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10.白虎のコトラ


 ぺろっぺろっーー何かが顔中を這っている。重たい瞼を薄ら開けると、


「わわ!虎っ!」

「ガウッ!」


 まんまるとした目でこちらを見て、嬉しそうに長い尻尾を大きく振る真っ白な虎。恐る恐る撫でてやると、気持ちよさそうに身を寄せた。


 どうやら疲れ切っていつの間にか寝てしまっていたようで、窓から見えた空はもう随分と明るくなっている。クロウの姿は見えないけど、どうせ虎に怯えて外へ逃げて行ったんだろう。


「よかった、大丈夫そうね」


 怪我をしていた箇所は毛が少し禿げちゃってるけど、傷は跡形もなく綺麗になっていた。元気そうだし、助けてやれて本当によかった。


「さてと。お腹空いたでしょ?でも病み上がりなんだから、そうだ!パン粥つくってあげる」


 昨日焼いたパンがまだ残ってる筈。未だ慣れない手つきで火を起こすと鍋にミルクを入れる。焦げを取り除いたパンを千切って入れて。


「ぐるぅ……」


 キッチンに立っている私の足元に擦り寄ってくる小さな虎。本当に大きな猫みたいだ。


「はい。熱いから気をつけてね」


 ことり。目の前に皿を置いてやる。

 暗闇で赤く光っていた瞳は、よく見れば薄いオレンジ色の瞳だった。その目をキラキラと輝かせて勢いよくお皿に飛びついた。


「ガゥッ!?」


 ひと舐めすると熱さに驚いてひっくり返る。口元を両前足で抑えて目を白黒させる姿はとても愛らしい。

 スプーンでかき混ぜ、少し冷ましてやるとお皿に顔を突っ込むように食べ始めた。


「……すんごい食べる」


 クロウの分も含め、多めに作った筈のミルク粥はあっという間に底をついた。


 毛についた血もお湯で濡らしたタオルで拭い綺麗にしてあげる。傷も治り、お腹も膨れて、そろそろ出て行くかもしれないと家の扉を大きく開けてやっても出て行こうとする気は全く感じられない。


「いいのよ?もう、帰っても」


 そう言えば、きちんとお座りして私を見つめる瞳がちょっとウルウルと潤んでいる。その姿は、まるで「いい子にするからここに居させて」と言ってるように見えた。

 やだ、めちゃくちゃ可愛い……!


「あなた、うちの子になりたいの?」

「ガウッ!」


 言葉が分かるのか大喜びで私に抱きつき、ぺろぺろと頬を舐めた。あ、そうだ。従魔にするには、名前が必要だ。


「じゃあ、おチビちゃんだから子虎!コトラね!」


 私が名前をつけた瞬間、クロウの時と同じように額が光り太陽の紋章が現れる。それは、私の従魔になった証拠。


「バッカァー!!!」

「痛ぁッ!」


 いきなり物凄い勢いで飛んできたクロウの突きを食らってよろける。私が乱暴されたと思ったのかコトラがクロウに毛を逆立てた。


「ガウゥッ!!!」

「ヒィッ…!」

「こらこら、喧嘩しないの」

「喧嘩ニナルモンカ!コヤツハ白虎ノ子供ダ!」

「びゃっこ?」

「カ弱イ俺ナンカペロリダ!!!」


 震え上がるクロウ。ぺろりされる前に私を見捨てて一目散に逃げたヤツがよく言うよ、全く。


「クロウは家族だから、食べないもんね?」

「ガウ!」

「ほら」

「カァ!?マコ見テ!涎垂ラシテ俺見テル!!」


 またひとり、魔女の家の住人が増えて賑やかになった我が家。この小さな家で3人仲良く暮らしていけるといいな。家の中で走り回る二匹を見て私は笑った。

 

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