。ホテルの人が、困ってるわよ!」
「はーい。」
霧島さんが真面目モードで、皆に指示を出す。さぁて、何事もなく終わるといいな!…終わらないよね!知ってる!
別作あり〼
触手 in クーラーボックス(仮)
https://ncode.syosetu.com/n1200kj/
青空設置しました。
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