なんか全然手応えがないんですけど
涼しい!(かなり回復してきた。
「アイスニードル!」
とりあえずの手段で、灰色のぶよぶよに向かってアイスニードルを連射する。アストラル体?という状態らしいが、装備はちゃんと持ち込めているみたいで、きちんとイヤリングによる補助が働き、低いMPで大量のアイスニードルを連射する。
「…ん?」
「あら、効いてないみたいやね。」
『私の魔法も全然効かなくって、逃げるしかなかったんですわー!』
大量のアイスニードルがぶよぶよに向かって殺到するが、本来聞こえるはずの音が一つも聞こえてこない。アイスニードルがぶつかっても、ぶよぶよには特に何も起きていない。それどころか、ぶよぶよの中に沈んで消えていく。まるで手応えを感じられない。一瞬何が起きているか分からなかったが、すぐにその理由を理解する。
「飲み込まれてる…。」
ぶつかってはいるものの、全部中に取り込まれてしまったようだ。物理を伴う魔法攻撃のはずなので、これが効かないということは、大抵の攻撃は効かないぞ?もっと上位の魔法攻撃が必要なのか、それともアストラル体では、このような攻撃はまったく意味をなさないのか分からない。有効打を探さなければならないが、悠長に検証をやっている時間は無い。
「今度はあたしが。グラビティショット!」
悩んでいたら西園寺さんが、初めて聞く魔法を行使する。…特に何かが起きているように見えない。…いや、魔力でとらえると、不可視の魔力の塊がぶよぶよに向かってまっすぐ飛んでいくのが見える。ぶよぶよにぶつかった瞬間、ぶよぶよの塊がひしゃげる。なるほど、これが重力魔法か。これはそれなりに有効な気がしてくる。
「なるほど、深域魔術なら多少は効くみたいやな。」
『すごいですのー!』
確かクロのステータスを見た時、重力魔法は『統合深域魔術』に分類されていたけど、そこに光魔法と闇魔法も分類されていたはずだ。それならばこれなら効くのでは?
「パニッシャーニードル!」
アイスニードルがあるなら、パニッシャーニードルもあるだろうと、はじめて使う魔法だが、光魔法を行使する。若干熟練度不足が目立つが、うまいこと発動する。問題はやはり、アイスニードル程の威力が無い。ただ、流石は光魔法だ。アイスニードルとは比較にならない速度でぶよぶよに向かって飛んでいく。ぶよぶよにぶつかった瞬間、ぶよぶよの表面にスパークがはしって、ジュッっと焦げた音がする。感覚としては電気魔法があたった感じと似ている。
「やっぱり深域魔法なら効くみたいやな。問題は威力不足って事やなぁ。」
「そうですね。効きはしますけど、まさに焼け石に水って感じですね。」
問題は確かに深域魔法は効いているし、ダメージを与えていそうなのだが、有効打になっている感じはしない事だ。灰色のぶよぶよもそうだけど、ニョキニョキ生えている触手の方にも効果がいまいちだ。…そういえばあのニョキニョキ生えてる触手って、もしかして、『■■■■■の鱗』の影響かな?なんとなく後付な気がするんだよな。
『そろそろいいかしらね?この世界では、私に敵う訳が無いって分かったんじゃないかしら?』
どうしようかと悩んでいる間に、頭上の大きなぶよぶよが語りかけてきた。いや、これはもしかしなくても、念話だな。直接脳内に!?っていうやつだ。まぁ確かに、私達では有効打を与えられそうにないのは事実だけど、戦いもせずに降伏を勧めてくるとはかなり舐められてるなぁ。圧倒的な強さを持っているのなら、そのまま叩きのめせばいいのに。
だが、それにも関わらずあえて念話をしてくる。ということは、こいつも交渉の余地がある相手ということだ。直接叩きのめす訳にいかないか、何か条件があるのか、それともできないのか。こうなりゃ、少しでも引き伸ばして、どうにか付け込める隙間は無いか探るしかないかぁ。あの双子は、簡単に吹き飛んでくれたけど、こっちはそういうわけにはいかなさそうだし、どうにかするしかないか。
別作あり〼
触手 in クーラーボックス(仮)
https://ncode.syosetu.com/n1200kj/
青空設置しました。
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