11.魔女の菜園
「お金がない…っ!」
本日もまた食材を買いに街へと行き、帰宅後。軽くなった巾着の中を見て叫んだ。
クロウはまだしもコトラはよく食べるし、ただでさえ魔女様の貯金を切り崩して生活しているわけで。いつか底を尽きてしまう前に、なんとか生活するための金策を練らないと。
(魔女の傷薬売れるんじゃない…?)
ふと思いついたのは、コトラを治した魔女の傷薬。あれだけ凄い効果だ。立派な売り物になる筈。モヘジマーケットにでもお願いして卸したらどうだろう。
「となれば、問題は原料よね…」
二匹を連れて家を出て、すぐそばの魔女の菜園へ。昨日は暗くてあまり見えなかったけど……菜園というよりは、ただの雑草畑だ。
「あ、この実食べれるかな」
「バカァ!ソレ二手デ触ルナッ!」
クロウの忠告も遅く実に触れた瞬間、パァァァァン!!!大きな音を立てて実が弾け飛んだ。
「ぎゃっ!」
「ガゥ!?」
あまりの音の大きさにコトラと一緒にひっくり返る。
「弾ケル実ダ!魔女ノ革手袋ガ必要!」
「もう早く言ってよ」
魔女の革手袋……あ、あれだ。パン作りの時にミトン代わりに使ったやつ。
あんまり不用心に色々触るもんじゃないな。一度、何が植わってるのかちゃんと調べて菜園も作り直さないと。
「やっぱり何年も手入れしてない菜園だから全体的に萎びてるよね」
そう呟いた時、また目の前に本が現れた。
『魔女の調合〜元気いっぱい栄養剤をつくろう〜』
「栄養剤!あ、しかも応用編まで乗ってる!さすが魔女様!困った時に頼りになる!」
畑を元気にする栄養剤。応用編には、その栄養剤を使ったエナジードリンクの作り方まで載っていた。もはや師匠と呼ぶべき存在だ。
「材料は、鈴りん草に囁木の樹液と水……囁木の樹液?」
どこかで見たと思ってページを捲ると、やっぱりあった。一番最初の灯りを灯す方法に「お砂糖の変わりに囁木の樹液でも可」と書いてある。お砂糖の代わりになるんだから、甘い蜜なんだろう。
「でも、どこで採れるのかな…?」
またページが捲られる。開かれたのは『魔女の植物図鑑』だ。クスクス笑う木から樹液採取用器具を打ち込み採取する、と書かれていた。
「クスクス笑う木?」
「コノ森ハ囁キノ森!ゼンブ囁木!イツモロクデモナイ噂シテル」
そういえば、この家に辿り着く前。森で迷いに迷っていた時、周りの木がクスクスと葉を揺らしていた気がする……あれは、迷った私を揶揄っていたのか。
「でも待って……ってことは……!」
お砂糖の代わりになる甘い樹液が取り放題って事!?
にんまりと笑った私はさっそく家に戻りスパイルを探す為、魔女様……もといお師匠様の棚を漁るのだった。




