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現在進行 鳥の国 4  作者: 蓮尾 純子
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トウネンの入院ラッシュ   2007年10月 すずがも通信166号掲載

鳥の国から   蓮尾純子   すずがも通信10月 166号掲載

トウネンの入院ラッシュ


 ホー、ホケキョウ

 あれ?どうも季節が違っているような。8月末ごろから保護区でウグイスやホオジロのさえずりが時折聞かれます。今年はヒナの死体が拾われたりしてウグイスの繁殖が確認されたので、いることが不思議というわけではないものの、例年なら10月下旬から聞かれるチャッチャッという地鳴きを9月初めに聞いたりすると、なんとなく落ちつきません。

 冬鳥のさきがけになるコガモ。早い年では8月最終週には見られるのですが、今年はまだ。まあ、これは時間の問題でしょう。思いきり早かったのは8月第二日曜に見られたサシバ。12・13・14日と3日連続で記録されました。

 5月末から事務室・図書室外のシャッターを下ろしている関係で観察台やトイレへの出入りは厄介なまま。そのせいも若干あるかも知れないけれど、シギ・チドリの記録はおよそぱっとしません。今年は日本各地でトウネンやキリアイ(どちらも小型のシギ)が多いそうで、ヘラシギやオオメダイチドリ(どちらもとても珍しい種類)もけっこうちらほらうわさを聞くけれど、保護区ではアオアシシギが時々という程度。

 それを補って余りあるのは今年の入院鳥。8月26日にオオメダイチドリ(谷津干潟で貝に足をはさまれて指を骨折・29日死亡)、28日にアカショウビン(翼骨折)、30日にミゾゴイ(大腿骨骨折・9月7日死亡)、9月1日にはまた谷津干潟で貝に足をはさまれたセイタカシギ(8日放鳥)、そしてふなばし三番瀬海浜公園からはトウネンの入院ラッシュ!

 くたっとへたりこんで飛べなくなっているシギ・チドリ類の入院、夏の終わりには毎年のようにあります。外傷はなくだいたい丸々として栄養状態もよいのですが、全身に力が入らない。ボツリヌス菌による毒素の中毒症状を疑っているのですが、原因を突き止めるまでには至っていません。今年のトウネンはまず8月20日に1羽(2、3日後に死亡)、31日に1羽(その日に死亡)、9月1日にはなんと6羽、2日に8羽、3日に2羽と計18羽が入所。わりあい症状が軽くその日か翌日には立ちあがれるようになったものは、餌も自力で食べはじめ、箱から飛び出すまでに回復して放すことができましたが、13羽はお亡くなり。2日に死んだ2羽を千葉県中央家畜保健衛生所に送って剖検等をお願いしましたが、内臓等に著しい症状は見られず、細菌等を調べて見るとのお話。やはり中毒症状が疑われます。

 ボツリヌス菌は嫌気性細菌で、酸素のある環境では生存不能。何らかの理由で酸素がなくなった環境で増殖し、体外に毒素を出します。この毒素は神経に作用するこわいものですが、無脊椎動物にはあまり影響しないそうで、たとえばゴカイやハマトビムシなどが毒素を体内にとりこんでもすぐに死ぬわけではなく、そうした小動物を食べた温血動物(特に鳥)が中毒するということです。今年の海浜公園ではアオサが腐って(毎年のことだそうですが)、トウネンはそのあたりでよく餌をとっているとのこと。持ちこまれたのはトウネンのみで、幸いに9月4日以降の入所はまだありません。

 台風の影響と思われる入院鳥は今のところ江戸川から来た海鳥のコシジロウミツバメ(翌日死亡)と強風にあおられた電線事故で胸からももにかけてべろっと皮がむけたドバト1羽。

 「トウネンさわぎで、アカショウビンが来たのは大昔みたいな気がしますね」「えっ、だって大昔でしょう?もう半月はたっているんじゃないの」「違いますよ。まだ11日」9月8日の会話です。そういえばもっと大昔(1ヶ月ちょっと前)にはヘビ被害で泣いていたっけ。災害は忘れた頃にやってくる・・・・スタッフ全員健忘症、気をひきしめてかからなくてはね、という鳥の国でした。



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