「今日もりえちは休みですか、あの人いつも学校にきませんね。」
「りえちまた休み?」
「そうだね、メールが来てたけどなんかお家が大変みたいだよ。」
「カナカナ、もうちょっと詳しく。」
「天井に大穴が空いたのと、床が壊れたって。」
「なんでそうなるのよ…。」
「いろいろと聞きたいことあったのにねぇ。」
「なんかりえちはいつも大変だね、さーちゃん。」
「そうだねうーちゃん。」
呉西商業学食で、チキンカツとアン◯サを食べながら、1年ビジネス・マネジメント科の女子によるいつもの女子会が行われている。いつもの仲良し6人組から、もはや上級生と教師陣から青山グループとして認識されている。そして度々トラブルを起こす、黒川がいなければ「あぁ、今日も休みなんだな。」という程度の認識に落ち着いている。またそこに度々、上級生の白鳥と赤池が加わるっている事も、もはや認知されつつある。
教師達の評価としては、リーダーの優等生青山に、ムードメーカーの雨森と二宮、トラブルメーカーの黒川の4人が中心となっているグループである。全員、成績は優秀なので、ある程度の騒ぎは黙認している。特に黒川は休みがちであるが、成績は抜群である。普通科は青山の方が成績が良いが、商業科は黒川の方が成績が良く、教師陣としては二人が仲良くなる事で、黒川の問題行動が減ることと、お互いに教え合うことで、両者の成績が向上してくれる事を期待している。
現在、ビジネス・マネジメント科は総数18名、女子は内6名である。定数は20名であるが不慮の事故で、2名欠員が発生している。…まぁ、欠員となった二名は元から教師からも「素行に問題あり」と認識されていたので、遅かれ早かれ退学になっていた可能性はある。…ともかく、現在ビジネス・マネジメント科には空いた机が2つ存在していた。
学校としては不足した定員を埋めるために、転入生の受け入れを可としたところ早速、転入の申込みがあり。これにより、先日、I県よりT県T市に引っ越してきた1名の編入と、呉西商業があるT市の南にあるTN市ある普通科高校からの編入1名が決定した。両名とも女子生徒である。そして本日、この両名が転入前の確認で、学校にきていることを情報に目ざといものが、すでに把握しており、またたくまに、学校中の生徒が知るところとなっている。
「そういえば、転校生がくるらしいけど、りえちってこの事知らないよね?」
「まぁ見事に今週は、ほぼ休みでしたし。」
「家に突撃したいけど、その家に今いないんだよね?」
「うーん。」
幼馴染の二宮から見ても、このところの黒川はおかしい。もともと人付き合いに頓着の無い、内向的な性格であったし、自分と遊ぶことも、お互いの家に行くことが多かった。だが高校になってからは、お互いの家に訪れることがまったくなくなってしまった。チャットやメールはよくするので、それほど寂しいとおもったことはないが、もともとあった秘密主義的なものが高校になってからより露骨になっているように感じている。
一方で、雨森も青山との付き合いに微妙に変化を感じている。もともとこの二人は中が良く利香ち/利香っちと青山を呼べるのは、雨森だけである。そもそもが小学校・中学もこの二人は一緒であり、関係性としては二宮と黒川のそれに近い。以前、青山の事を雨森はツンツンメガネと評したことがあるが、青山の素の性格は、実は黒川のそれに近い。
内向的かつ理性的な黒川と青山、外向的かつ衝動的な雨森と二宮が、それぞれで仲良くなるのは実は当然であり、その結果としてこの4名がグループとして仲が良くなるのも必然であった。更に言えば、もともと女子生徒が少ないビジネス・マネジメント科の女子が結束するのは、必然であったとも言える。
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「はい、注目ー。もう噂になっていて、みんな把握しているだろうが、この度、来週より転校生を2名受け入れることとなった。異例とはなるが、これからクラスに馴染めるように、みんなで仲良くしてもらいたい。放課後になってしまったが、転入前の説明会がおわって、ちょうど時間がぴったりだったので、今のうちに転入生の紹介をする。二人共入ってきてくれ。」
「『はい。』」
ビジネス・マネジメント科の担任である、上埜が教室の外の二人を呼ぶ。二人は教室の扉をあけて、はいってきて、黒板の前に並ぶ。上埜が黒板に、二人の名前を書き、紹介を始める。
「はい、転入生の、向かって右側のこちらが『比良坂菜家』さんで、こちらが『成宮千鳥』さんだ。来週よりみんなといっしょに勉強する事になるからよろしく頼むぞ。それでは順番に自己紹介を頼む。」
この高校では濃紺のブレザーが制服なのだが、一人は黒のセーラー服を着ており、もうひとりは全身が淡い水色の清楚なセーラー服を着ている。
『こんにちは、転校してきました比良坂と申します。よしなに。』
「こんにちは、成宮です。よろしくお願いたしますわ。」
二人共、漂ってくる空気感が違う。いかにもお嬢様という感じがする。
「来週からクラスの一員となる。青山と雨森、すまんが面倒をみてやってくれ。」
クラスの少ない女子生徒であり、クラスの委員長の青山と、風紀の雨森が指名されるのは必然の流れである。
『利香さん、よろしくおねがいしますね。』
「…えっあぁ、はい。よろしくお願いします。」
転校生の比良坂が、さっそく青山に挨拶をする。自然な流れではあるが、青山は何故か違和感を覚えた。ただ、特に大したことはなさそうなので、気の所為だということにして、青山は忘れる事にした。
新登場の比良坂さんと成宮さんです。
…まぁ、うん。そういうことです。
別作あり〼
触手 in クーラーボックス(仮)
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青空設置しました。
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