なんか初期装備が心許ないんですけど…
作者取材(情報I)を行います。
次回更新は19日になるかもしれませんが、書きかけの現行の完成次第では早めに投稿します。
なんとなくで始めた連載です。思ったより反応があって、椅子から転げ落ちております。
誤字脱字報告・感想お待ちしてます。いつもありがとうございます。
さて、皆様は『棍棒』と聞いた時にどのようなものを思い浮かべるだろうか?
よくある漫画であるのは、木製で、グリップに縄がぐるぐると巻いてあって、攻撃部分が膨らんだ…ようするに『丸太に持ち手を付けました!』といった形だろう。場合によってトゲトゲがつく。万人に受けそうなイメージならば、不思議のダ◯ジョンなどのゲームにでてくるビジュアルが思い浮かぶのではないだろうか?あるいは、鬼がよく持っている『金棒』みたなやつをそのまま木製にしたイメージだろうか。
では素人が、そんな丸太みたいな棍棒をいきなり振るえるのか?と言われると、絶対的にNOであると言わざるをえない。そもそも丸太みたいなでかい棍棒になると、重さと大きさがネックになる。人によっては持つこともままならないだろう。そしてそんなデカブツをもっての集団行動などもってのほかである。どうやっても鈍重になり、とっさの行動ができない。そんなリスクを学校側がOKを出すわけがない。
ゆえに取り回しがよくて、そこそこに重たい(威力がでる)けど、鈍重にはならない程度で誰もが振り回せる程度の重さになると、形容したように『木の棒』のようなものになる。これを持ちやすいようにグリップをつけて、振りやすいような形にするとどうなるか。
そう、やや短めの『木製バット』の完成である。完全にバットだよこれ。
誰もが使えて、生存が簡単。なんせバットの製造方法をそのまま使いまわしつつ、バットケースにいれておけば持ち運びも問題ない。つまり、『誰でも使える』『製造が容易』『購入と管理が簡単』『リーズナブル』『持ち運びも楽』というメリットが大きい武器なのだ。
そして大きさはいわゆる『短剣』サイズだ。これは実際の短剣ではなくて、剣道の『短剣』である。長さ55cm~60cmで、いわゆる刃部が40cm~45cm程度。なぜこのサイズになるかというと、ひとえには片手で扱える大きさに抑えるためだ。通常のバット、あるいは剣道の竹刀というのは両手で扱う。両手で扱うことで、重さのある獲物を制御でき、また力を伝えることができるためだ。
だが、ダンジョンに入るにあたって、両手が塞がるような状態はいただけない。とっさに行動ができるように、片手はフリーとして開けておくべきか、盾をもって行動できるようにしておくべきだ。このような取り回しの良さを考えたときに、短剣サイズの右に出る武器はない。確かに両手武器と比べて威力はおとるだろうが、逆に言えばそれだけだ。いつでも使える・簡単につかえるというメリットは、威力をさしおいて何よりも勝るのである。
なおここで、『武器によるリーチの差が気になる』ものもいるだろう。だが、実は短剣と長剣でのリーチは、それほどハンデがない。片手武器を使う際には、両手武器ではできない『腕を伸ばす』ということが可能だ。半身で構えることにより、剣先が伸びることで、この獲物によるリーチ差は実際には無きに等しい。
…ここまで長々と棍棒について語ってきたが、ようするにこれは55cm約0.7kg「片手用バット」だ。
「えいっ!」
理恵は『棍棒』を振り下ろす。これはテキストどおりの動きの練習である。この『棍棒』は野球用ではない。戦闘用だ。ダンジョンに潜って、実際にスライムを討伐するために使われるべき凶器だ。人に向けてはならない。では、これで実際にどうスライムを叩くのかというと、簡単なのは体重を乗せた縦方向の振り下ろしである。ようするにスイカ割りの要領だ。
「えいっ!」
また、ダンジョンでのバットの持ち運びは腰にホルダーを付けて、保持するため、そこから攻撃にうつるモーションもテキストには取り入れられている。ようするに実際の短剣道のように、抜いた竹刀をそのまま横に、人間でいうと『胴』を横から叩くような動作もある。これは少ないモーションでとっさに攻撃に移行するための動きだ。
「やぁ!」
次に突きだ。これは高校剣道では禁止されているが、相手はスライムだ。スピードと体重を乗せた一撃をストレートに相手に叩き込むのに、突きは強力な動作だ。
「うーん。こんなもんなのかなぁ…なんか手応えがないなぁ…実際にスライムと戦ってもこれで、大丈夫かなぁ…」
理恵は気づいてないが、理恵のステータスであればスライムごときの攻撃には、なんの痛痒も感じないし、なんなら素手で殴り倒せる。そんな人物が棍棒をふるったらどうなるのか?傍目には女子生徒がバットを「えいっ!」って振り回してるだけのように見えるが、実際にはそこは死地である。無論、近くに人がいない場所で振り回しているで、そのことは誰も気づかない。
だが、理恵の振り回した棍棒は、実際には空を切り裂き、普通の人間にとっては致命の一撃を、確かに虚空にはなっている。…そうとも知らずに、理恵は棍棒の扱いになれるために素振りを続けていく。
「本当にこんなので、スライム倒せるのかな…。不安だなぁ…。」
※倒せます。なんなら素手で。というか『スライムスレイヤー』とか『スライムの不倶戴天の敵』やら『スライムを滅ぼすもの』だから特攻ものります。
そして理恵は素振りを続ける。