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なんかクラス女子全員集合なんですけど

 「「「…頭痛い。」」」


 西部支部女性陣の飲み会は、すべてのお酒を飲み干すまでつづいた。結果として、岬・霧島・西園寺の三名は全員二日酔いである。つまみにしていた緑のタコの刺身の残りに、飲み干した瓶や缶が散乱した、めちゃくちゃアルコール臭い部屋から、よろよろふらふらと出てくる姿は、とてもじゃないが黒川理恵には見せられない。


 酔い冷ましのシャワーを浴びるために、霧島と西園寺は自室へと戻る。岬は部屋を簡単に片付けた後、同じくシャワーを浴びる。本音を言えば大浴場に行きたかったが、もし黒川と鉢合わせをして、この情けない姿をみられる訳にはいかない。そのため、自室のシャワーで我慢する。


 一応そこそこにさっぱりとした後は、朝食をとるために3Fのダイニングレストランへと向かう。ちなみに、朝食はバイキング形式である。案の定、女性陣以外は全員既に集まっていた。黒川一家とクーちゃんに加えて、中川、金田、加藤、堺、風見…おや?


 「…おはようございます。風見さん。」

 「はい、おはようございます。岬さん。昨夜は随分、お楽しみだったみたいですが?」

 「…ソンナコトナイデスヨ。」

 「そうですよね?そこの柱に隠れている霧島さん。」

 「…イマセンヨー。」

 「ですよね?今日でいいのに、わざわざ昨日合流した西園寺さん?」

 「…ウチ、ナンノコトカ、ワカンナイ。」


 おかしい、今日来るはずのない風見さんが、朝一番だというのに、しかも西園寺に宝箱の配送をお願いしたにも関わらず…だ。


 「岬さん、仕事、できてますよね?」

 「…はい、仕事はちゃんと。報告書できてます。会議で決まった内容もちゃんと。」

 「岬さん、今日はちゃんと本部で仕事してくださいね。」

 「了解シマシタ。」

 「霧島さんと西園寺さんの宿泊費は、自腹でお願いしますね。」

 「「…はーい。」」


 まぁ、確かに少し羽目を外しすぎた。だが、ろくに休みをくれない、この職場がわるいんだぞという気持ちも岬には若干ある。お陰で、彼氏もいなければ、出会いの場も無い。酒ぐらい楽しんでもいいだろう。それに、仕事はちゃんとしたのだ。それに朝食を食べれば、チェックアウトするだけだ。故に、食い下がる。 


 「…朝食だけは許してください。」

 「仕方ないですね。」


 無事、朝食は許されたようだ。


******************************


 朝食はバイキングなんだけど、朝起きてレストランに行ったら、何故か風見さんが待ち構えていた。とおもったら、朝食を食べ終えた岬さんと西園寺さんを捕まえて、連行していった。二人共、本部に戻って仕事があるらしい。大変だねぇ。岬さんなんか、「私は必ず帰って来る。」と言い残して、風見さんに引きずられていった。


 まぁ、仕事はしてたみたいだから、まぁ。そんな酷いことにはならないとは思う。たぶん。


 で、朝食が終わった後、私のスマホにメールが来ているのに気がつく。利香ちゃんからだ。


 「なになに…えっ、皆で雨岩温泉に?白鳥さんと赤池さんに、転校生…えっ転校生?初耳なんだけど?…えっーと、ようするに、探索者同好会と魔法研究会の名義で、クラス女子の親睦会をするから、いまからそっちに行くね。…今からぁ!?」


 …っていうか、私、雨岩温泉に泊まってるって、伝えてないはずだけど。なんで知ってるんだ?うーん、一般のホテルにくるのって、止められないよね?岬さんは連れて行かれたし…、霧島さんと中川さん伝えたほうがいいね。それに、結構な人数で来るみたいだけど、これ宿泊費、皆どうしたんだろ?


 まぁ土日に、何しようが勝手なんだろうけど、なんでまた雨岩温泉にしたんだろう。っていうか、よく許可がでたな。


 …。


 やば!?クーちゃんの事!?なんて説明する!?まずい!!!霧島さーん!!!!!


****************************


 「りーえーちー!ずるいぞ!一人だけ休んで温泉なんて!」

 「ぐぇ。」


 皆は、メールにあるように、本当にすぐ到着した。なんで私が雨岩音声にいる事知ってるんだよ。本当。で、案の定、合流して、まず飛び込んできたのは、京ちゃんだ。


 「本当にずるいね。私という友達がいながら、置いてきぼりにするだなんて。」

 「いや、奏、こっちも泊まりたくて泊まりに来た訳じゃないからね?」


 確かに満喫はしているけど、別にこちらから、このホテルを選んだ訳ではない。まぁ、その辺の事情もすでに把握しているみたいで、いつものなんていうか、じゃれ合いというか、そんな感じで奏でうざ絡みされる。


 「本当です。いつもいつも、いつもいつもいつも、一人だけ勝手な行動をしますねりえち。」


 利香ちゃんは相変わらず最後に、ちょっとチクチクと文句をいってくる。仲良くはなってるはずなんだけど、どうにもいつも、なんていうツンツンしてるんだよなぁ。まぁ、うざ絡みとかはしてこないので、この適度な距離感は、実は私としても助かるのだが。


 「りえちー。」「きたよー。」


 そして、田中さんと中田さん。この二人もどちらかというと、物静かで癒やし枠。


 「はい、1年、一応私達の言う事聞いてね。名目上、うちらの同好会と研究会の名義で、外泊許可とってるんだから。」

 「そうですわね。上級生の引率に感謝していただきたいですね。」


 白鳥先輩と赤池先輩も、相変わらずだ。むしろ安心すら覚える。…うっ!?


 「あら、どうしたの黒川さん。」

 「…いえ、なんでもありません。」


 覚えがあるような、ねちゃっとした視線を感じて、その方向に振り向くと、見知らぬ二人がいる。おそらくこの二人が転校生なんだろう。今はただ、感じた視線が気の所為に思えるように、普通の二人にしか見えない。…だが、あの粘つくような視線には、明らかに覚えがある。湿度が高いと言うか、なんというか、ねっとりとしてとっと気持ち悪い視線。…この二人のどっちだ?それとも二人ともか?


 はー、また、なんか厄介事に巻き込まれそうだね。いや、もう巻き込まれてるか。…ま、ともかく、転校生と挨拶から始めよう。話はそれからだ。

別作あり〼

触手 in クーラーボックス(仮)

https://ncode.syosetu.com/n1200kj/


青空設置しました。

https://bsky.app/profile/sternjp.bsky.social

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