表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現在進行 鳥の国 4  作者: 蓮尾 純子
38/93

データ受信   2007年10月   すずがも通信166号掲載

保護区はいつも現在進行   すずがも通信10月 166号掲載    


   データ受信

 焦げつきそうな晴天と暑さが続いた8月。ふっと気温が下がった18日と28日以降の数日で、一挙に虫の音が目立ちはじめました。もちろん、猛暑の後の涼しさはありがたいのですが、いつもどおり青潮の不安が。ただ今年はDOメーターの取り替えで、ありがたいことに溶存酸素量・水温・水位の3通りのデータが毎時パソコンに送られてきます。鳥や魚の様子をはらはらしながら見守っていた従来の様子に比べると、安心感が違います。送られてきたデータはエクセルにうつしてぱっとグラフ化。今のところ水門から潮が入ってくる時のほうが溶存酸素量が低い場合が多いようで、DO値が1を割ると平常時は1時間に1回送られるデータが20分ごとに入ってきます。気温低下の影響で、8月31日ごろからDO値は少しずつ下がり、9月2日から5日にかけては1以下の数値が続きました。台風9号の前触れの強風で、6日からは数値が上がってきて、どうやら平常に戻ったようです。もっとも平常値というのが3~5程度(酸素の飽和状態では10前後)と、決して理想的ではないなあ。東京湾奥の魚たちはこういう状態に適応しているのでしょうけれど。

 水位についてもきちんと出るのがありがたい。台風が直撃しそうとの予報で、千鳥水門は6日の朝のうちに閉めました。暗渠水門から入る水だけで、干潮時に閉めたはずがけっこう満潮位のあたりまで上がってきました。7日には開けたのですが、東京湾の潮位がずいぶん高かったらしく、7日の夕刻にはさぎどまりが水没するところまで。ここ何ヶ月かの最高潮位よりも15cm近く上がって、ちょっとひやひや。あと15cm上がったらまた観察路が水没という様子になったことでしょう。これもきれいに図化できます。計測器やパソコンにトラブルがなければ、いながらにして様子がわかる。この10年くらいの間の通信機器の進歩はすごいなあ、といまさらながら感心。


 いつもどおり、保護区の管理作業は草刈って、草刈って、草刈って、草抜いて、と夏の作業。それでも9月に入ると草の勢いはぐっと落ちてきます。今年はボランティアデーに水車池のホテイアオイを長靴池に移動する作業をやってみました。④系列水車池の水車がずっと故障中のせいか、ホテイアオイの育ちがみごとなこと。全面を埋めつくした後は上に伸びあがって、止まったままの水車を隠すほどの勢い。一方長靴池はこの夏もアオコが出てしまったので、残っている窒素やリンをホテイアオイに消費してもらって、植物本体は冬のカモたちに食べてもらおうというもくろみです。ホテイアオイの成長も、気温が25℃を下回るころにはぴったり止まるはず。

 1、2月には繁殖が止まって就塒数も一時200~300羽まで落ち込み、どうなることかと思われたカワウコロニー。3月に入って持ちなおし、だいたい例年なみの営巣数になりました。ただ、営巣やぐらの繁殖成績はとても悪くて、80以上の巣は作られたものの、巣だった若鳥はわずか32羽のみ。樹木の巣のほうは1巣あたりの巣立ちが平均1.2羽近くになり、まあ例年並の様子です。若鳥たちはがんばって塒につく場所を確保しなくてはなりません。巣作りには人気がなかったDタイプの高いやぐらは、1基あたり40~60羽の鳥がひしめいて夜の塒にしています。コントロール区間(コロニーの端近くの1画でわざと巣を作らせないようにしている場所)は樹木の勢いもよいので、ねぐらをとりたい若鳥たちに大人気。コントロール区間にねぐらをとらせてしまうと、巣作りもここで、というカワウがどんどん増えてしまうので、目下パトロール(コントロール区間を巡回して塒入りを阻止する)の真っ最中。 

 稲穂が垂れてきています。こちらはスズメとの攻防戦開始。こう書き連ねてみると、保護区の日々の管理作業というのは、生き物がこうやりたいということに逆らうことばかりなのかなあという気がしてきました。それでいいのか!という現在進行中でした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ