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【⭐️5,000ブックマーク】愛用のクッションがどうもなにか変【累計350万PV】  作者: 一級フラグ建築士
第三部 第9章 なんかスキュラ娘と同居するみたいなんですけど
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瓶詰め肉の行方

 「はい、という訳で、戦利品がこちらですね。」

 「という訳でじゃない。何を持ち帰ってくれてんだバカヤロー!」

 「あら?てっきり喜ばれるかと?」

 「いや、確かに特異点案件の解明には、よく持ち帰ってきてくれたが!瓶詰めで持ち込むな!」

 「もう殆ど力ないんで、なにもできませんし、常時私の腐食魔術が覆っているので、無駄な抵抗をしようとすれば、次の瞬間どろどろです。」

 「そんな物騒なもん!持ち込むな!」


 千種は、名古屋支部に戻り、支部長に今回のレポートを提出した。いろいろと正直には書いているが、今回報告するのは『スタンピードの原因』についてだけだ。報告するのも、そこの瓶詰め肉(ヒュドラ)についてだけである。嘘は言ってない。…言ってないこと(他の特異点案件の存在)はあるが。


 ここは、名古屋支部支部長室。支部長室とは名ばかりの、小さくて狭い部屋だ。中にあるのは最低限の設備のみ。厳重な防音と、探知魔術により徹底した傍聴対策が取られた部屋で、千種は名古屋支部の支部長に今回のことを報告していた。


 本来、二人一組で行動している木花と千種だが、この部屋には木花の姿は無い。


 「で、結局は、その瓶詰めされてるのが、スタンピードの元凶にして、探索者を大量にころした、特異点案件そのものってことか。…はー。まさか実物を持ち帰ってくるとは。てっきり、木花の胃袋にでも収まったかと思ったぞ。」

 「9割以上はその通りですね。今まで以上に強くなってますよ。」

 「だから木花は出したくなかったんだ。制御できるのか?」

 「問題ありません。今はまだ。」

 「…場合によっては殺せよ?」

 「えぇ、問題ありません。」

 「…ま、T県西部支部と日本探索者協会本部の依頼には応えられたし、木花についても新しいことがわかった。今回はそれで良しか。腐食魔術を使ったことも問題ない。」

 「それではこれで。」

 「まて、問題が残っている。」


 名古屋支部の支部長は、千種を引き止める。


 「なんでしょうか?」

 「1つは、その瓶詰めだが、始末しておけ。」

 「何故です?うちで使えませんか?」

 「リスクが怖いのと、()()()から始末しろと命令がきている。バレるとは思えんが、それを口実に監査でもされたくは無い。逆らえんわ。」

 「…本部長から?日本探索者協会の?」

 「その通りだ。我々の情報が漏れていると思え。その瓶は、報告が終わったら、副支部長の前で木花に食わせておけ。」

 「…わかりました。始末します。」

 「よろしい、さて、2つ目だが。」

 「なんでしょう?」

 「何故帰還が遅れた?T県西部支部と何か交渉でもしたか?」

 「木花さんが、海鮮とラーメンを食べないと帰れないと言って、さんざん引っ張り回されましたので。あ、こちら、領収証です。経費で落として下さい。」

 「…。確かに本物だな。こっちは寿司、こっちはラーメン、こっちは…ものの見事に全部食い物だな。高級店から、道の駅まで、よくもまぁ、何軒巡ったんだこの量は。」

 「えぇ、H市とT市の飲食店巡りに付き合わされました。T市の舞鳳のブラックラーメンは確かにおいしかったですね。チャーシューもお土産に買わされまして。」

 「…はぁー。分かった分かった。経費にしておく。下がっていい。」

 「了解しました。」


*****************************


 「おまたせしました、副支部長、木花さん。」

 「おかえり千種ちゃーん。」

 「遅かったな。報告にそんなにかかったのか?」

 「えぇ、副支部長。具体的な内容は話せませんが。あ、一つだけ見ててもらいたいものが。結果を支部長に報告しておいてもらいたく。」

 「なんだ?」

 「木花さん、これ、副支部長の前で食べとけって。」

 「えっ?ええのん!?」

 「えぇ、どうぞ。」

 「いっただっきまーす!」


 <<バリバリジャリジャリ>>


 「ごちそうさまー!」

 「これでいいですね?副支部長?」

 「なんかわからんが、確かに瓶詰めを食べていたな。支部長に報告しておく。」

 「では私達はこれで。」

 「おう。気を付けて帰れよ。」


*****************************


 「…ま、あれだけとは言ってないんですけどね。私が勝手に飼育する分には問題ないですよね?戦利品ですし。木花さん。飼育するんで、定期的に食べれますよ。もちろん内緒にしてくださいね。」

 「わーい!千種ちゃん大好きー!楽しみにしとく!」

 『出せ…出せ…。』

 「嫌ですよ。無限に食べれる食材って貴重ですから。今流行りのSDGsってやつですよ。」

 『殺す…いつか…絶対!』

 「無駄ですよ。お仕置きです。めっ!」

 『ギャアア!』

 「逆らったら殺しますので。死ぬまで私に従ってくださいね、ペットさん。」

 『ギギギ…。』

 「ねぇ千種ちゃん。」

 「どうしました?木花さん。」

 「いつになったら、()()、全部食べてええん?」

 「今はまだ我慢して下さい、時が来れば、いくらでも食べれますよ。」

 「ういうい!…にしても、馬鹿のフリは疲れるね。疲れるわ。」

 「人前では絶対に、ボロを出さないでくださいね。」

 「分かっちょるよ。ココまで来てヘマしてたくないし。」

 「満腹になったら理性が戻るのは想定外でした。別の意味で、始末書を書かなきゃいけなくなるところでしたよ。」

 「後で知能低下、かけなおしておいてね。普段から徹底しておかないと。」

 「えぇ。」

別作あり〼

触手 in クーラーボックス(仮)

https://ncode.syosetu.com/n1200kj/


青空設置しました。

https://bsky.app/profile/sternjp.bsky.social

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