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なんかそれは私の所有物なんですけど

クライマックス

 「やっぱり、人がいます!」


 木花と千種がたどり着いた空間では、触手をはやした女性があばれまわっていたところであった。倒れている数名と、それを守るように数名。そして直前まで対峙していたと思われる男性の1名の胸が、触手で貫かれている光景であった。女性は人型ではあるが、生えている触手が今まで退治してきた、モンスターのそれである。また身に纏うプレッシャーが、モンスターのそれだ。


 「腐食魔術(ユニーク)!」

 「暴食魔術(ユニーク)!」


 この光景には、千種もノータイムで腐食魔術を発動、また、流石の木花も緊急事態であることを理解し、千種の指示を確認せず暴食魔術を発動させる。触手の生えた女性型モンスターは、なぜだか視界を見失っているようで、木花が生やす影をまともに受けて、体の一部が大きく抉れる。また、千種の腐食魔術も、数々の触手をどろどろに溶かしていく。それは男性を貫いていた触手も同様で、触手の根本はどろどろに溶けて、男性を貫いたまま女形モンスターから腐り落ちる。


 千種は木花に戦闘禁止を通達していたが、目の前のモンスターのプレッシャーを確認して、方針を切り替える。そもそも、ここまで接近しなければ、気付けなかったのが異常なほどの強さを持っている敵に対して、警戒度を最大限にまで引き上げる。…ソレとは別に同等のプレッシャーを持つ相手がいるが、倒れている人間を守ってる側にいるので、今は無視する。


 「木花さん!食べちゃってください!」

 「了解(りょーかい)!」

 『私を!食べるというのか!人間ごときが!』

 「「龍崎さん!!!」」


 千種は、木花の戦闘(食事)を承認。女性型モンスターは、その事に対して、かなり激怒したようで、こちら側にまっすぐに飛び込んでくる。一方で、奥で守られていると思われる二名の女性が、名前を叫びながら、胸を貫かれた男性の元へと飛び出していく。男性の胸には触手が刺さったままだが、本体から切り離されてからは動きを止めている。


 「美味しそうですね!いただきます!」

 『ぐっ…分体が足止めしていたはずなのに!あれだけの数を全部!』

 「外にいた触手共なら全滅ですよ。全部溶けましたので。」


 木花の暴食魔術をいなしながら、女性型モンスターが吠える。


 『馬鹿な!S級(化け物)はそこの女だけのハズ!』

 「監視役が、監視対象より弱い訳が無いでしょう?まぁもう、始末書を書くのが決定してるので、私も暴れちゃいますかね。」


********************************


 「西園寺さん!重力魔術であのあたりを分離できますか?」

 「やれるよ黒川さん!ただ、魔力を練る時間をください!鈴木さん!効かなくても適当に打って!」

 「分かったっす!ライトニングバレット!」

 「クーちゃん!鱗の位置が動いたら教えて!」

 『了解ですのー!』


 鈴木さんの十八番が炸裂して、ぶよぶよの表面をスパークが走る。ダメージは一切入ってないだろうが、牽制には十分だ。西園寺さんの指示通り、電気魔法を次々と打ち込んでいく。私も光魔法を混ぜながら、氷魔法を打ち込む。


 『有象無象が!無駄な事を!』


 ヒュドラにダメージは殆ど無いが、明らかに鬱陶しく感じている。このまま連射だ。無数の触手は気合で避けたり、アイスウォールを展開して防ぐ。それに、先程から、明らかにプレッシャーが弱まっている。理由は分からないが、このチャンスを逃してはならない。


 『ぐっ、S級が!なんで化け物が今日に限って!!』


 なにか喚いているが、いまはともかくあいつの行動を阻害する。ジュゥジュゥと、ぶよぶよに命中した電気魔法だか光魔法だかが命中して、表面を焼いていく。


 「クーちゃん!黒川さん!今の位置でええんか?」

 『大丈夫ですのー!』

 「やっちゃってください!」


 西園寺さんが、確認をとる。クーちゃんも位置は変わっていないと言っている。ならば、いけるはず。


 「グラビティニードル!」


 不可視の重力魔法がヒュドラに向かって飛んでいき、命中した部分がひしゃげてネジ切れる。灰色のブヨブヨから、命中した部分だけが、無理やりねじ切られて球状となって、空間に浮いている。


 『確かに!そこにある!だが、切り離したとして!なんの意味がある!』


 ()()()()()これが。だって、今はその鱗は()()()()()だから。


 「パッケージング!」


 対象は(所有物)!!ぬめぬめのぷるぷるで『包まれている』ものからでも、スキルを使って取り出せるのは、ミズウオの死体で実証済みだ!!流石に本体からは無理だろうけど、切り離せば!!!どうだ!!!


 ――次の瞬間、私の手の中に、ゴツゴツとした瘤のようなぬめぬめぬるぬるした、鱗?が現れる。スキルの拡大解釈だったけど、ギリギリ許容範囲だと思ったんだよね。まぁでもやっぱり、拡大解釈だったみたいで、MPはごっそりもってかれたけど。いや、もしかするとアイテムのせいかもしれないが。ともかく成功だ。


 失敗してたら、あのブヨブヨに直接触れて試す事になってたから、めちゃくちゃ危険だったんだよな。下手すると取り込まれてるし、成功してよかった。

別作あり〼

触手 in クーラーボックス(仮)

https://ncode.syosetu.com/n1200kj/


青空設置しました。

https://bsky.app/profile/sternjp.bsky.social

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