表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/194

木花の今日の昼ご飯

明日誕生日です(‘、3_ヽ)_

 「どうせ始末書物だし、たまにはストレス解消に暴れよう!」と思っていたにも関わらず、あの女性型モンスターからいくつも生えていた触手が、唐突に音もなくすべて消失した。どうやら、私が暴れる必要は無くなったらしい。これじゃ腐食魔術の使い損だ。


 そして当然、男性を貫いていた触手も綺麗に消失した。まるで、そんなものはもとから無かったかのように…だ。私の腐食魔術で消失したわけでも、暴食魔術で食べられたわけでもない。また、ソレと同時に、明らかにあの女性型モンスターから感じるプレッシャーが格段に落ちる。


 『馬鹿な…どうして…そんな馬鹿なことが!』


 非常に狼狽えているし、理由が気になるところだが、明らかな隙だ。これを見逃すわけがない。…そもそもこれだけプレッシャーが落ちれば、あとは私の腐食魔術で押し切れる。…いや、このまま木花さんの暴食魔術で食べて貰ったほうがいいか。散々お預けさせた挙げ句、「食べちゃってください!」って許可を出した後なので、たぶんもう辛抱たまらないはずだ。下手に止めるよりも、このまま食べさせた方が、結果的に周りへの被害が少なく済むだろう。

 

 「木花さ―」

 「いただきまーす!」

 「(まぁでしょうね。)」


 木花さんに声を掛けるが、私が声を掛けるよりも前に、既に動いていた。もう止める術はないだろう。案の定次の瞬間には、女性型モンスターの全身は木花さんの暴食魔術で丸ごと覆われていた。このまま丸呑みするつもりだろう。その方が周りにも被害が出ない。というか、こういうときにはちゃんと周りに配慮できるんですね貴女。普段からもっと周りに配慮してくれればもっと楽なのに。特に私とか。


 『これぐらい!問題は無い…無いはずなのに!なぜだ!力が出ない!』


 何事かを喚きながらも、必死に木花さんの暴食魔術に抵抗しているが、もはや手遅れだ。十分規格外で桁外れの力を持っているが、それにぶつけるためのS級冒険者(人類の切り札)だ。先ほどよりも遥かにパワーダウンした時点で、もはや勝てる見込みは無い。あとは文字通り()()試合だ。


 『やめ…ふざける…な…■■よりも…ありえ…こんな…長年…』


 次々に影が重なっていき、女性型モンスターを覆い隠す。影と影の隙間からときおり、声が漏れ出ているが、次第に聞こえなくなっていく。やがて、何も聞こえなくなったかと思うと<<バリバリ>>と咀嚼音が、影の塊から響いていくる。


 やがて、その音もなくなり、影の塊はぱらぱらとほどけていく。ほどけていった影の中には、()()()()()()。初めから、何もなかったかのように。虚無だけがそこにあった。


 「ごちそうさまでした!お腹いっぱい!」


 おや?木花さんがお腹いっぱいになるのは初めてじゃないですか?少なくとも今まで監視してて、見たことがありません。あのモンスターについての詳細な報告を求められそうですが、もう木花さんのお腹の中ですし、どうやって報告したものですかね。


 「全部食べちゃいました?」

 「そう言うと思って、ちょっとだけ残しておいたよー。」


 そう言うと、木花さんの影が灰色のブヨブヨを、ひと掬いだけ私のもとに運んでくる。いいですね。瓶詰めして持ち帰りましょう。そうすれば本部でなんか分かるかもしれませんし。それに、木花さんが、これだけ周りに配慮できるのも珍しいですね。もしかすると、満腹になると理性が戻るんでしょうか?もしその仮定があってるなら、これ、うまく報告すれば、始末書回避できそうですね。

等しく全てがただの食事


別作あり〼

触手 in クーラーボックス(仮)

https://ncode.syosetu.com/n1200kj/


青空設置しました。

https://bsky.app/profile/sternjp.bsky.social

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
もう「飛べ」る術は 残しちゃったか、全部食われても死なないだろうしなー。滅ぼすには力が足りなさそうだ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ