その風はたしか
その風はたしか
南南東の風3メートル
砂浜を歩くキミは下を向きながら
ときおり風に逆らうように髪を直すしぐさを
いつの日か
あたりまえのように見つめながら
今日一日は
誰よりもゆったりと過ごすことを決めていた
少し間をおいて話す言葉に不安を感じていた
手をつなぐ距離よりも
もっと近い距離を求めていたりして
知らないうちに
なつかしい
僕はたしか体操座りは
こんな感じだったよな、と思いながら
いつの間にか
キミがそばにきたことに気づかない
風が教えてくれた
「そろそろ、話す時間だよ」
それは今日、必ず言っておきたいこと
キミに必ず言わないといけないこと
たぶん、キミにとっても大切なこと
いまの風はおだやかなものに変わった
手をつなぐ距離よりも近く感じて
僕はキミに告げた