鳥がつなぐ話題 2007年6月 すずがも通信164号掲載
2007年6月 鳥の国から 蓮尾純子
コハクチョウ 無事
「いましたよ!」野長瀬にいさんがほっとした様子。5月10日の午後、餌場前の水面にコハクチョウのチビさんが戻ってきていました。8日の火曜、丸浜川の牢名主みたいなコブハクチョウをあらかじめ捕えた上で、大部屋の2羽のコハクチョウを水路に放したところ、小さいほうが消えてしまっていたのです。丸浜川をひととおり見まわっても見つからず。暗渠に入ったのか、誰かにさらわれたかと気をもんでいたところ。しげみにでも隠れていたのでしょうか。
コハクチョウ2羽はどちらも昨年生まれの若鳥で、大きいほうは11月に本埜村の白鳥誘致場所付近で保護され、チビさんは3月に栄町で保護されたもの。どちらも翼をいためて再起不能です。特に小さいほうは骨折して翼が下がったまま固まっており、地面にひきずったり、草にひっかかったりしてトラブルが起きたら翼を切除しなくては、と覚悟の上の放鳥。餌場に2羽が定着してくれれば、とりあえずはじめの一歩はクリアかな。
牢名主のコブハクチョウは1ヶ月くらい大部屋に置いてから、また丸浜川に戻すつもり。そのころには2羽のコハクチョウもコブハクチョウに対抗するか、逃げ出すだけの才覚を身につけていますように。
猛禽さんたち
目下野鳥病院にはなんと11種31羽の猛禽がひしめいています。オオタカ3、トビ6、ノスリ2、ハヤブサ2、チョウゲンボウ5、サシバ1、ツミ3にくわえてフクロウ6、コミミズク1、オオコノハズク1、コノハズク1。いやあ、どうしたものやら。オオタカの「赤」は新入りの若いオオタカが気に入らず、キイキイキャアキャア鳴きっぱなし。「こっち向いた!」「あっち行った!」「はばたいた!」「目が合った!」そのたびにキャアキャア。見ているかぎりは若鳥が「赤」を攻撃したり、追いかけたりといった様子もないのに。幸いにどれも餌の食いは悪くないので、手が空いたスタッフはせっせと鶏頭切りに励んでいます。
カワラヒワのリカバリー
4月にはすてきなニュースがありました。山階鳥類研究所からの標識鳥回収報告で、2004年11月に保護放鳥されたカワラヒワが市内柏井で2006年4月にデジカメ撮影による足環番号確認で再発見との連絡。カルテを見ると、窓に衝突して保護、11日後に行徳で放したものでした。保護された場所は?あれっ、柏井だ。丁目も番地も同じじゃないの!なんとまったく同じお宅で、保護された方のご家族が撮影されたものだったのです。すごい!
もともと小鳥類の標識鳥回収例は標識調査者が再捕獲しないかぎりはほとんどありません。もちろん観察舎で保護放鳥したものの再捕例もこれまでありませんでした。直線距離で8キロの距離、大したことはないかも知れませんが、同じお宅にまた戻っていたなんて。撮影者の山田さんにご連絡し、みなで大喜びしました。
5月10日現在、まだ桜が何輪かしっかり咲いています。かなりちぐはぐな季節感。そろそろ入院ラッシュが始まりそうな鳥の国でした。
註 鳥類標識調査の用語で、標識された鳥が再び捕獲(あるいは標識確認)されることを「再捕」と言いますが、標識放鳥後半年以内に同じ場所で再捕された時にはリピート(repeat)、半年以上たって同じ場所で再捕の時はリターン(return)、5キロ以上離れた場所で再捕の時はリカバリー(recovery)といいます。




