なんか辻褄が合うけど合わないんですけど
「それは、地上の人類との交流があるからです。遡れば数千年前から交流があります。ただし、日本という国との交流がはじまったのは、この数百年の間でしょうか?この執事服やメイド服もそうです。数百年前に地上の国からもたらされたものです。我々も普段、仲間や家族とコミュニケーションを取るときは、この文明の言語を使います。」
「ただそれ以上に姫が、日本の『文化』に興味を持ってしまったため、それに合わせて、私共も多くの日本語を学ばねばなりませんでした。特に姫は、普段からの会話も日本語にするという徹底ぶりです。」
「当然ですわ!」
いろいろと辻褄が合うけど、辻褄が合わない。
まず、やはり、ダンジョンは別の場所にあったと考えるのが妥当のように思える。時系列がそもそも合わないし、ダンジョンが世界中に現れる前から、交流が有ると言う。ただ、彼らと日本語でコミュニケーションが取れるのも、執事服やメイド服を着ているのも、『前から人類と交流があったからだ』というのは納得ができる。…大分地上の文化に毒されているようだが。
ただそうだとすると、ダガンさんが言った『そもそも我々が上の階層まで移動することは基本的にないので』という言葉が嘘になる。おそらくはもっと、上層に行くことが多いはずだ。なんならば、この最下層から上の10階層までを結ぶルートがあるはず。そして、ダガンさんとイドラさんは、おそらくは迷うこと無く、そのルートを通って来ている。ということは、常習的に上層まで移動しているはずであり、ダンジョン構造について、もう少し詳細に把握していなければおかしい。
一方で、クーちゃんは『地上に行きたい!』と言っていた。つまり彼女は地上に行ったことがない。それどころか、ダンジョン内にも関わらず、『案内して欲しい』とまで言った。つまり、彼女はあまりこの最下層から出たことがない事を意味する。いや、最下層に近い階層なら出入りしている可能性はあるが…。まぁクーちゃんについては一旦置いておこう。つまりは、常習的に上層に出入りしているハズの、ダガンさんとイドラさんが、この現在のダンジョンの異常事態に気が付かない訳がない。
次、クーちゃんはやはり、見た目は私と同年代だが、実際としてはもっと長いこと生きているように思える。その割に精神年齢が幼すぎる。教育が行き届いていないというレベルではない。一方で、ダガンさんとイドラさんからは深い知性が感じられる。この二人がクーちゃんに普通ならば教育をしていないとは思えない。となると、つまり普通じゃないということだ。意図的にクーちゃんの教育をしないようにしている可能性がある。
そして、当然クーちゃんの保護者的な立場であるダガンさんとイドラさんは、クーちゃんよりも相当長い事生きているはずだ。『なにぶん古すぎて正確な情報は私達にも残っていません。』という言い回しも妙だ。『記録が残っていない』でいいはずだ。つまり、これは途中で言い方を変えたのではないだろうか?
以上を踏まえた推論として
①異常事態を引き起こしてるのがダガンさんとイドラさんの可能性
②女王様(名称不明)の命令で嘘をついている可能性
が提示される。ただ、全部が全部嘘という感じはしていない。…ん?そう言えば『大事なお祭りも今日なので、その目玉の姫には大人しくしてもらいたいのですが…。』この言い回しも妙だな?目玉?主役とかならば分かるけども、クーちゃんに対して『目玉』というのはおかしくないか?
ただし、ここまでは全部推論の域を出ていない。とりあえずは、もう少しお話を続けてみるべきか。
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