探索者である限り
誤字脱字報告ありがとうございます(‘、3_ヽ)_
前書きと後書きの誤字、いつも感想で注意うけてます。やってますねこの作者(‘、3_ヽ)_
ぴえん。
24階層では、龍崎と佐藤達が合流した。当初は首刈り女の擬態ではないかと疑われた龍崎だったが、ナイアによって、本人であることが確認された。どうやら見分け方が有るらしい。…ただし、ナイアによる確認なので疑わしい部分もある。だが、今はそんな事も言っていられない。結果として、セーフゾーンにいた白鳥と赤池の両名とも合流することができた。
「「霧゛島゛さ゛ん゛!」」
白鳥雫と赤池海が嗚咽しながら霧島の名前を呼ぶ。
「はいはいー。もう大丈夫よー。」
「こんなところにセーフゾーンがあったんだな。私も知らなかった。」
「なるほど、ここに隠れていたから新種にも見つからなかったって訳だな?」
「そうだ。仲間を5人殺されたが、俺達だけここに逃げ込めたんだ。軽く見て回ったが、他のセーフゾーンは大体壊されちまってる。」
『まぁ、全部首刈り女の仕業ですね。随分と派手にやりますね。』
「ナイア、この子たちに手を出すなよ?」
『出しませんよ。今は最下層が最優先です。』
「…まぁ信じておいてやらぁ。」
*****************************
龍崎と佐藤は、セーフゾーンの奥の方で二人だけで情報を交換しあっている。こちらとしても、佐藤達からすれば白鳥と赤池に、『ナイア』や『黒川理恵』の話はできない。逆に龍崎にしても、仲間が死んだ時の話を赤池と白鳥の前で話す気はなかった。
「久しぶりです。龍崎さん。」
「あぁいつぶりだ?佐藤。」
「指導探索者として忙しかったし、『海の貴婦人』にもここのところ潜っていませんでした。下手すると年単位じゃないですかね?」
「そうか、そんなにか…。この年齢になると時が経つのも早ぇもんだな。探索者として4年。そろそろ引退かねぇ。」
「龍崎さんが引退となると、大勢の探索者が嘆きますよ。貴方に教えてもらった人は多いですからね。」
「俺ぁ、万年Cランクのうだつのあがらない中年男性だぜ?ないない。」
「そういうのが、龍崎さんの悪いところですよ。」
「そうかねぇ。しかし、お前が第二陣で来てくれるとはな。助かったぜ。下手な三流が来てたら全滅してたかもしれねぇ。」
そう言いながら、龍崎はスキットルに入った液体を飲む。これでもCランクとして、付き合いの長い佐藤は知っている。それの中身が酒であると。中は日によって変わるが、大抵は安いウイスキーだ。…だが今日は甘い匂いがする。蜂蜜酒の類か?
「何があったんです?」
「24階層は全滅よ。潜ってた探索者は、殆ど死んでるわ。おまけに、全部首が狩られてる。俺等のメンバーも不意打ちでやられた。アイツら一体一体が、ダンジョンのボス級だ。」
「具体的には?」
「あいつら、探索者の動きを理解ってやがる。注意を誘導されて、陣形が崩れたところに、伏兵が襲ってくる。触手一本だけでも、的確に殺してくるのに。そんな触手が中から、わさわさと何十本もでてくるんだ。油断して切りかかったら、もれなく絡め取られて死ぬ。しかも中には人間に擬態してるやつもいる。助け出そうと近寄ったら、同じく中からでてきた触手にやられて死ぬ。」
なるほど、大体はナイアに聞いた通りだが、実際に見た者からの情報は貴重だ。
「それに、アイツらたぶん、相当昔から活動してるぞ。外側から中に取り込まれた、首がデスマスクみたいに見えるんだが、数が合わない。下手すると、ダンジョンが出来る前から存在しているかもしれない。」
「ダンジョンが出来る前から?」
「あぁ、そうだ。おそらくダンジョンが出来た頃からはいたはずだ。それでも、首の数が合わねぇ。確かに、時たま、ダンジョンでは未帰還者が出る。だが、どう考えても首が多すぎるんだ。そうなると、矛盾した話だが、ダンジョンのモンスターでありながら、ダンジョンが出来る前から存在しているとしか考えられねぇ。」
「なるほど。」
「まぁ、万年Cランクの探索者のしが無ぇ予想だ。話半分に思っておいてくれ。」
「いや、その予想には合理性があります。それにこっちも心当たりが有るんですよ。」
「まじか。」
まぁ、多分ナイアに聞いても答えてはくれないんだろうが。
「龍崎さん、この後は?」
「当然、上に帰還する予定だが?モンスター討伐は、もうS級呼んだ方がいいだろ。赤池と白鳥も地上に送ってやりたいしな。頼めるか?」
「それが、まだ終わってないんですよ。」
「…何?」
「更に下層に、数名の探索者が連れ去られてています。」
「更に下層だと?どれぐらい下だ?」
「最下層です。」
「はぁ!?そりゃぁ42階層より下ってことか!?」
「その通りです。霧島の予想では45階層だと。」
「無理だ。人類が到達できる環境じゃねぇよ。もう死んでるぜ。そりゃぁ。」
「まだ生きてます。確認が取れてます。」
「まじかよ。」
「それに。」
「それに?」
「…白鳥と赤池の後輩も含まれています。」
「そんな若い奴、何しにココに潜ってたんだ?」
ヘラヘラ笑っていた龍崎が真剣な顔になる。
「第二陣のメンバーです。私の不注意で分断されました。」
「馬鹿が。何故面子に加えた。」
「…極秘事項です。」
「…はぁ~。阿呆め。」
「返す言葉もありません。」
「偵察部隊が壊滅したのは俺の責任だ。それでも、全員潜ることに了承した一人前の探索者だ。だが、そんな若いやつを、ダンジョン深層につれて行くんは、殺すようなもんだろうが。てめぇ、一体何考えてやがる。」
「…申し訳ありません。」
「まったく…。で、俺は何すりゃいい?助けたいんだろ?」
「…一緒に最下層まで同行いただきたく。」
「OK。赤池と白鳥は?」
「上に帰します。」
「馬鹿め。せめて話ぐらいしてやれ。自分らを助けに来たはずの後輩を見捨てて、自分らだけ逃げたと後で知ったら、どれだけショックを受けると思う?あぁ?」
「…おっしゃる通りです。」
「本当は話せないんだろうが、話してやれ。それが探索者としての義務だぜ。我々は仲間を見捨てない。探索者である限りな。」
佐藤が、いつか龍崎から聞いたセリフだ。
「本当に貴方は、変わりませんね。」
「あたぼうよ。俺ぁ、頑固者だぜ?」
黒川「後編…って言ってたよね?」
作者「はい。」
黒川「これ7章の終わりだけど完結した?」
作者「してないです。」
黒川「ねぇ!第二部だけで何章使うつもり!」
作者「5章…ですかね。」
黒川「ねぇ、これ、第二部と第三部で分けたほうがよかったよね?」
作者「おっしゃるとおりです(‘、3_ヽ)_」
黒川「ねぇ!次◯◯◯編やるっていったじゃん!」
作者「ご゛め゛ん゛な゛さ゛い゛!」
次回、(中編から)後編!
新作あり〼
触手 in クーラーボックス(仮)
https://ncode.syosetu.com/n1200kj/