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【⭐️5,000ブックマーク】愛用のクッションがどうもなにか変【累計350万PV】  作者: 一級フラグ建築士
第6章 海の貴婦人攻防戦(前)

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なんかいつもと違って大勢いるんですけど

 「黒川さん、お入り下さい。」

 「はーい。」


 日曜日。一応、今日が最後の通院日だ。いつものように名前を呼ばれたら診察室に入り、そのまま奥へ進んでいく。もはや案内役の人がいなくても、経路は覚えている。いつものように、古城ダンジョンの会議室に到着する。今日も宝箱の開封はあるが、今日はそれ以外にも、いろいろと予定があるのだ。


 何故今日はいろいろと予定があるのか?それは、多忙だった西部支部が、ようやく本格的に動き出した為だ。これまで、西部支部はフォレストパークの、FPダンジョン施設の再建を最優先に注力していたのだが、それがついに完成したのだ。巨大スライムが出現してから、はや1ヶ月。予定の2週間では完成しなかったけど、それでも3週間で西部支部はFPダンジョンの再建を終えた。


 新しいFPダンジョンの施設は、以前の建物とは違い倍以上大きな建物が建てられている。今後はフォレストパークに、この古城ダンジョンにある西部支部そのものが移転する。そのため、私が古城病院へ来るのも今日が最後だ。そもそも表向きには経過観察のための通院ともなってるし、コレ以上の通院はもはや不自然になる。


 更にフォレストパークでは、西部支部の関連施設の建築も、現在進行形で次々進んでいる。例としては、新たにフォレストパーク病院が設置予定で建設中である。ただし、こちらは流石に数週間で完成という訳にはいかず、1年はかかるらしい。


 まぁ要するに、一番大きな仕事を片付けた西部支部には、やらなければならない問題が数多く有る。そして黒川理恵に頼みたい依頼も、それに比例するようにいくつもあるのだ。


*****************************


 「蜂蜜シフォンケーキ、どうでしたか?」

 「最高でした!生クリームと合わせると絶品で!」

 「ですよね!」


 簡単なところからだと、蜂蜜製品の試食から。FPダンジョン3・4階層から採れる『キラー・ハニー・ビー』の蜂蜜の成分分析はとっくに終わっていて、特に危険性は無いことが証明されている。そして、『HP回復効果』と『MP回復効果』が正式に認められた。さらには、栄養も豊富で、甘みも素晴らしい。


 明日からT県の大手スーパーに並ぶことになる、『呉西森林蜂蜜』とその関連商品が、私の目の前に並べられている。試食は結城さんと、岬さん、霧島さん、そして…知らない人が1人。


 「あ、こんにちは黒川さん。うち、西園寺(さいおんじ)って言います!よろしくお願いします~。」

 「よろしくお願いします西園寺さん。黒川です。」

 「そして、酷いですよ霧島さん。マジックバッグのことで風見さんと十文字さんに怒られたじゃないですか~。」

 「ごめんなさいー。口をすべらせちゃったわー。てへぺろ。」

 「もぉ~。」


 この人が噂の西園寺さんだったか。


 「そして酷いですよ。私は仕事で駆けずり回ってるのに、皆だけこんな美味しい蜂蜜食べてたなんて…。私も呼んでくださいよ。」

 「いやぁ忘れてた訳じゃないんですよ?ただ、実際呼んだとしても、こっちに来れなかったでしょう?」

 「それは確かに、そもそもこっちにはいませんでしたけどね?でも酷いじゃないですか!」

 「次からはちゃんと呼びますので。」

 「約束ですよ!」

 「そう言えばー。どこ行ってたのー?西園寺ちゃんー。」

 「I県の方ですね。詳しくは言えません。」

 「そっかー。」


 蜂蜜そのものも良いが、地元の菓子製造メーカーや、ケーキ屋さんとのコラボ商品もいくつかある。和菓子から洋菓子に加えて、化粧品までいろいろとある。


 「…ケーキ美味しいですね。佐藤さん。」

 「そうですね。…ただ、私には美味しいことしかわからんな。」

 「甘ぇな。だがこれHPとMP回復効果が有るんだろ?ダンジョン潜る前に食べておくといいだろうし、クッキーとかはちみつレモン水にして、ダンジョンに持ち込んでも良さそうだな?」

 「確かにそれはありだな、金田。」

 「加藤の回復のためにも良いんじゃねぇか?」

 「既に試しています。効果有りです。おかげで回復が早まって、そろそろ退院できそうですよ。」

 「流石ですね風見さん。そして良かったです。」


 一応男性陣もいるが、甘いものと化粧の話には入れず、部屋の隅で、いくつかのケーキを試食しているだけだ。あと、今日は退院した金田さんも来ている。


******************************


 一通り蜂蜜製品の試食が終わったところで、会議室に遅れて鈴木さんと中川さん、そして、堺さんと藤井さんもやってきた。おや?どうやらいつもと雰囲気が違うな?特に、堺さんと藤井さんもやってくるのは想定していない。それに、二人共だが、私を見て驚いた顔をしている。前みたいに侮った感じはないけれども。私がここにいるのが、不思議そうな顔をしている。


 そもそも後から来た4名は何か理由があって呼ばれているわけで。これが蜂蜜関連や、私が受けている依頼とは、まったくの別件であることは想像に難くない。つまりは、何か目的があって、探索者がこの部屋に集められているのが正しい。そして、今この会議室には、佐藤、霧島、金田、鈴木、中川、西園寺、堺、藤井の8人探索者がいることになる。


 これだけの探索者を集めておいて、何もない訳がない。


 「…風見さん?これだけ大勢集めたということは、何かあったんですか?」

 「あ、分かっちゃいましたか?佐藤さん。」

 「これだけ人数を集めれば、それは分かりますよ。」


 …さて、一体何が始まるのかなぁ?

新作あり〼

触手 in クーラーボックス(仮)

https://ncode.syosetu.com/n1200kj/

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