カエルと塩分濃度 2007年4月 すずがも通信163号掲載
2007年4月 保護区はいつも現在進行 蓮尾純子
カエルと塩分濃度
「オタマジャクシがかえりました!」
揚水量と水位を測りに行った斎藤裕・板谷和城の大学2年コンビが戻ってきました。よかった。じわじわと上がっている塩分濃度から、今年は無事にかえるかどうか、かなり心配していたのです。もともとが埋立地の保護区の淡水は、若干ですが塩気があります(0.06%が平均)。主要な淡水源である湊排水機場遊水池(通称「どぶ池」)の塩分濃度もそんなところでした。ところが、劣化した導流堤から海水が浸透することを原因のひとつとして、丸浜川の塩分濃度がかなり上がっただけでなく、新浜鴨場が水の浄化を目的として海水をとりこみ排水するようになった影響もあり(鴨場の排水は欠真間三角に出ているが、欠真間三角からはおもに湊排水機場の方向に水が動く構造)、ここ2、3年、どぶ池の塩分濃度は0.1%前後になっています。淡水の生きものが住めるかどうか、かなり微妙な状態。まあ、冬から春先に何度も降雨があったおかげかもしれません。元気にカエルになってほしいもの。
ふたり合わせて0.2トンの常勤兄さんコンビが、木金出勤の頼もしい川口泰広さんの助けを借りて着々と進めてきた新浄化池③系列の干上げ・草刈り・草焼却・重機がけも、春の到来とともになんとか水戻しにこぎつけました。目下は湊池棚田の手入れ。春休みに入った学生さんたちや、ヤフーのボランティア情報で来てくださったボランティアデー参加の方々の助けも借りて、陥没した土手や道を直したり、少しずつ作業を進めているところ。鈴木裕子さんの「平日観察会」や高野史郎さんの「街なかの自然観察in行徳」も順調に軌道に。
黒板の3月の予定表、こんなにぎっしりだったっけ、と改めて見てしまいました。2日~5日にかけ、常勤スタッフ3名を含め行徳組だけで11名もが出かけた「沖縄・泡瀬遠征」の週だけを空けて、あとは31日まで毎土曜が行事で埋まっています。幸いに川上正敬さんに団体対応を手伝っていただけるからまあなんとか。強気で行くしかないんだろうなあ。
カワウ動向
年末年始の季節はずれの嵐の後、火が消えたようにひっそりしてしまったカワウのコロニーは、3月に入ってようやく活気を取り戻してきました。1~2月は夕方のカウントでも500~600羽程度しか数えられず、抱卵している巣も一時はほとんど見られないようなありさま。それでもヒナもちらほら見られるようになり、8日のカウント数はひさびさに1000羽をこえました。みな盛んにディスプレイをしているので、遅ればせながらこれから本格的な繁殖を始めるもよう。今年のヒナまつりは4月なかばすぎになるかも知れません。
昨年の12月23日に実施したクリスマス・コーモラント・カウント(CCC2006)の集計がようやくまとまりはじめました。わかったことは、通常の年なら大半が内陸方向へ採食に向かっているこの時期、大半のカワウが海で餌をとっていたらしい、ということ。それも三番瀬ではなく、葛西沖や幕張(よりもさらに沖)が多いようでした。誤りを覚悟の上で言ってしまえば、行徳ばかりか水元方面のものも葛西沖に集中しているようでした。コロニーの鳥が急減したのは嵐が引金であることは間違いないと思いますが、小さいパイを奪い合うのにも限度がある、という餌の問題が大きかったのではないでしょうか。
沖縄の泡瀬・やんばるとも、地元のみなさんにほんとうによくしていただき、おそろしく中身の濃い旅を楽しみました。「ヤンバルクイナはやんばるの自然や人の暮らしを守るひとつの象徴」「双眼鏡を持って歩くだけでも、地元の人間にとっては自分たちがのぞかれているようでよい感じではない」いくつもの重みのあることば、とてもありがたいものでした。ぜーんぶ貪欲に吸収して、さあて、しっかり一歩一歩、現在進行中。




