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竜と騎士の物語(1)
昔々、あるところに戦争が好きな王様の国がありました。
北の雪の国、南の森の国、東の海の国、たくさんの国と戦争をしていたのです。国民はとても大変でしたが、王様が決めたことなので仕方ありません。国民は兵士として戦争に参加していました。
さてその国には竜が住んでいました。毎年春になると竜の子供が生まれます。子供たちはまだ小さいですが、すらりとした尻尾とチカチカ光る白い角、それに空を飛ぶための翼まで、とても素敵なものを持っています。何より素敵なのは、体を覆うつるつるして真珠のように滑らかで真っ白な鱗です。
竜たちは人間を大好きでした。人間たちも竜をとても大切にしています。