やっぱりなんかそれは私の所有物なんですけど
『■■■■■の鱗』は、私が引っ剥がすときにあのぶよぶよの力を、どれぐらいかわからないけど吸収して変質してしまったらしい。で、私達が戦っている間も、現実?では、なんかいろいろ大変だったっぽい。金田さんが検査入院する必要があるのは聞いてたけど…。その現実での戦いも、最終的には、駆けつけてきたS級探索者の人がどうやら、ぶよぶよの本体?現実の体?に相当する部分を生きたまま丸呑みして決着。食べ残しは瓶詰めされたと、クロから教えてもらった。
…うん。夢の世界?でも倒しきれなかったし、通知機能でもクエスト失敗扱いになってたから、うすうす生きてるんじゃないかと思ったけど、まさか瓶詰めされてしまっているとは。それ本当に大丈夫なの?復活したりしない?きっちりトドメ刺したほうが良かったんじゃないの?
しかもナイア曰く、そのS級探索者さんはヒュドラを食べたことで、かなり上位存在に近づいているっぽいのと、ついでに私も食べようとしていたらしい。ただ、そこをヒュドラの持ち帰りを認めることで、見逃してもらったと。…えっやばくない?私、寝たまま食われるところだったの?しかもS級探索者の人に?なんで?
理由はクロにも分からないそうだけど、佐藤さん達がいなければ今頃、ヒュドラと同じ結末を辿ってたかもしれない。
…さて、話は本題に戻るけど、私は当初、クーちゃんに『■■■■■の鱗』を返すつもりでいた。もともとクーちゃんのものだし、私が持ち続けていても、また余計なトラブルを生みそうだったしね。このままこの鱗が存在し続けると、また狙われるかもしれないし、リーリエに返すのが良いと提案した。
だが――
『それなんですが、お母様が「もう不要だから、好きにしなさい。」って言ってましたわ。それから、「そのまま資格があるものに、使ってもらうのも良かろう。』とも。』
――どうやら、私を置いてきぼりにして、鱗の処遇が既に決まっていたらしい。お母様がそう言ってると伝えられても、正直困るんだよな。ところで、資格があるものってどういう事?
『私としても、黒川さんに差し上げたものですから、そのまま受け取っていただいて構いませんわ!』
「…うーん。そうなのかー。ちなみに、『資格があるもの』ってどういう意味?」
『分かんないですわ!』
「…そっかー。」
困ったね。私がこのまま持ってると良くない気がするんだけど。また狙われたりしない?大丈夫?正直、持ってるの怖いから返したいんだけど。しかも資格があるものってのも、意味分かんないし。…あ?もしかして、その資格があるから見えるのかも?でもなんで、私にその資格があるのかが謎だし、なにをもって資格を満たしたのか不明だ。
だが、これで、懸念点の一つである、誰にでも奪われる可能性は減った。おそらくヒュドラも、なにかしらの資格があったからこそ、この鱗を盗む事ができたんだろう。…ってなると、やっぱりヒュドラが復活したら、また狙いに来そうなんだよな。他にも資格があるやつが、この存在に気がついたら狙いにくるかもしれない。…ただでさえ、私が狙われてるのに!!もっと狙われる理由が増えた!!
『というわけで、私は要りませんし、リーリエに返す必要もありませんわ!』
「そっかー。じゃぁ本当に、私の物にして良いんだね?」
『良いですわー!』
というわけで、正式に『■■■■■の鱗』は私の持ち物となった。物騒なアイテムが増えたよ!やったね!…やったね!じゃないんだよなぁ。貴重品なことは代わりはないけど、売ることもできないし、双子の『白濁した宝玉』と同様に厳重に封印決定だ。
ちなみにだけど、いままで『■■■■■の鱗』を危険と分かってても、白濁した宝玉と同様に厳重に封印してなかったのは、あくまで一時的にクーちゃんが譲ってもらったものだったからで、返すつもりだったからだ。すぐに返すつもりだったけど、結果的にずるずるとこのタイミングになってしまった。
だが、私のものになるのならば、話が違う。…うん、あの宝玉とも一緒にして、マジックバッグの奥底にしまい込んだ方がいいな。その方が、存在がバレないだろうし。常に私の監視下にあったほうが良い。正直机の引き出しの裏に、隠しておくのはもう怖くなってきていたところだしな。本当に都合が良い時に、岬さんはマジックバッグを持ってきてくれた。
さて、封印するために、空き缶の中に入れないといけない。一旦机の上からカバンに戻して、作業スペースを確保しないとね。そのために、私は机の上にある、『■■■■■の鱗』を掴み――
――視界がぐにゃりと歪む
別作あり〼
触手 in クーラーボックス(仮)
https://ncode.syosetu.com/n1200kj/
青空設置しました。
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