オニ令嬢が、第一王子の婚約者(後輩)と共闘し、舎弟の元婚約者と第一王子をぶっ飛ばす約束を得ます(切りぬき102)
「1年ぶりになりますね、学園バルキリー隊 初代隊長ギンチヨ様」
伯爵家のよく手入れがなされている庭園の一角で、オレンジ色の髪のロックスワン嬢と二人きりのお茶会です。
私、ギンチヨは帝国の女性監査員としてグループの各国を回っています。
大事な舎弟のクロとの婚約を破棄した令嬢をぶっ飛ばすには、この伯爵令嬢の応援が不可欠です。
…
「第一王子の婚約者様とお茶会ができること、光栄に存じます」
「ご冗談を」
ロックスワン嬢は、薄く笑って受け流します。
「良い庭園ですね」
「ありがとうございます」
社交辞令の後、伯爵家の長女であるロックスワン嬢は、遮音の魔道具を動作させました。
これは、ただのお茶会ではありません。
…
「ロック、表情が硬いな」
ロックスワン嬢の呼び方を、学園時代のロックに変えます。
「第一王子の浮気を知っているんだろ?」
私は、さっきのランチで、師匠から聞いたばかりです。
「私の家でも密偵をかかえておりますので」
伯爵家はダテではない。
これは、可愛い後輩のストレスを、まず発散させましょう。
「ロック、スキル「窓」は秘密にしているのか?」
「はい、「窓」の力をギンチヨ隊長から引き出して頂きましたが、あれ以来、使用してはおりません」
「では、これから使ってみようか」
「え?」
「学園の中庭、ここから1キロほど離れているが、男女二人が見えるか?」
「はい、見えました、第一王子と相手の令嬢ですね」
ロックスワン嬢の意識が、ターゲットを視覚情報として映し出したようです。
「近くに、ギンチヨ様の舎弟さんが隠れています。いつものイケメンが、少し曇っているように見えますが」
舎弟のクロは、相手の令嬢を見ているのです、自分の元婚約者を、、、
「カウントに合わせて「窓」を開けろ、目標は第一王子が持つ赤いバラだ」
「イエス マー!」
距離1キロの長距離射撃! 離れた場所から、ロックスワン嬢が空間を開けて、私がファイヤーボールを撃ち込む、2年前に連携した戦闘技能です。
「3、2、1 オープン! ファイヤ!」
「見事だ、「窓」がコンマ5秒だけ開き、正確に着弾させる事ができた。腕は落ちていないな」
「ありがとうございます、スカッとしました」
表情が少し明るくなったようで、良かったです。
「私という婚約者がいながら、別の女性に赤いバラを贈ろうだなんて!」
もう第一王子に未練は無いようですね。
「ギンチヨ様の舎弟さんも驚いているようですが、大丈夫ですか?」
「後で鍛え直す」
動揺を隠すためお茶を口に運びます。
…
「そういえば、ロックには、同じ学年に仲の良い男性がいたと思ったが」
「第二王子のことですね、幼馴染なだけです」
伯爵令嬢もお茶を口に運んだ、お互いまだまだ修行が足りないな
「第二王子はギンチヨ様からシゴキ、、、特別な指導を受けていましたね、もうお会いになりましたか?」
「これから出向く所だ。その前に、明日のシナリオを打ち合わせておきたい」
「わかりました、パーティで二人をぶっ飛ばすのですね、楽しみです」
伯爵令嬢の顔が微笑む、これは餌をもらう子猫の顔か?
いや、これは、現在の学園バルキリー隊を束ねている二代目隊長の顔だ。
「「オーホッホッホ!」」
昔、二人で流行らせた、お嬢様笑いの響きが懐かしいです。
舎弟クロの元婚約者、加えてロックスワン嬢の婚約者の第一王子、一緒にぶっ飛ばします。
これで、私の好感度は爆上がり、間違いありません。
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